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男子会議 う

堅谷「次は、う。か」

友空「う。かあ。うーん」

池戸「う。何かあるかなあ?」

堅谷「うるさいその唇を、塞いでやるよ」

友空「うーん?」

池戸「それだと、うるさいは余計なんじゃないか?」

堅谷「その唇を、塞いでやるよ」

友空「うーん」

池戸「これは、キュン、するのか? 例えば、ステキなお姉さんに、あなたの唇、塞いであげる。って言われたら、キュンって感じよりドキッな気がする」

堅谷「どっちも似たようなもんじゃねえか?」

友空「でも、良いかどうかを抜きにして、それだとうから始まらなくなる」

池戸「別に考え方の方針ってだけだから、絶対最初がうじゃなくてもいいんだけど、堅谷のはキュンキュンセリフとしては、なんか違う気がする。普通に考えて、唇を塞ぐってされたら困る行為なんじゃないか?」

堅谷「場合によっては、うれしい行為なんじゃねえか?」

友空「もっと単純に考えて、唇と言われたら、誰もが唇を意識すると思う。それを活用してみるのはどう?」

堅谷、池戸「なるほど。たしかに」

友空「じゃあ、生まれたてみたいな唇、きれいだね」

堅谷「おお、ほめるのか」

池戸「いいんじゃないか。最初の言葉も、う。に戻ったし」

堅谷「最初の文字は意識しすぎなんじゃねえか? ところで、女って唇ほめられたらうれしいのか? っていうかキュンするのか?」

池戸「さあ、どうだろう。実際にー、使ってみる機会も、ないな」

堅谷「まあ、そうだな。言って悪かったよ」

友空「キュンキュンセリフとしては、どう?」

堅谷「わからん」

池戸「俺もわからない。そもそも俺たちって、本当にキュンキュンセリフわかるの?」

堅谷「そこを諦めていいんだったら、もう帰っていいか?」

池戸「ダメだ。夜闇さんに言われたんだぞ。少なくとも初日脱落はダメすぎる!」

堅谷「よし。それじゃあ唇きれいだは保留でいいか。準候補みたいな感じで、書き留めておくってのはどうだ?」

友空「良いと思う」

池戸「よし。それじゃあキュンキュンセリフかはともかくとして、一回皆で言ってみて、不安がなかったら準候補に決定しよう!」

堅谷「また言うのかよ。しかも準候補か。まあ、なんでもいいが」

友空「生まれたてみたいな唇、きれいだね」

池戸「うーん、生まれたてみたいな唇、きれいだね」

堅谷「生まれたては必要か?」

友空「せっかくだから。ただ唇だけより、ついてた方が良いと思う」

池戸「俺もそんな感じするー」

堅谷「じゃあ、生まれたてみたいな唇、きれいだね。んーまあ、キュンか?」

池戸「もしダメでも、他にもキュンキュンセリフは考えるし、一応あげていこう。よし、仮決定!」

 生まれたてみたいな唇、きれいだね。

 キュンキュンセリフに仮決定!

