誘惑と戒め
「あ、メアリーの部屋どうしよ。」
と、俺が呟いた。
明日からはどうとでもなるが、流石に今日は宿に泊まるしかない。
「一緒の部屋でもいいじゃないですか?」
「えぇっ!?」
ウィーネリアがそう言うとメアリーはそんな声をあげた。
「『えぇっ!?』ではありません。今はお金が余っているとはいえ、節約すべきです。それとメアリーもレン様が好きなのでしょう? それなら、驚くよりもむしろ喜べば良いじゃないですか。」
そう言うとウィーネリアは俺の左腕に自身の腕を絡めてきた。
「なんかウィーネリア、大胆になってきたな。」
と俺が言うと、
「そ、そんな大胆だなんて…」
とウィーネリアは顔を赤らめて俯いてしまった。
メアリーもチラチラと俺の右腕を見ていたが、利き腕が塞がると何かあった時マズい、
「スマンなメアリー、右は利き手なんだ。」
俺がそう言うとメアリーはなるほどと頷き、頭を撫でてやるとニヤニヤしていた。
宿に着くとすぐに三人でかなり早めの夕食を食べ、部屋へと向かった。
部屋に入ると、俺はウィーネリアとメアリーをベッドに座らせた。
ウィーネリアは座ると皆にクリーンを掛けた。
多分ウィーネリアは勘違いしているようなので指摘しておく。
「ウィーネリア、まだ日も落ちきってないしそういうのは後な。ちょいと確認したい事があるんでね。
俺はマジックポーチに手を突っ込み、ロングソードの方じゃない一本の剣を取り出した。いや、これは剣というより刀?とりあえずウィーリから貰った刀剣だ。
刃や柄の所など全体的に俺の好みの色の深緑をしている。シンプルなデザインで刃が1m位の多分大太刀ってやつだろう。カッコイイ!!
俺がこの太刀を眺めているとメアリーが
「そんなに細い剣でモンスターの攻撃を跳ね返せるの?」
と言ってきた。俺は、「出来る人は出来るんじゃない?俺は出来そうにないから、避けれるなら避けるけど。まあウィーリがくれた太刀だし、壊れはしないと思うんだけどなー。」
と俺が応えると、
「ウィ、ウィーリ!? ウィーリ教のウィーリ様の事!?」
そう驚いた。そういえばメアリーに俺が異世界人だと言ってなかったな。教えとくか。
「メアリー…今から俺が言うことは他言はしないでくれよ。」
俺がウィーリによってこちらへ来た異世界人だと教えるとメアリーは土下座をした。というかこっちにも土下座ってあるんだな。
「も、申し訳ありませんでしたっ!ウィーリ様の使徒様で在らせられるとは…」「ちょいちょい、俺はウィーリの使徒なんかじゃないぞ。そんな器じゃない。俺が私欲の塊のお願いをしたら聞いてくれて、こっち飛ばされただけだよ。」
俺がメアリーから誤解されているのを否定すると、メアリーは顔を上げて、
「本当ですか?………はぁ…良かった~」
メアリーはそういうと安堵のため息をついた。
改めて太刀の刀身を見てみると、刻印がされている「深緑ノ太刀♡」と彫られていた。雰囲気ぶち壊しだよ。
俺が苦虫をかみつぶしたような顔をしていると、布擦れの音が聞こえ、見てみるとウィーネリアがいつの間にかレモン色のネグリジェを着ていた。癖で反射的に目を逸らす。
「そういえばメアリーは寝間着ある?無ければウィーネリア、貸してあげて。」
俺がメアリーにそう聞くと、メアリーは顔を赤くして、「あるにはあるんだけど…分かった。少しあっち向いてて…」
そう言うと、俺が回れ右をし、しばらくすると、ウィーネリアの「まぁ…!」という声と共に、
「私がいたところって女所帯だったからさ…いいよ、こっち向いて…」というメアリーの許可が出たのでメアリーの方を見てみると、ネグリジェはネグリジェなのだが、紫色のスケスケのものだった。む、胸が…
「うぇい!?」
俺がそんな声をあげ、また反射的に目を逸らすと、メアリーが俺の頬に触れてきて、
「んふふ~可愛いね~♡」
そうメアリーは言うと俺は、強制的にメアリーの方を向けさせられた。
俺はまだそういのに慣れておらずパニクって、
「俺からじゃない俺は触ってない俺は何も見てない」
と言い訳を繰り返し言っていると、
突然ウィーネリアが怒った。
「メアリー!お話がありますっ!…レン様、二人分の果実水の代金を下さいませんか?メアリー、服を着なさい。」
俺はウィーネリアの剣幕に押され、「お、おう!どうぞどうぞ…」
と俺がウィーネリアにお金を渡すと、着替え終わったウィーネリアは
「ありがとうございます。メアリー、ついて来なさい。」
そう言うと、同じく着替え終わったメアリーを下の食堂に連れていった。




