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女子会議 え

粒音「この調子でどんどん決めよー。今度はえから始まるキュンキュンセリフ、いくぞー!」

菜亜乃「おー!」

演「おー」

粒音「駅のホームで二人きり! 目があった瞬間そらしあう!」

菜亜乃「んー。状況説明きたかー。うんまあ、どちらかというと、なしね」

演「その二人にとってはキュンかもしれないけど、聞いてるこっちはキュンにはならない」

粒音「半ばわかっていたけど、やっぱり説明が入っちゃってる時点で問題よね。イメージ的には良いと思ったんだけど」

菜亜乃「駅、液かあ。変な液がこぼれちゃう。あなたのせいなんだからね! とかわ?」

演「キュンじゃないことは確か」

粒音「女の子が液とか言っちゃダメよ。しかも相手のせいにするのもマイナスなんじゃないかしら」

菜亜乃「思ったより真面目な感想が聞けたわ。まあ、たしかにこれじゃあまずいわよね」

演「この液体を体にぬると、ほら、凄く気持ち良いよ?」

粒音「だから、女の子が液とか言っちゃいけません! 気持ち良いも禁止!」

 液。気持ち良い。禁止言葉に決定。

菜亜乃「まあ、言われてみれば当然よね」

演「キュンキュンセリフ、難しい」

粒音「というか、えから始まるのが難しいんじゃない? えから始まる言葉って、何がある?」

菜亜乃「うんとお。江ノ島、冤罪、英才教育ー」

演「遠赤外線。縁の下の力持ち」

粒音「お願いだから、キュンワードのみでお願い」

菜亜乃「えっ、で始まるキュンワードー? えーっとお。えへ?」

演「えへへ。ちょっと反省?」

粒音「可愛くごまかして場をしのぐパターンかあ。まあ、キュンではないかなあ?」

菜亜乃「栄養っていうワードはどう? 栄養補給、しっかりとらなきゃダメだぞ? とか」

演「熱中症疲労対策は万全に」

粒音「栄養かあ。栄養補給に、ギューってだきしめて?」

菜亜乃「ああ、なんかそれっぽい。それっぽいけど、それっぽい以上のキュンではないような気がする」

演「でも、栄養補給は生きるうえで大事。それにキュン数値も高そう」

粒音「うーん。栄養補給に、ハグ、ちょうだい?」

菜亜乃「もうちょっと、もうちょっとでキュンがきそうな気がする」

演「栄養補給に、いいこいいこして?」

粒音「いいこいいこって、前にも出てこなかったっけ?」

菜亜乃「あー、あったわね。いいこいいこ」

演「しまった。比較的新しい記憶につられてしまった」

粒音「どのみち今のところは、まだキュンキュンセリフが出た感じではないわね」

菜亜乃「栄養っていうのは良い線いってそうなんだけどねえ」

演「私の中の恋の花、あなたからの栄養でたっぷり育っちゃう」

粒音「演、それは長い。あと何言ってるのかわからない」

演「あなたからの栄養、私にちょうだい?」

菜亜乃「一体どんな栄養なんでしょうねえ?」

演「いいこいいことか、ハグとか」

粒音「例えそうだとしてもダメよ。あなたからの栄養ってワードが危険。ダメっていうより危険」

演「栄養といえば血。血といえば蚊。そういえばメスの蚊は子供を産むために人の血を吸うという」

菜亜乃「蚊って結局蚊取り線香が一番頼りになるわよね」

演「同感である」

粒音「二人共、話が脱線してるよ。元に戻すっ。栄養補給、あなたと一緒にすると、すっごく元気が出てくるの。これは、どう?」

菜亜乃「一体なぜ一緒にすると元気になってしまうんでしょうね?」

演「きっと栄養補給の仕方が特殊。とても人には言えない方法」

粒音「ふーたーりーとーもー! 本当話それすぎ! ていうか特殊って言うな!」

菜亜乃「悪くはないと思うけど、あらぬ勘ぐりをされる時点でキュン度は高くないと思うのよ」

演「きっとキュンキュンセリフは、胸にキュンをうったえるセリフ。それ以外の反応があるのならそれは失敗」

