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男子会議 あ

池戸「よし、それじゃあ続いてもう一個、決めちゃおう!」

堅谷「ああ、まだやるのか」

池戸「できるだけたくさん考えないといけないだろう。それに今、愛が残ってる。このキュンワードで、三個目のキュンキュンセリフを作りたい!」

友空「う、うん」

池戸「それじゃあ、愛につながる言葉だ。もちろんさっき決まった言葉はできるだけ禁止。さあ、考えるぞ!」

 池戸はそう言って、ホワイトボードに書いてあった、恋の部分の全てを消していく。

堅谷「愛してる。じゃ、さっきと似たセリフになっちまうな」

池戸「なるほど。じゃあまずそれを念頭におこう」

 池戸はボードに、してる。の言葉を残し、その続きに禁止。と書く。

友空「愛してる、以外。愛の告白とか、愛の力、とか?」

堅谷「それがキュンセリフになるか?」

池戸「いや、候補として十分強いワードだと思う。ひとまず書いておこう」

 池戸がホワイトボードに、告白。の力。と書く。

堅谷「大体、女をキュンってさせないといけないんだろ。だったら好きとかなんとか、そういう系の言葉をいれなきゃいけないんじゃねえのか?」

池戸「いや、たぶん好きは最終手段だ。大体、告白の定番セリフが好きだ。だろ。ならここではむしろ、好きだという定番セリフを、あえて外すべきだ」

堅谷「それでキュンキュンセリフができんのかよ」

池戸「もう2つできただろ。ずっとお前と、一緒にいたい。君の全てに恋してる。この中には好きという言葉が入っていない。きっと他にもまだキュンセリフはたくさんある。俺たちはそれを見つけられるはずだ。やればできるんだ」

