告白 と 体育祭
高校1年生の体育祭。
葵は、ずっと好きだった隼人へ告白をする。
まさかの告白に、隼人がとった行動とは?!
「私、体育祭終わったら、絶対告白する! 」
葵は、友人達にそう宣言していた。
相手は同じクラスの隼人。高校の入学式で、新入生代表挨拶をする姿に一目惚れし、半年間思いを募らせていた。
「やっぱり、手紙で呼び出す方がいいかな? 」
「それとも、LINEで告る方がいい? 」
毎日の応援練習に追われながらも、葵の頭の中は告白の事でいっぱいだった。無理もない、クラスの応援団長は隼人で、隼人の背中を見つめながら、応援の振り付けを練習するのだから。
堂々と好きな人を見つめる事ができる、こんなドキドキの日々が幸せでたまらなかった。
しかし、事件は体育祭当日に起きた。
借り物競走での事だ。私が引いた紙には、
「 好きな人 」
そう書いてあった。
この日は、9月も終わりだというのに残暑が厳しく、暑さでどこか正気ではなかった。
「 好きな人 」
その言葉1つで、私の身体中の体温が、より一層上昇した。
無難に、女友達や仲の良い先生を選べばいいものを、クラスのテント前に走った私は、1番前で応援していた隼人に声をかけてしまった。
「 一緒に走ってくれない!? 」
「おっ、おう! 」
隼人は、一瞬戸惑ったように見えたが、すぐに大きな応援旗を右手で持ったまま、左手で私の腕を引きゴールへと走り出した。
大きな応援旗が、バタバタと風に揺らされた。
私達は、勢いに乗ったまま、ゴールラインを少し通り過ぎた所で止まった。少し後ろには、借り物が書かれた用紙を確認している先生がいた。
恥ずかしさと動揺で顔を上げる事はできず、まして、隼人の顔なんて怖くて見る事などできなかった。
私は、右手に紙を握ったまま言った。
「 だって……、体育祭終わってから、ちゃんと言おうと思ってたんだもん…… 」
それはまるで、小学生が悪事を隠そうと、必死で言い訳しているかのようだ。
隼人は何も言わずに、私の右手のそれを取ると、自分の大きな手でクシャッと握り締めた。
「 先生、紙 風で飛んでった! 応援団の人 だって! 」
隼人は、先生にそう言った。
「 え……? 」
やっと顔を上げた私に、隼人は言った。
「 体育祭終わったら、ちゃんと俺から言うから 」
私は、大きな応援旗がテントへと戻って行くのを真っ赤な顔で見つめながら、3着の列に並んだ。
高校1年の体育祭。
私にとってこの日は、残暑厳しい特別な日になった。
少しでもお楽しみいただけましたでしょうか?
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