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第4話 浮気調査

「急に呼んじゃって悪いわね、ルイ」

 

「久しぶり、ハーマリー」

 

 私は久しぶりに、友人であるルイをレイフの邸宅に招いた。

 

 レイフ様と結婚してから、私は友人と遊ぶ機会が減っていた。

 

 だけど今日はレイフ様もいないし、気楽なものだ。

 

 そしてルイは私が用意した紅茶を飲んでいる。

 

「それで、レイフ様とは上手くいってるの?」

 

「そのことなんだけど、相談があるの」

 

「どうしたのよ?」

 

「私の夫、レイフが浮気をしていないか調査をして欲しいのよ」

 

「なるほど、それは面白そうね」

 

「これは私が持ってる魔石、これを費用として使って調査してくれない?」

 

「いいわよ」

 

 ルイは笑顔で相談に乗ってくれた。

 

 やはり持つべきものは友なのだ。


 私は自由があまりないから、ルイに依頼をするしかない。

 

「任せなさい」

 

「ありがとう、ルイ」

 

 私はこうして友人であるルイに浮気調査を依頼したのだった。



 ◇

 

 

 「情報が掴めたわよ」

 

「早いわね、流石だわルイ」

 

「まあね、それでレイフ様は浮気をしてるわよ」

 

「そう……やはりそうだったのね……」

 

 私はルイから報告を受けて、少し落ち込む。

 

 だがこれは私が望んだ結果だ。


 だからこれで良かったのだ。


 そう自分に言い聞かせる。

 

「相手の情報も掴めてるけど、どうする?」

 

「とりあえず、私はこの証拠を持って相手の両親と交渉してくるわ」

 

「交渉が失敗した場合のお手伝いはいるかしら?」

 

「ルイは頼もしいわね、交渉が上手くいかなかった場合はこの証拠を公表するわ」

 

「分かったわ、この証拠を公表すればレイフ様の評判は落ちるでしょう、本当にいいのね?」

 

「ええ、構わないわ。お互いに愛してない相手といるのはもう嫌なのよ」

 

「分かったわ。それじゃあ交渉が失敗したら、この証拠を公表する方向で動くわね」

 

「お願いするわ。それじゃあまたね、ルイ」

 

 私は調査してくれた友人に感謝の意を伝えて別れる。

 

 こうして私は準備を進めたのだった。




 

 そして私はレイフ様の両親であるロ、マージ伯爵家に向かった。

 

 通されたのは応接間。


 私の向かいにはレイフの両親が座っている。

 

「何の用でしょうか」

 

「一つだけお伺いしたい事があります」

 

「なんだ?」

 

「レイフ様は浮気をしていますよね?」

 

「なっ、どこでそれを……」

 

 私はレイフ様の浮気の証拠をテーブルに出す。


 すると伯爵夫妻は驚きの表情をしている。

 

 そして私はレイフ様が浮気をしている事について問い詰めた。

 

「この証拠があれば言い逃れは出来ないですよね?」

 

「……そうだ」

 

 そんなやり取りをしてから、伯爵夫妻は項垂れている。

 

「私は浮気をしている夫とはいたくありません、離婚を了承して下さい」

 

「な、何!? それは困る!」

 

「では離婚の話をせずに、私が持っている証拠を公表しましょう」

 

「ぐっ……」

 

 私の答えに伯爵夫妻は言葉に詰まっている。

 

 本当に調査の依頼をルイにして正解だったわ。


 だってこれで終われるのだもの。

 

「いくらだ」

 

「はい?」

 

「いくら金を積めば良い!?」

 

「そうですね……金貨100枚は欲しいですね」

 

「ひゃ、100枚だと!?」

 

 伯爵が慌てている。


 とりあえずレイフ様の浮気で貰えるだけのお金は貰っておかないと。

 

 だけどそれで交渉は上手くいく。

 

「分かった、金は出すから離婚だけはしないでくれ」

 

「いいでしょう。その条件で満たしてくれるのでしたら、離婚は致ません」

 

 こうして私の離婚を賭けた交渉は上手くいったのだった。


 

 


「どこに行っていた、ハーマリー」

 

「今日は色々とありまして……」

 

「そうか、俺も今日は色々とあったな、それとお前に伝えなくてはいけない事がある」

 

「なんでしょうか」

 

「俺と離婚をしてくれ」

 

「はい?」

 

「俺は愛していない女と一緒にいるのは苦痛なんだ、だから離婚してくれ」

 

「良いでしょう、私も離婚したいと思っていました」

 

 こうして話し合いをして、私たちは無事離婚をする。

 

 そして私は数日で荷物をまとめて家を出るのであった。


 

 ◇


 

 俺はハーマリーと離婚をし、無事エリスと結婚をすることが出来た。

 

 だがハーマリーが裏で動いていたようで、父上から金を搾取したらしい。

 

 どうやら俺の浮気がバレていたようで、もし金を送らねば裁判を起こすつもりらしい。

 

 俺とエリスとの幸せな生活に水をさす存在だ。

 

「ねえレイフ! なんで好きな物を買わせてくれないのよ!」

 

「仕方ないだろ、今は金を使うことができないんだ」

 

「はぁ!? 私は贅沢な暮らしをしたいのに! お金がないなら別れましょうか?」

 

「わ、分かった。だから離婚だけは勘弁してくれ」

 

 俺の理想の生活を送るには、まだまだお金が足りない。

 

 ていうかエリスはこんな女性だったか?


 とても我儘になった気がする。

 

 そう思っていたのだが……。

 

「ねぇレイフ、私は今欲しいものがあるのよ」

 

「なんだ?」

 

「宝石よ! 宝石が欲しいの! 私に宝石を買って!」

 

「…………」

 

 俺は絶句した。


 エリスはそんな女性ではなかったはずだ。


 だが今は金遣いが荒いし、ワガママな女性へと変わっていた。

 

 なんだかエリスが鬱陶しくなってくる。

 

 それから俺は結婚生活にうんざりしながら、地獄の生活を過ごしていくのだった。

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