表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/174

侯爵令嬢の作ってきた脚本はやっぱり私を主人公にしたものでした。

お忙しい中読んで頂いてありがとうございます。

更にはその中、誤字脱字報告、感想、いいねして頂いて本当にありがとうございます。

ブックマーク、評価していただいた方には感謝の言葉もございません

翌朝、目に隈を作ったイングリッドがエルダと一緒に訪ねてきた。でも、なんだかイングリッドの表情はやりきったという満足感がにじみ出ていた。


「見て見て! アン、やっと脚本が出来たの!」

喜んだイングリッドが手に持った脚本を渡してくれた。


でも、私はその表紙を見て固まったのだ。


題名は『セカンディーナの赤いバラ』と書かれていた。


えっ、いきなり題名からして、なんか変だ。セカンディーナって母国のスカンディーナを少しもじっただけだし、赤いってひょっとして私の髪の毛のこと言っていないよね。

何か不吉な予感がそのまま的中したような感じがするんだけど。


私は脚本をパラパラめくると、隣国を追放された赤毛の元王女のヒロインが、隣国の学園に留学してきてクラスの皆に虐められるが、なんとか仲直りをして最後は攻撃してきた簒奪者を倒して自分の国に復帰するというものだった。


「ちょっと、イングリッド、このヒロインってこれってどう見ても私じゃないの?」

私が脚本を手に持って言うと、

「あああら、アンって自意識過剰ね。決してそんな事ないわよ」

イングリッドはとぼけてくれるんだけど。


「でも、赤毛じゃない!」

「髪はたまたまよ」

「セカンディーナって、スカンディーナのスの文字を一文字後ろにずらしただけじゃないの?」

「それもたまたまよ。名前を考えるのが面倒くさくて」

「それにベルーノも一文字ずらしただけじゃない」

「それもたまたま」

「そんなの通用するわけないじゃないでしょ」

私が言うが、


「もう、アンは何言っているか判らないけど、絶対に皆に受けるに違いないわ」

イングリッドは自信に満ちて言うんだけど。


「今度こそ、3年A組に勝って学園一位になるんだから」

目を怒らせて、希望に満ちた表情でイングリッドは言うんだけど。


今回の学園祭の出し物の演劇も全学年クラス対抗戦だ。一学期の球技大会で3年A組に負けた屈辱がイングリッドにまだ残っているらしい。

まあ、でも、あれは魔力量の多い3年生に負けるのも仕方がないんじゃないかと私は思うんだけど。


「ふんっ、この演劇は魔力量は関係ないのよ。それにいま巷で大流行しているのはアンを主人公にした演劇じゃない。こちらは何しろ本人が演じるんだから絶対に3年生にも負けないって」

「ちょっと、イングリッド、やっぱり私のことじゃない!」

「アンは煩いわね。そんなの見ただけでわかるでしょ。でも、巷もそうなんだから良いじゃない」

イングリッドは今度は開き直って言ってくれた。


「アンには悪いけど、両親を殺された可哀想な可憐な王女様が主人公って受けるよね」

エルダまで言うんだけど。

「そうよ、ここで憎き敵国の意地悪王女を撃退して、その父親をもやっつけるのよ。もう受けること間違いなしよ。それも演じるのは実際に本人だし。これで優勝出来ないと嘘でしょう」

イングリッドが応じる。


「いや、私演技なんてしたことないし」

「あんたはいるだけで十分に面白いわよ」

はあああ! それって演技となんにも関係ないわよね。エルダもそこ頷くな。絶対に変!


それよりも、こんなの絶対に外交問題になるだろう。

クラスの皆も反対するに違いないわ。


私はそう思ったんだけど、クラスの反応は違った。



「いや、これいいんじゃない」

「本当に良いと思うわ」

「あの、憎たらしい王女をギャフンっといわしてやるのよ」

アルフを筆頭にドーソンもメリーも賛成するんだけど。


「いやでも、これは流石に国際問題になるのでは」

私は皆に言うんだけど、皆、全く賛成してくれないんだけど。


「いや、絶対にまずいって」

私がそう言うんだけど、皆聞いてくれない。


「そうだ、これは良くない」

後から来たフィル様がやっと賛成してくれた。そうだ。さすが王太子殿下。これは国際問題ですよね。


「イングリッド、この、最後! 何故、王女が王子を捨てて、自分の騎士を選ぶんだ」

ええええ! そこが問題なの。私はフィル様を見た。


「仕方がないでしょ。だって傲慢王女からの決闘の申し出をアンの代わりに受けたのは、フィルでなくてメルケルなんだから」

さも当然のようにイングリッドが言うんだけど。


「何だと、いつまでその事を根に持つんだよ」

「あーーら、殿下ともあろうものが、一度失敗したら、二度目はないんですのよ」

イングリッドは腰に手を当ててフィル様を見下して言い切ったのだった。

フィル様が唇を噛んで両拳を握って耐えているんだけど。


その横では赤くなってメルケルが立っているし、何なのだ、これは。

いやいやいやいや、今悩むところはそこなの?


私の心配を無視してそのまま役決めのホームルームに突入したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この続きの物語

はこちら

『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした! 勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

https://ncode.syosetu.com/n3105hy/

ついにブルーノとの決戦です。

私の

新作始めました!


『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』

https://ncode.syosetu.com/n2856ii/
前世気弱で流され体質で言われるまま仕事していたら過労死してしまったアラサーのヒロインが、中学の頃いじめから助けてもらった悪役令嬢の下で侍女をする学園恋愛物語のはず……

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[良い点] セカンディーナワロタwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