王都への旅立ち
新しいお話です。楽しんで貰えたら嬉しいです。
宜しければお付き合い下さい。
スペンサー家の門の前。青空が広がる気持ちの良い日に私は王都へと旅立つ事になった。
「よーし。では、行って来ます!」
「フレイヤ、いいか、知らない人に着いて行くなよ。私は我が家の倉庫をもう一度確認してみる。あと、そうだな、書類の見直しや、スカーレットの手紙等も見直しておこう」
「はい、期待はしないでおきます」
「そう言うな」
いやいや、期待はしない方がいいのですよ。お父様。
「お姉様、お気をつけて。これは道中で食べて下さい」
「サンドイッチ作ってくれたの?嬉しい!有難う!マシューも勉強しっかりね」
「はい。特待生に選ばれる様に頑張ります」
「マシュー!!恰好良い上に賢いなんて!流石お母様似ね!」
「お、おい。マシューは私にも似てるぞ。ほ、ほら、目の色とかだな。背が伸びたところとかだな」
悲しそうに呟くお父様。私はそれを聞き流しマシューをぎゅっと抱きしめた。
旅立つ私の服装は弟マシューのお古。お父様が言う通り、最近ぐんぐん背が伸びたマシューは十三歳と言うのに、お父様にもう少しで並びそうになっている。私の背は二年前に追い抜かされ、私との差は開いていくばかりだ。
「おねえさま、おみやげ、おうとのおかしがいいわ」
「シンシア、お姉様は遊びに行くんじゃないんだぞ」
「うー。でも、おねえさま、おねがい、ね?くちにいれたら、とけちゃうおかしがあるってきいたの」
お父様、弟のマシュー、妹のシンシアが私に抱き着いて来て別れの挨拶をする。シンシアは寂しいのか、ギューッと抱き着き、ぐりぐりと自分の顔を私のお腹にうずめていた。
可愛い。私の妹、世界一可愛い。
そしてそれを見守る、しっかり者の賢い弟。世界一の弟だ。
「大丈夫、可愛いシンシア。お菓子は落ち着いたら探して送ってあげる。ねえさまが、流行のお菓子を見つけて来るから楽しみに待っていて。マシュー、シンシア、お父様を頼むわね」
「任せて下さい」
「まかせて、ください」
私の言葉に弟と妹は力強く返事をし、お父様は泣きそうな顔をしていた。
「すまん、フレイヤ。私が王都に行ければよかったのだが、この脚ではな」
「大丈夫です。私ももう、十八。心配しないで下さい。きっと上手く行きます。王都に着いたら手紙をだします」
「あ、ああ…心配は尽きないが…」
お父様の顔に向かって、ぐっと拳を出すと、お父様は拳をコツンと合わせてくれた。
「じゃあ、お嬢、行きますよ」
「はい、ブロンさん、お願いします。皆、元気で」
私は手を振って出入りの商人のブロンさんの荷馬車に乗せて貰い、護衛の人達と一緒に荷物の間にお尻を収めると、領地を出て、花の都、王都へと旅立ったのだ。
皆が見えなくなる迄手を振ると、前を向いて王都へ向かう空を見上げた。
「お嬢、上手くいくと良いですね」
ブロンさんが心配そうに、でも、きっと大丈夫だと慰めるように私に話し掛けてくれた。
「はい。きっと」
私は我が家にある借金を三ヵ月後までに一括返済しなければいけない。
でないと蛙の嫁にならないといけないからだ。




