女子会議 う
粒音「さあ次は、うから始まるキュンキュンセリフだー!」
菜亜乃「おー!」
演「おー」
粒音「皆ー、何かあるー?」
菜亜乃「う、う」
演「運命的に、相性ぴったり」
粒音「うーん? それはちょっとどうだろう?」
演「じゃあ、粒音も何か一言言って」
粒音「そ、そうね。じゃあ、運命って、信じる?」
演「それが、キュン?」
菜亜乃「私から言えば、どっちもキュンじゃないわね。点数をつけるなら0点に近いと思う」
粒音「じゃあ菜亜乃先生、お願いします!」
演「そんなに言うなら、お手本見せて」
菜亜乃「もちろん言うけど、期待はしないでね。運命の人、見ーつけた!」
数秒後。
菜亜乃「なんか言ってよお!」
演「点数をつけるなら、0点に近いと思う」
菜亜乃「うっ」
粒音「ちょっと演、そこまでじゃ、あいや、そこまでに近いかも」
菜亜乃「うー、もう、私だけじゃない、皆ダメでしょー!」
演「いかにも。面目ない」
粒音「今回の題材は難しいわね」
菜亜乃「ねえ、ここは運命を候補ワードから外さない? 皆自爆したし」
演「それもありかも。最初に言い出したの私だけど」
粒音「オッケー。それじゃあ運命以外のワード探そっか」
菜亜乃「そうね」
演「模索する」
数分後。
粒音「あの、皆、なんにもない?」
菜亜乃「うらめしやー!」
演「上を下への大騒ぎ」
粒音「ダメだー、皆なんにも思いつかなかったー!」
菜亜乃「だって。最初から答えがあるわけでもないし」
演「そもそも今までが順調すぎた」
粒音「まあ、たしかにそうかも。一旦休憩にする?」
菜亜乃「賛成ー。ところでこの部屋から出ていいのー?」
演「流石に缶詰状態ではないと思う。けどよく廊下を歩いていたら、不審に思われるかも」
菜亜乃「あー、じゃああんま外へは行けないわね」
粒音「やっぱり、できるだけ考えてなさいってことね」
演「う、う」
菜亜乃「もうこの際、最初がうじゃなくてもいいんじゃない?」
粒音「もしかしたらそうかも。でもそうしたら考える範囲が広くなりすぎるかもしれないし、増やせるとしても最初が、え。か、お。くらいね」
菜亜乃「もうそれでもいいー。とにかく別のこと考えるー」
演「閃いた」
粒音「え、ほんと?」
菜亜乃「お、何何ー?」
演「ウキウキ。ザ、ウキウキ。ウキウキタイム。あなたとの時間がワックワク」
菜亜乃「ダメだー」
粒音「ちょっと、キュンとは程遠いかも。でも、ウキウキ、か。ひょっとしたら、キュンワードっぽいかも」
菜亜乃「マジか。ウキウキ、ねー。うーん、じゃあちょっとそれで考えてみる?」
演「ウキウキしちゃう。あなたとの時間。私の心がフッワフワ」
粒音「なんか、難しそうね。でも、言葉のチョイスに珍しさがあるかも?」
菜亜乃「そう? 考え過ぎで混乱してるんじゃない?」
演「そうかも」
粒音「でも今は他にあてがないし、ウキウキを入れた言葉でキュンさせてみよー。えーと、ウキウキ、あなたとおでかけ自然と心が弾んじゃう?」
菜亜乃「なんだろう。ウキウキはともかくとして、あなた、自然、心、弾む。それらのワードを取り入れても、全然キュン度が高まってない気がする」
演「そもそも、それは相手に伝えるべき言葉ではない」
粒音「ダメかー。まあ、これはウキウキ以前の問題かあ」
演「じゃあ、もういっちょ私。あなたといると、ウキウキしちゃう」
菜亜乃「うーん。なんかいまいち。やっぱりウキウキってところで空気が瓦解してる気がするわ。すっごく使いづらいわね。ウキウキ」
粒音「菜亜乃はどう料理する? さあ、いってみよう。どうぞ!」
菜亜乃「ほおら。もっと私をウキウキさせて?」
演「するんじゃなくて、させる系」
粒音「おおお。んー? あー、うん」
菜亜乃「ごほん。ひとまず二人共、感想をどうぞ」
演「ちょっとムリっぽい」
粒音「色気はある感じ?」
菜亜乃「やっぱウキウキはキュンキュンセリフにむいてないのよ」
演「私も少しウキウキという言葉の限界を感じる」
粒音「じゃあウキウキはNGにしよっか。今のとこだけど、他の言葉を考えましょう」
菜亜乃「でも、もううは限界じゃない?」
演「うーん。そうかも」
粒音「あ、じゃあ最後に1つ。動かない。を使って、1個考えてみない?」
菜亜乃「動かない、かあ」
演「動かない、動かない」
粒音「まあ、二人は思いつかなかったらパスでもいいよ。私が1つ言ってみるだけだから。ごほん。動いちゃダメ。じっとしてて?」
菜亜乃「動かないを使うとか言い出していきなり変化球きたわね」
演「動いたらダメだと、男の人はキュンとする?」
粒音「はい、何か違いますね。言ってみただけです。んー、なんとなく言葉の響きにキュンが入ってる気がしたんだけどなあ」
菜亜乃「まあ確かに、全くダメじゃなかったような気もする?」
演「次は私。動かないの。もう少しで終わるから」
粒音「おおー。キュンがあるような、あと少しなような」
菜亜乃「一体何がもう少しで終わるんでしょうねえ?」
演「髪の毛切るの」
粒音「彼の髪の毛自分で切るのと、美容院で切った後を見るの、どっちがキュンしやすいシチュエーションなのかなあ?」
