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第2話 私も愛していない

 そうして今日の婚約の件を伝えると父上は少し考えるようにしている。

 

「これは……一体どうしたものか……」

 

「申し訳ありませんでした」

 

「ハーマリーは悪くないだろう、悪いのはレイフ殿だ」

 

 私は悪くないと言われて、少しだけ気持ちが軽くなった。

 

 だけどレイフ様は私の何が気に食わなかったのだろう。


 それなら婚約も解消してしまいたかった。

 

「婚約は解消出来ませんか? レイフ様は私を愛してもいないようですし、私もレイフ様を愛していません」

 

「そうしたいのだが……難しいな」

 

 私は婚約を解消できないか聞いてみた。


 だがそれは出来ないらしい。

 

 理由は伯爵家の方が上だからだそうだ。

 

「だが無理にでも婚約を解消すれば……いや、私の可愛い娘だ。覚悟をすべきか」

 

 もし私が婚約を破棄すると言えば子爵家がどうなるか分からない。

 

 私のようなワガママな女を可愛いと言ってくれる自慢の父だ。


 もし私が解約したいと言えばお父様は解約に向けて動くだろう。


 だが強硬手段に出るには損害が大きすぎる。

 

「お父様、私は婚約関係を続けます。子爵家に迷惑を掛ける訳にはいきません」

 

「こんなことになるなんて、本当にすまない、ハーマリー」

 

「お父様は悪くありません」

 

 私は婚約関係を続ける事にした。


 だがレイフ様は私を愛してもいないし、私も愛していない。

 

 そんな関係に何の意味があるのか分からない。

 

 それでも私はレイフ様との婚約を続ける事を選んだのだった。


 


 

 それから私はレイフ様と数回会う。


 だがレイフ様は本当に私を愛していないようだった。

 

 少しでも会話を深めようとすれば、冷たい言葉ばかりが飛んでくる。

 

 少しでも私に関心を持ってもらおうと贈り物を送っても、反応はない。

 

 もはやする事は無くなって、私も最近はレイフ様への興味は完全に無くなった。

 

 私の夢見た幸せな日々は、全て妄想だった。

 

「どうしてこうなったのよ……」

 

 どうせ結婚しても関係は冷え切っているのだ。


 それならばもう、それが事実だとして受け入れるしかないだろう。

 

 そうしているうちに、結婚式がロマージ伯爵家によって行われる事になった。

 

 結婚式当日、私はレイフ様のエスコートを受けて馬車に乗り込む。

 

 馬車の中では当然、レイフ様との会話は無い。


 だがそれはいつもの事だった。

 

 そして教会に到着して式が始まる。


 神父が誓いの言葉を読み上げるが、特に意味は感じない。


 愛を誓ったところで何の意味も無いのだ。


 私は偽物の笑顔を作り、教会の壁に彫られたフレスコ画を眺めていた。

 

 そうして私たちは婚約関係から夫婦へとなったのだった。


 


 

 やはり結婚しても関係は変わらなかった。


 変わったのは外面だけだ。

 

 レイフ様は私を愛してもいないし、私も愛していない。

 

 そして私はレイフ様に愛されようと努力する事も止めた。

 

 どうせ何をやっても無駄だろう。


 ならば最初から何もしなければいい。

 

 それから時が経ち、私は妊娠をする。


 妊娠が分かってもレイフ様は特に何も思わなかった。

 

 レイフ様は一応伯爵家の嫡男なので、私は子供を産むことにした。

 

 世継ぎは必要だから、子供を産むのも作業となっている。

 

 そうして子供を産んでから数ヵ月が経ち、私はレイフ様にある疑問が浮かんでくる。

 

 本当に愛していないのならば、どうして私と結婚してくれたのだろうと。

 

 分からない。


 だがレイフ様の行動が理解できず、私は頭を悩ませる。

 

 そして私は悩んでいると、一つの答えが思い浮かんだ。

 

「浮気でもしているのかしら?」

 

 私に興味が無いと言うことは、別の人にも興味を持っているのではないだろうか。

 

 婚約者がいながら、別の相手と関係を持つ。


 貴族社会ではよく聞く話だ。

 

 私はその答えに辿り着いた時、少し好奇心が湧いてきた。

 

 そして私はある計画を立てるのだった。

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