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後悔…絶望…そして…

【メアリー視点】





ーーやってしまった…

私がレン君に良いところを見せたいからって索敵もちゃんとしないでガンガン進んで…前方にいるモンスターにも気づかないで…

しかもそのモンスターは猛毒を持っていて…

そもそも実戦に慣れていないレン君をいきなりD級の依頼に連れてって…挙句の果てにレン君に命を助けられて…私達が逃げるまで敵の足止めをしてくれて…あの狐の娘になんて謝罪したら良いか…ーー


そんな事をアルに背負われ泣きながら考えていた。




私は街が見えてくるとアルから飛び降り、全力でギルドへと走った。救援依頼を出す為だ。



私が勢い良くギルドの入口を開けると、ギルドにいた冒険者達が一斉に私を見てきた。


ただならぬ雰囲気を感じたのか、受付の前まで、まるで海が割れたかの如く私を避けてくれた。私はあの犬人受け付け嬢へ、



「お願い!ロロドの森の緊急救援依頼を発注したいの!要救助者は黒髪の青年!報酬は1万アットで治癒魔法が使える者かロングテールスコーピオンの毒に効く薬を持っていくことが条件よ!早く!早くしてくれえっ!」


私は叫ぶように言った。


受付は肩を震わせて、叫んだ。


「あの毒にやられてこんなに時間が経ったらもう生存が絶望的なのは分かっているでしょう!…っ若い芽を摘み取るようなマネをして……それでは依頼としてはその黒髪青年の遺体または遺留品の搜索として発注します………」


そう言うと犬人受付嬢は俯きながら依頼を発注する為に奥へと下がっていった。冒険者ギルドアクアガーリー支部での依頼中での死亡判定者は1年ぶりだった。比較的モンスターが弱く、信頼関係が良好な少なくとも4人以上のパーティで討伐にあたるこの地域では、他の地域より圧倒的に生存率が高かったのだ。



私は近くにいた同じマーメイド海賊団の仲間に、潮風の波止場亭にいる狐人に、すぐにギルドへ来るように至急伝えなさいと伝令を出した。




【ウィーネリア視点】





「え…?」



私は潮風の波止場亭で働いている受付の少年に、今日から部屋をレン様と一緒にして欲しいと頼み、その後バルディ服店に品物を取りに行き、店員さんのご好意で、買った服の内の一着である長めのチュニックワンピースを、店内の試着室で着させて貰い、宿に戻って買った服を整理しているところでした。


そんな時に海賊団の方が、メアリーと言う人が私に対して大事な事があるので、ギルドへ早く来て欲しいと言っていたと伝えに来ました。。


私は何か嫌な予感がしました。


私はその伝令の方にお礼も言わぬまま宿を飛び出してしまいました。




私の予感は的中してしまいました。このメアリーと言う人は、レン様の初めての依頼であるというのにもかかわらず、致死性の極めて高い猛毒を持つロングテールスコーピオンの討伐に強引に誘い、挙句の果てに自分の油断でレン様が2匹のロングテールスコーピオン毒を2回も受けて、しかも増援を呼ばれたのでそのまま見捨てて逃げてきたというのです。そもそもD級モンスターというのはD級の冒険者2人以上で戦う事が推奨されている相手です。それなのにレン様は一人で最低でも2匹以上のロングテールスコーピオンと戦わなければいけない、ということになったはずです。そう考えたら…



私はその場にへたり込みました。



ーー「私が有象無象からレン様をお守り致します!」ーー



私がレン様に『初めて』を貰ってもらった時、私はそうレン様に言いました。私はレン様に嘘をついてしまいました。私は結局レン様をお守りすることができなかったのです。



「…っ! くふぅっ…! うう…」



私は周知の目も気にせず泣きました。

そのせいでいつも活気のある冒険者ギルドは静寂に包まれ、私のすすり泣く音だけが響いています。

私の泣いているのを見た数十人の冒険者達がレン様を探しに飛び出して行ってくれました。感謝はしたかったですが、正直、それを行動に移せる余裕は今の私にはありませんでした。



「失礼するよ。」



静寂に包まれているギルドの扉をギイッと開けて入ってきたのは一人の女海賊の人でした。

その人は真ん中に人魚の刺繍が入った黒い海賊マントを羽織っており、その人は私を見つけると近づいて来ました。

私の前まで来ると、その人は肩膝をつき、私の両肩に手を置くと、


「こっちを見な…」


そう静かに言いました。

私がその人の青く澄んだ目を捉えると、その人はガバッと私を抱きしめました。


「本当にすまなかった…私の部下のミスで貴女の大切な人を奪ってしまった…この事を許しておくれとは言わない…どうか…メアリーではなくメアリーの要望を鵜呑みにした愚かな私を恨んでおくれ…」


その人はそう言いました。


その瞬間、私は感情を堪えきれず、


「うわあああっ! レン様ぁぁぁぁ!!」


私は声をあげて泣いてしまいました。



海賊の人に抱きしめられて30分程泣きじゃくっていると突然、




バンッ





とギルドの扉が開き、「はあっ…はあっ…おい! 狐の嬢ちゃんっ! 他の冒険者の奴らが黒髪の兄ちゃん背負って帰ってきたぞっ!まだ生きてる! 誰か! 治療ができる奴は北東門へ向かってくれ!」


先ほど飛び出して行った冒険者の一人が戻ってくるなりそう叫びました。



「お前ら行くよっ!」


海賊マントの人がそう言うと、海賊団の人達や治癒魔法が使える人達は一斉にギルドを飛び出ていきました。



私はレン様が本当に生きて戻ったという現実味が無く、ただ呆然とギルドの扉を眺めていました。

海賊マントの人の名前どうしよう


2/6修正・加筆

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