粒音「そ、そうね。ごもっとも。でも、きっとこれ以上の栄養補給セリフはないわよ。これでダメなら、手詰まりな気がするけど」

菜亜乃「うーん。たしかに、栄養以外のキュンワード候補を見つけられてないことも痛いわよねえ」

演「じゃあ、これはどう。えーっと、あの、その。今、あなたに、彼女っている?」

 数秒後。

菜亜乃「いいんじゃない?」

粒音「いいんじゃない?」

演「なぜ束の間黙っていた?」

菜亜乃「考えてたのよ。うん、いいんじゃない? 今あなたに、彼女っている? ね。いいと思う」

粒音「えーっと、あの、その。がある方が、雰囲気あるわね。ねえねえ、彼女っているー? っていきなりじゃあ、雰囲気まるでないし」

菜亜乃「えーっと、あの、その。今、あなたに、彼女っている? うーん、でもこれ、セリフちょっと長くない?」

演「セリフは、長くなってしまった。それは仕方のないこと」

粒音「セリフが長いと、その分キュンが胸に届くまでの時間も長いということになるわよね。それは、要注意かしら?」

演「ということは、これも却下?」

菜亜乃「まあ、栄養補給と一緒にキープくらいの考えでいいんじゃないかしら? 可能性は感じるのよ可能性は」

粒音「うん、そうね。他に案が出なかったら、この2つのどちらかをキュンキュンセリフに決定しても、いいかなあ?」

演「やはりまだ、決定打には至らない、か」

菜亜乃「あっ、エンジェルっていうのはどう? エンジェルピース!」

演「それだ」

粒音「なるほど。エンジェルはえから始まる言葉だったか。けど、エンジェルピースはいまいち?」

菜亜乃「エンジェルスマイル。エンジェルアタック!」

演「エンジェルチャーム。エンジェルモード」

粒音「え、ええと、エンジェルロックオン?」

菜亜乃「なんか技の名前を考えてるような気がしてきたわね」

演「ひょっとしてエンジェルとは、技の名前の塊?」

粒音「そんなことないと思うけど。エンジェルチャームが、今ので一番良かったんじゃないかな?」

菜亜乃「エンジェルウイーング。ちゃんと捕まえてないと、逃げちゃうぞ?」

粒音「逃げちゃダメじゃない? 雰囲気は良いけど」

演「エンジェルボイス。あなたに届け」

粒音「なんか歌のタイトルみたいね」

菜亜乃「エンジェルダーイブ。ちゃんと私を、つかまえて?」

粒音「つかまえるとなると、キュンどころじゃなくなるんじゃない?」

演「エンジェルタイム。あなただけの天使ちゃんだぞ?」

粒音「キュンを狙いすぎて、言ってて恥ずかしいレベルになってる気がする。エンジェルハート、受け取って? わ?」

菜亜乃「あー」

演「あー」

粒音「な、何。そのあーは、なんのあー?」

菜亜乃「粒音が良いと思うんなら、良いんじゃない?」

演「右に同じ」

粒音「二人からしたらどうなのよ!」

菜亜乃、演「まあ良いと思う」

粒音「だったら最初からそう言ってよ。他にはあ」

菜亜乃「ストップ。一旦ここらで、最有力ワードを決めておこう」

演「結構いっぱい言った」

粒音「そうね。結構いっぱい言ったわね」

菜亜乃「ええっとお。今まで何言ったっけ」

演「全部メモしてある。粒音が」

粒音「エンジェル系多いけど、これも一番を決めるの難しそうね」


 数分後。


菜亜乃「うーん。となるとやっぱり、一番は、エンジェルハート、あなたに届け。かしら」

演「異議なし。ワードとして、エンジェルが強い」

粒音「そうね。それで良いと思う」

菜亜乃「それじゃあ、最後に皆で言って確認ね。エンジェルハート、あなたに届け」

演「エンジェルハート、あなたに届け」

粒音「エンジェルハート、あなたに届け。異論がないならキュンキュンセリフに決定!」

 エンジェルハート、あなたに届け。

 キュンキュンセリフに決定!



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