菜亜乃「あー。切った後の想像ができる分、美容院で切った後の方じゃない?」
演「切った後を想像するならむしろこの手で切る方が必至」
菜亜乃「ああそうねー。なら、いろいろと気を使わない分美容院で切ってもらう方がいいんじゃない?」
粒音「話題がそれました」
演「うん」
菜亜乃「うん」
粒音「まあ話題そらしたの私なんだけど。ええと、まだセリフ決定には至らないかな?」
演「努力はした」
菜亜乃「それじゃあ、次は私がいくわよ。全然動かない、これ。お願い、あなたがやって?」
演「男の力を頼る時がきた」
粒音「うーん。良い感じのセリフに聞こえはするけど、でもこれ、ほぼパントマイムな気が? キュン度は低いかなあ?」
菜亜乃「そうね。確かに、これはないわね。けど、かわりに他の案を思いついたわ」
演「天啓、きたる」
粒音「でかしたぞよ菜亜乃。して、詳細はいかに?」
菜亜乃「運動よ、運動。一緒に運動しよ。あなたと汗をかきたいの」
演「えっちい」
粒音「それはちょっとお、演に言われちゃうと更に、アウトな気が」
菜亜乃「あなた達がそう言うからそう思えるの! 100%健全よ!」
演「捉え方は人による場合もある。百人聞いて百人キュンするのが理想」
菜亜乃「うっ、まあ、そうね」
粒音「でも、菜亜乃の閃きは悪くないかも。運動が足りないんじゃない? 私が手伝ってあげよっか」
演「いったい何を手伝うんですかねえ」
菜亜乃「どうせ前後運動とか上下運動よ」
粒音「私のも100%健全です! ていうか前後運動って何よ!」
演「前後運動はパンチ、キックのすぶり。上下運動はスクワット」
菜亜乃「粒音こそ、それを聞いてどうするのよ。気になるの?」
粒音「気ーにーしーまーせーん! ぜんっぜん気にしないわ!」
演「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!」
菜亜乃、粒音。演を見る。
演「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!」
菜亜乃「あ、うん」
粒音「いいのか、なあ。これで」
演「今までの中で、一番えっちくないと思う」
菜亜乃「えっちい関係ないけど、んー、まあ、ありなんじゃない?」
粒音「キュンするっていうか、今から運動しようって感じ? でも、これを候補から捨てるには、どこか惜しい気が」
菜亜乃「私達は今まで、長いこと紆余曲折してきたからね」
演「可もなく不可もなく、ということ?」
菜亜乃「想像してみましょう。弓さんは、今私達が考えているキュンキュンセリフを、クソ豚共が投票した上位8名の精鋭で言い合ってもらうように考えてるわよね?」
演「うん」
粒音「クソ豚という言葉に疑問はあるけど、まあ、うん」
菜亜乃「なら、皆が求めてるような声優の先輩方が、この言葉を言うわけよ」
演「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!」
粒音「なるほど」
菜亜乃「すると、どうなると思う?」
演「皆、えっほんと? って思う」
粒音「ということは、人気声優さんの声と、仲良くなれるっていうワードだけが自然と頭の中にすりこまれて、ほんわか希望をもつ?」
菜亜乃「イグザクトリー。ありね。これは、ありよ」
演「では、キュンキュンセリフということで、ファイナルアンサー?」
粒音「なるほど。そうかもしれない。けど、一応最後に私達で実際に言って、確認とろうか。これも決まりみたいなもんだし」
演「でも私達、人気声優じゃない。つまり言ってもキュン度が足りない」
菜亜乃「何言ってるのよ、演。私達、絶対将来人気声優になってやるんでしょ?」
演「そういえばそうだった。志、高く。自信は常にみなぎらせるべし」
粒音「というわけで、皆で言ってみよう!」
菜亜乃「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!」
演「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!」
粒音「運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって! よーし、これを新しいキュンキュンセリフに決定!」
運動って、二人でやると、もっと仲良くなれるんだって!
キュンキュンセリフに決定!
演「更に閃いた」
菜亜乃「素晴らしい演。早速言っちゃって」
演「運動、一緒にしよ?」
粒音「んおお、なんか良い!」
菜亜乃「たしかに。でもシンプルすぎないかしら?」
演「じゃあ、う、ん、ど、う。一緒にしよ?」
粒音「なるほど。そういう工夫ね!」
菜亜乃「うん。たぶん結構有りね。評価高いと思う」
演「じゃあ、皆で言って確認」
粒音「うん。う、ん、ど、う。一緒にしよ?」
菜亜乃「う、ん、ど、う。一緒にしよ?」
演「う、ん、ど、う。一緒にしよ?」
粒音「オーケーなら、キュンキュンセリフに決定!」
う、ん、ど、う。一緒にしよ?
キュンキュンセリフに決定!