堅谷「あとなんかあるか?」

友空「失いたくない。君を失いたくない」

池戸「いける、センスある!」

堅谷「でも失いたくないって、引き止めるとか、そういう終わりな雰囲気ってことが前提じゃねえか? それはプラスにはならないと思うが」

友空「たしかに」

池戸「え、いけるって思ったの俺だけ?」

堅谷「少なくとも俺は、違うと思うぜ」

友空「君のぬくもりを、失いたくない」

池戸「やっぱり良いじゃん、俺それでオッケーだと思う!」

堅谷「そうか? 俺は耳を疑うセリフだと思うが」

友空「耳を疑う、か」

池戸「いやいや友空、全然良いから。唇の時と同じくらい良い感じするって!」

堅谷「そう言われたら、どっちも同じ感じすんな。気がついたら同レベルだったか」

友空「同レベルは、賛成という意味?」

池戸「唇は一応判定待ちのオッケーになったからな」

堅谷「けど、ぬくもりだぜ。そのワードでキュンはないんじゃねえか?」

友空「悪い言葉じゃ、ないと思う。ぬくもりは、あった方が良い」

池戸「そうだよ。俺は全然キュンキュンセリフだと思う!」

堅谷「そうかあ? 失いたくないって、まるでこっちが弱み握られてるみたいだぞ?」

友空「主導権を握れないから良い雰囲気になれないっていう考えは、間違ってると思う」

堅谷「うぐ、そ、そうだな」

池戸「それだよ友空。きっと女の子は、ぬくもりを求められたらキュンしちゃうんだよ、たぶん!」

堅谷「たぶんかよ」

池戸「だって俺そういう経験ないし。想像だし」

友空「池戸はここまで推してくれてるけど、堅谷はやっぱり反対?」

堅谷「まあ、な。けど、そこまで言うなら良いって気になってもいいぜ。まあ、いいんじゃないか?」

池戸「よし、それじゃあ三人で言ってキュンキュンセリフかどうか確認してみよう。君のぬくもりを、失いたくない」

友空「君のぬくもりを、失いたくない」

堅谷「君のぬくもりを、失いたくない。なあ、やっぱりこれキュンするか?」

池戸「そうか。堅谷はやはり最後まで異を唱えるか」

堅谷「あ、ああ。そこまで反対って程じゃないが」

池戸「なら、この案は不採用だな」

友空「そう。なら次を考えないと」

堅谷「い、いいのかよ。あっさり諦めて」

池戸「満場一致のための確認だからな。反対票は、例え一票でも大きい。そうじゃなきゃダメだ。だから、不採用で構わない」

堅谷「お、おお。随分あっさりしてんのな」

池戸「そもそも、キュンキュンするセリフっていう条件が厳しすぎる。迷走してNGセリフを量産しないためにも、ここでしっかり見極めないと」

堅谷「そう、だな。お前らの言う通りだ。よっしゃ、次いこうぜ」

友空「う」

池戸「そうだよ。うから始まる別の言葉。なんかないかなあ?」

堅谷「腕とかどうだ。この腕でお前をだきしめたい、とか。ダメだな」

友空「腕の中の君が、とてもかわいい」

池戸「おお、いいんじゃないか?」

堅谷「いや、ダメだろう。少なくとも俺はダメだ」

池戸「じゃあこれはどうだ。腕の中にお前がいないと、おちつかないんだ」

堅谷「それはなんつうか、キュンセリフというより爆弾発言だな」

池戸「ダメ? 今のもダメ?」

友空「腕の中にお前がいないと、おちつかないんだ。なんか、いまいちな気がする」

池戸「ダメかー」

堅谷「腕がダメならー。もういっそのこと、う以外の言葉で始めてもいいんじゃねえか?」

池戸「その意見にも一理ある。けどもう少し粘ろう。それでも思いつかなかったら、そういう案も受け入れる」


 数分後。


友空「運命って、信じる?」

堅谷、池戸「!」

友空「やっぱり、いまいち」

堅谷「いや、運命なら、いいんじゃねえか?」

池戸「それだよ友空。きっと運命って言葉に女の子は弱い!」

友空「男は、運命っていう言葉に弱くはないのかなあ?」

堅谷「弱くねえんじゃねえか? 大体占いとか信じねえだろう」

池戸「いや、信じなくはないよ? けど、頼る優先度としては、低いんじゃないかなあ?」

友空「例えば。この子良いなって思った子が、運命って信じる? って言ってきたら?」

 3人、想像中。

堅谷「運命なら、そうなんじゃねえか?」

池戸「俺、そういう運命があっても良いと思う」

友空「運命っていうワード。男女共に効きそうだね」

堅谷「なんでもかんでも運命って言い出したら、流石に避けるけどな」

池戸「そうかあ。男でも運命効いちゃうか。けど今は、女の子がキュンするセリフ作り。さあ、友空が考え出した運命というワードを使って、誰もが認めるキュンキュンセリフを考えよう!」

堅谷「運命が君と俺を引き合わせてくれたんだ」

友空「良いと思う。けど、ちょっと長い?」

池戸「長い、か。となると、もう少し改良の余地があるか?」

堅谷「あー。じゃあ、運命のままに、お前を求める」

友空「うん。うん」

池戸「女の子を求めることを運命のせいにしちゃったら、きっと女の子もまいっちゃうな!」

堅谷「お前がそんなこと言うから自信なくなってくるじゃねえか」

池戸「俺のせい?」

友空「運命のままに、君を求める。わ?」

堅谷「ふうん。つまるところ、お前か、君。どっちで呼ぶかだな」

池戸「呼び方的には君じゃない?」

堅谷「バカ言え。君なんて普段使わねえだろうが」

友空「でも、お前って呼ぶのは、よほど親密な相手じゃないと、ムリ」

堅谷「そういうなら、お前って呼ぶ分逆に親密感が出てるんじゃねえか?」

池戸「おお、なるほど」

友空「そうかもしれない」

池戸「でも、やっぱりここはお前か君か、言い比べたい。ということで、三人で一度両方言ってみよう!」

堅谷「結局そうなるのか」

友空「まあけど、それが無難かも」

池戸「それじゃあ俺からいくぞ。運命のままに、お前を求める。運命のままに、君を求める」

友空「運命のままに、お前を求める。運命のままに、君を求める」

堅谷「運命のままに、お前を求める。運命のままに、君を求める」

池戸「うーん。俺思ったんだけど、君を求めるの方は、なんか運命のせいにしすぎなんじゃないか?」

友空「なるほど。運命のせいなら仕方ない的な」

堅谷「それはなんか嫌だな。じゃあ、お前を求めるでいいんじゃねえか?」

池戸「よし。そうしよう。満場一致なら、運命のままに、お前を求める。を、キュンキュンセリフに決定だな!」

 運命のままに、お前を求める。

 キュンキュンセリフに決定!







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