王女に私の騎士はボコボコにされてしまいました
「何を下らない事をしているのよ!」
私達を見て王女が馬鹿にした。
「そこの平民の男は、王女の私ではなく、反逆者の元王女、いや、平民の娘の騎士になったのね。さすが反逆者に最後まで従った騎士の息子なだけはあるわ」
傲慢王女は平然と言い捨てた。
「ふんっ、俺は簒奪した女王の娘の貴様の騎士になろうとは全く思わなかったんだが、アンネローゼ様を一目見た瞬間に、この方こそ、騎士としてこの身を一生涯捧げるに値するお方だと天啓を得たのだ。偽物王女の貴様に何がわかる」
馬鹿にしたように、メルケルが言い返してくれたのだけど。
「な、何ですって」
それを聞いて傲慢王女は流石にぷっつん切れたみたいだった。
ピンク頭と一緒で単純みたいだ。
そう思ったら皆に白い目で見られたんだけど・・・・なんでだ?
「我が君の禍根を断ち切ってご覧に入れます」
メルケルは私にそう言い切ると颯爽と中央に歩き出した。
私にはその姿が、とても神々しく見えて、思わず見とれてしまった。
その私をフィル様が何故か睨みつけてくるんだけど・・・・。
「メルケル様。頑張って」
「あの傲慢王女の鼻をへし折ってやって下さい」
「いけーーー」
「やっておしまい」
皆好きなことを言って応援している。
「ふんっ、言うことだけは一人前ね。このスカンディーナの学園最強の私の前にひれ伏せてあげるわ」
傲慢王女が大口を叩いてくれた。
「テレーサ様」
「頑張ってください」
「そんな平民騎士やっつけて下さい」
「行けーーー、傲慢王女。やっておしまい」
B組の面々も応援するが、最後のは絶対にピンク頭だ。隣国の王女だろうが、全く気にしていなかった。
「では、基本はどちらかが参ったと言うまでだ。そうか審判が止めた時だ。いいな、正々堂々と戦うように」
フィル様が二人に言い聞かせた。
二人は対峙する。
お互いに睨み合った。
「では、決闘開始」
フィル様が合図した。
メルケルは自らに魔力を纏うと、剣を上段に構えた。
「くらえ!」
そう叫ぶと駆け出した。
「ウォーーーー」
叫びながら駆ける。
「食らえ、衝撃波」
傲慢王女は手から衝撃波を出した。うーん、その構えはかめはめ波の構えなんだけど。
余計な動きが大きい。
メルケルはそれを避ける。
メルケルの真横を衝撃波が通過した。
「凄い、かめはめ波じゃない」
聖女が叫んでいるのが聞こえた。やっぱりこいつも転生者か。何かおかしいと思っていたのよね。
私はピンク頭が転生者だと初めて確信した。
「波!」
傲慢王女が続けて衝撃波を放つ。
メルケルが避ける。
「波!」
しかし、その次は避けられなかった。
魔力を纏った剣で弾くが、体勢を崩す。
「波!」
続けて傲慢王女が衝撃波を放つ。
それは今度は地面に這いつくばってメルケルは躱した。
それをやり過ごすと、剣を構えて傲慢王女の懐に飛び込もうと一気に加速するが、あと一歩足りず、目の前に
「食らえ、衝撃波!」
傲慢王女の衝撃波をモロに受けてしまった。
メルケルは吹っ飛んだ。
地面に叩きつけられる。
「メルケル!」
私もみんなも叫んでいた。
「ふんっ油断したぜ」
頭を振りつつ、メルケルは立上った。
「行くぞ、偽王女」
「ふん、平民騎士の分際で煩いのよ。食らえ!」
傲慢王女の衝撃波を避けてメルケルは駆け出すが、王女は次々に衝撃波を繰り出す。
2回目は避けられても3回目は避けられなかった。
メルケルが吹っ飛んだ。
頭をふって立ち上がるメルケルだが、そこに傲慢王女の衝撃波が命中する。
それからは一方的な勝負だった。
次々に衝撃波が命中してボロ雑巾のようにメルケルは弾き飛ばされた。
「ふんっ、そろそろ降伏したら」
仁王立ちした傲慢王女が降伏勧告したが。
「まだ、まだ。まだ負けん」
頭を振りつつメルケルは立ち上がるが、もうボロボロだ。
そこへもう一つ衝撃波を食らってメルケルは弾き飛ばされた。
もう止めさせようと思ったのだけど、メルケルは剣を杖にして必死に立上っていた。
「き、貴様のような偽王女に負けはせん」
「よくもそこまで言えるわね。判ったわ。終わらせてあげる」
傲慢王女はニタリと笑った。
「吹き飛べ、爆裂魔術」
傲慢王女がなんと威力の大きい爆裂魔術を使ったのだ。
凄まじい、炎がメルケルを襲ったのだった。
やばい、死んでしまう!
皆それを唖然と見ていた。
ズッドーーーーン
凄まじい、爆発が起こった。
「や、やばい、死んだんじゃない」
この声はピンク頭だ。
「ウッソーーー」
「メルケル様」
皆の悲鳴が聞こえる。
「ふんっ、私に逆らうからよ」
ふんぞり返った傲慢王女が言った。
そして、粉塵が消え去った時だ。
そこには、倒れたメルケルを庇う形で、両手を腰に当てたミニアンちゃんが立っていたのだ。
ついにミニアンちゃん登場です。史上最強の魔道士ブルーノの娘か? それともそのブルーノを撃退したアンか?
明朝いきなり決戦です。
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