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君がいない世界で生きるということは……  作者: 雪闇影


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第09話 赤き空


 翌朝、再び敵軍が侵略を始めると、村には炎が高く上がった。

 空は再び赤く染まり始め、耳を塞ぎたい声があちらこちらから上がる。

 村人やレシアとルキは、その光景を見て初めて思い知らされた。

 敵軍は村を奪いたいのではなく、この土地ごとほしいのだと。

 そして、そこに住まう人々は元から消すつもりだったと。

 1人、また1人、絶望が支配し、敵軍を迎え撃つも、灯が消される。


 それでも、今も武器を持つ者たちは戦い、精霊たちが彼らを支える。

 いつの日かしてもらったように、身を挺して敵の前に立ちはだかる精霊もいる。

 しかし、人はさらに前に出てその精霊を、刃から守り抜く。


 戦闘が続く中、ルキとレシアは互いに背中を預け合いながら戦い続けた。

 人々の叫びは胸を締め付け、倒れる音は息苦しさを与える。

 1人、また1人、友は倒れ、戦友は力なく横たわる。

 突然、激しい戦いの中で、ルキはレシアの姿が見えなくなったことに気付いた。


「レシア! どこだ! レシア!」


 ルキは叫びながら、周りを見渡した。

 それでも見つからず、彼は敵の攻撃を受けつつも、最愛の人を探す。

 視界はかすみ、鼻は匂いで麻痺している。

 喉は水分を求め、息を吸えば焼けるように肺が痛む。

 迎え撃った敵を薙ぎ払うと、ルキは彼女の名を再び叫んだ。

 その時、遠くの地面に倒れているレシアの姿を見つけた。

 彼女は矢に貫かれ、地面を赤く染めながら倒れている。

 ルキは心が引き裂かれるような悲しみを感じ、彼女の元に駆け寄った。


「レシア! いやだ、ダメだ! な、なんで……なんで君なんだ! 誰か! 誰か来てくれ!!」


 ルキは叫びながら彼女の手を握りしめると、辺りを見渡した。

 無数の影が横たわり、動く気配がしない。

 それだけで分かる、完全に敗北したのだと……

 レシアは痛みをこらえながらも微笑み、ルキの目を見つめる。


「ルキ……ごめんね。私を守ろうとしてくれてありがとう。でも、私はもう……」


「いやだ、レシア。君がいなければ、僕はどうやって生きていけばいいんだ! 置いて行かないでくれ……レシア……頼むよ……」


 ルキは涙を流しながら言った。


「ねぇ、ルキ……シデラは元気かな……」


 レシアは白い子犬のことを思い出していた。

 偉そうに威張るわりに、かわいらしく夜に怯えて泣く。

 どうしようもなく、かわいい、離れて暮らす大切な友達。


「……シデラはきっと元気だよ……だから、彼女の帰りも一緒に待とう……ね?」


「ルキ、あなたは強いわ……私たちの子どもを、守って……お願いよ……」


 レシアはそれだけ告げると、ルキの頬に伸ばした手は力を失くしたように地面をたたいた。

 ルキは震える手で彼女の体を抱きしめ、張り裂けそうな喉で声を上げて叫んだ。

 深い絶望が彼を包み、抱えきれないほどの悲しみが彼を呑み込んだ。

 敵軍は村の端に侵略を始め、ルキは「……やめろ、頼む……それだけは……」と呟いた。

 それでも、敵軍は足を止めず、さらなる絶望が彼を包み込んだ。

 その瞬間、世界は真っ白に塗りつぶされた。


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