堅谷「まあ、たしかに今までの流れを考えれば、いけなくはない、か?」

池戸「ということで、今回は愛だ。さあ、他に何か案はないか!」

堅谷「お前も考えろ」

池戸「思いつくのが大変なんだ」


 数分後。


池戸「君への愛が無限大。愛がこの胸からあふれてしまいそうだ。君への愛さえあれば、生きられる」

堅谷「どれもぱっとしねえなあ。言ってもこっちが恥ずかしくなるだけだろ」

友空「俺の愛を、受け取ってほしい」

池戸「よし、それも候補に加えよう」

堅谷「やめとけ。いや、今までの中で一番いいか?」

池戸「あがったものを書き留めておくのは大事だぞ。きっとこれがきっかけで何か別の視点が見えてくる可能性もある」

堅谷「そう思うのは勝手だがなあ。そうほいほい連鎖的に思いつければ苦労しねえぞ」

友空「受け取ってほしいでダメなら、他の言葉にしてみれば?」

池戸「そうだな。せっかくの案だから、改良してみるか」

友空「俺の愛を、感じてほしい?」

堅谷「それはなしだ。改良どころか逆に遠ざかってるぞ」

池戸「俺の愛で、とろけさせてやる!」

堅谷「ありえない。その後どうすんだよ。言ったら人生が終わるぞ」

 池戸と友空が、堅谷を見る。

堅谷「な、なんだよ」

池戸「いやほら、堅谷の番」

堅谷「マジかあ。あー、ほら、俺の愛に、包まれろ」

池戸「それは、良いのか?」

友空「わからない」

堅谷「あーはいはい、すいませんでしたっ。今のは俺が悪かったよ。下手なこと言って悪かったな」

池戸「いや、ひとまず3つとも書こう」

堅谷「書くなっ」

 池戸がホワイトボードに、俺の愛を感じてほしい。俺の愛でとろけさせてやる。俺の愛に包まれろ。を書く。

池戸「けれど堅谷の意見としては、俺の愛を受け取ってほしい。が一番だと」

堅谷「まあ、この中から選べばだがな」

池戸「うーんでも、俺の愛を受け取ってほしい。がキュンセリフかどうかは、いまいち自信がないんだよなー」

 その時、ホワイトボードを見ていた友空が、ぽつりと言った。

友空「愛し合うって、どう?」

堅谷「ん?」

池戸「それだ」

 池戸がホワイトボードに、愛し合う。と書く。

池戸「愛し合う。いや、愛し合おう。このワードは良いんじゃないか? 恋してるともかぶらない。一方的じゃなくて、相手との気持ちのやりとりもある感じがして良い」

堅谷「愛し合おう。か。けど、これだけじゃセリフとしては弱いんじゃねえか?」

池戸「だから、愛し合おうにつながる言葉を、これから探す。例えば、これから、とか、深く、とか、いっぱい、とか、ここで、とか」

堅谷「池戸。さっきからうすうす感づいてたが、お前言葉選びのセンスないな」

池戸「そう思うなら、もっと協力してくれ! いっぱい案を出してくれ!」

堅谷「はいはい。ええと、愛し合おうだろう。じゃあ、二人っきりとか、おぼれるくらいとか、朝までとかでいいんじゃねえか?」

池戸「お、いいぞいいぞ。きっとそれが女の子にキュンとくるに違いない。けど朝までだけは勘弁な!」

 池戸はホワイトボードに、二人っきりで愛し合おう。おぼれるくらい愛し合おう。を書く。

池戸「二人っきりで愛し合おう。おぼれるくらい愛し合おう。おっ、いいんじゃないか? 俺は、この2つから1つにしぼってキュンセリフに決めて良いと思う」

堅谷「決まるんなら、それにこしたことはねえな。早いとこ決めちまおうぜ。で、どっちにする?」

池戸「二人っきりでは、なんだか普通だな。特別感がない。けどおぼれるくらいって、キュンするっていう感じよりかは別よりな感じなんじゃないか?」

堅谷「どっちもダメだしかよ」

池戸「いやいや、それでもどっちもキュンセリフっぽく感じることに変わりはない。そうだな。俺は二人っきりを推す。変に危険な言葉を使うより、ストレートに伝わるようなセリフで良いと思う」

堅谷「決まりだな。なら俺も二人っきりだ。どっちも大して変わんない感じするしな」

池戸「よし、それじゃあ友空はどう思う?」

 友空は少し考えてから、意を決するように言った。

友空「愛し合おう、永遠に」

池戸「!」

堅谷「?」

友空「愛し合おう、永遠に。はどうかな?」

池戸「なるほど。ありだと思う。二人っきりと同じくらい、いや、それ以上かもしれない」

堅谷「ここにきて更にキュンセリフの候補追加かよ。まあ、決まるんならなんでもいいけどな。そうだな。愛し合おう、永遠に。ふうん、いいんじゃね? 確かに永遠に愛し合おうって言うよりも、そっちの方が雰囲気あるな」

 池戸はホワイトボードに、永遠に。と書いて、書いてきた言葉を見比べる。

池戸「こうしてみると、二人っきりは、この場を狭めて限定するような、二人だけの世界。みたいな感じがあるな。対する永遠に。は、互いに真の愛を誓い合う特別感を感じる。どっちも良い感じがするな」

堅谷「ふうん。まあ告る時なら、永遠にの方がいいんじゃね? 状況的には大抵二人っきりになってるだろうし、わざわざ言わなくても良い気がしてきた」

友空「俺は、せっかくだから、自分の案の、永遠にを推す」

池戸「なるほど。そう言われたら、俺も永遠にかな。二人っきりというワードは、もしかしたら他のキュンキュンセリフでも使えるような場面があるかもしれないし。けど永遠ににつながる言葉は、愛し合おうが一番な気がする」

堅谷「それだ。俺たちはまだ、このキュンセリフを他にも考えなきゃなんねえんだろう。なら、二人っきりというワードをとっておいてもいい。俺も、永遠にを推すぜ」

池戸「よし。それじゃあ最後に、自分達でも言ってキュンセリフと決定するか最終判断しよう。まずは俺から。ごほん。愛し合おう、永遠に」

友空「愛し合おう、永遠に」

堅谷「愛し合おう、永遠に」

池戸「全員に異論がないなら、これをキュンキュンセリフに決定だ!」

 愛し合おう、永遠に。

 キュンキュンセリフに決定!




全部で83話くらいになる予定です。

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