仇の娘の王女と始業式で出会いました
今日から夏休みが終わって新学期が始まる。
1学期は怒涛の学期だった。公爵令嬢のエルダや侯爵令嬢のイングリッドと友達になるわ、王太子殿下と隣になるわ、挙句の果ては私が悪役令嬢のアンネローゼで王太子のフィル様の婚約者だと判明したりした。隣国の両親の仇のブルーノに襲われて急死に一生を得たりともう大変だった。
そして、夏休みはガーブリエル様の魔術の特訓や、ルンド先生の礼儀作法マナーの特訓に明け暮れた。
本当に大変だったのだ。
休みの日にはフィル様とデートしたり、デートしたり、うーん、本当に私がこの国の王太子殿下の婚約者のままでいいんだろうか? 何しろ私は、両親を殺された元王女にすぎない。フィル様にとってはと言うかこの国にとっては何一つプラスにならないのだ。隣国のブルーノは私を目の敵にしているみたいだし。下手したら戦争になるかもしれない。
私は未だに夢の中でブルーノに襲われたことを思い出すのだ。エルダとかはそんなブルーノの襲撃を撃退できたのだから凄いというのだけれど。それと王子様の婚約者になるという話は別だと思うのだ。
エルダとかイングリッドとも遊んだけれど、彼女らの家に行くのはいつも緊張する。公爵家とか侯爵家は私にとっては本当に敷居が高いのだ。
「何言っているのよ。あなたはいずれはこの国の王妃様になるのよ」
と二人は言ってくれるんだけど、いや、それは絶対にまずいだろう。スカンディーナも黙っている訳はないと思うし。私のせいで戦争になったりしたら嫌だ。
「アン、何も心配しないで。なるようになるから」
イングリッドは言ってくれるんだけど、そんなお気楽な訳はないと思うのだ。
結局、母とは結局あまり話せていない。母はあれから私を王女としか扱ってくれないのだ。いくら私はあなたの子供だと言っても聞いてくれなかった。今まで色々きつく言われたけれど、母さんは母さんなのに。
私にはとてもつらいことだった。
そんな、夏休みも終わって今日は始業式だ。
私はエルダとイングリッドと一緒に講堂に向かった。
講堂では夏休み明けで久しぶりに皆に会った。みんな元気に来ていた。私はホツとした。最もここにいるのは大半はお貴族様、それも高位貴族の方々なんだけど。
「何言っているのよ。あなたも隣国の王女様じゃない」
メリーに言われたけれど、私は元王女なのだ。今は単なる平民だ。下手したら平民だけれど、大商会の会長の娘のメリーの方が地位は上だと思うのだげと。
「何言っているのよ。あなたは20年ぶりのガーブリエル様の弟子じゃない」
メリーは言ってくれるんだけど。
ガーブリエル様と言えば本当に夏休みの特訓は大変だった。毎日クタクタになるまで王宮でしごかれて、その後のルンド先生の礼儀作法の特別講義があるのに、本当に止めて欲しかった。ルンド先生もルンド先生で本当に徹底的にマナーや、礼儀作法、貴族の名前と顔の一致やその土地の成り立ち等々、歴史や地理の先生も交えて徹底的にしごかれたんだけど。もう私は毎日体も、頭もへとへとになって疲れ切って寝ていたのだ。何か本当に大変な夏休みだったんだけど・・・・。
「えっ」
皆と話しているときだ。周りを見回していたエルダが固まったんだけど。
「どうしたの?」
エルダの方を見るとB組の席の前に銀髪の見慣れない生徒がいた。
銀髪緑眼でとても綺麗だ。スタイルも抜群で胸も私と違ってとても豊満だ。
その女がこちらをみた。いや、私を睨みつけたのだ!
え、なにこれ!
私はその瞬間に蛇に睨まれたカエルのように固まってしまった。
それは獲物を見つけた肉食獣のような鋭い視線だった。その視線には憎しみや蔑みやなんか嫌な感情がが混じり合っていて、その凄まじい感情を私に叩きつけてきたのだ。
私は気分が悪くなった。私は肉食獣に睨まれたうさぎのような気分だった。このままだと殺される! 私は恐怖を感じた。
誰なんだ。この女。
私が恐怖で震えた時だ。
その女はニヤリと笑って私に向けけて歩き出したのだ。
私は思わず一歩下がった。こいつは嫌だ。私は恐怖に心が支配された。
しかし、その時だ。私は後ろから柔らかく抱きしめられたのだ。
この感覚はフィル様だ。私はホッとした。
「大丈夫だ」
そう囁いてくれるとフィル様は私の前に出て女の視線から匿ってくれた。
「何故お前がここにいる。テレーサ・スカンディーナ。貴様の留学は拒否したはずだが」
フィル様は怒って目の前に着た女に言っていた。
ええええ! こいつ、スカンディーナの王女だったんだ。
私が両親の仇の娘と出会った瞬間だった。
この続きは今夜更新予定です。
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