表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/174

自己紹介で王太子に名前を覚えてもらいました

私は驚きのあまり固まってしまった。だって、このゲームの人気第一位のフィリップ王太子殿下が私の真横だったのだ。ゲームでは何回もやったし、王太子殿下は何回も攻略したけれど、いや、殿下は何も考えずに、普通にやるだけで、攻略できたのだ。SNSとか見ると攻略が大変だったとか書いてあったのもあったけれど。私には簡単だった。そのフィリップ殿下が私の隣なんてあり得なかった。



「どうかした?」

そのゲームで何度も見た絵姿ではない本物の殿下がこちらを不思議そうに見た。私は生フィリップ殿下をガン見していたことを思い出した。


「す、すみません!」

私は真っ赤になって慌てて前を見た。


なま、フィリップが私に話しかけてくれた。もう垂涎者だった。良かった、このゲームに転生できて。私は初めて神様に感謝した。まあ、転生したのはモブ以下だけど、でも、フィリップ殿下の横に座れるなんて!

夢のようだった。



「では、まず、自己紹介からしてもらいましょう。アルフ君からお願いするわ」

ルンド先生が言ってきた。


えっ、いきなり自己紹介? 夢見がちだった私はいきなり現実に戻された。


えっ、でも、自己紹介なんてどうしよう? 私が、憧れのフィリップ殿下の横で自己紹介するの?

そんなのいきなり無理。私は前日から自己紹介を考えていなかったことを後悔した。だって自分はEクラスだと思っていたし、平民相手なら、多少お貴族様が混じっていても、いつものままで問題ないと思っていたのだ。でも、殿下の前ではもっとちゃんとしたやつにしないと。私は必死に考えようとした。


「はい。アルフ・シェルマンです。親は騎士をやっています。この1年間宜しくお願いします」

アルフはあっさり終えてしまった。ちょっと待ってよ。まだ心の準備が・・・・。


「はい、次はアンさん」

「はい」

私は立ち上がった。頭の中が真っ白になった。殿下が横から私を見ている。嘘ーーーー! ゲームの最推しに見られて、私は更に慌ててしまった。


王太子殿下の前の席のエルダが笑ってこちらを見ている。ええい、もう、ヤケだ。いつもので行こう!


「私の名前は、末尾にeがつくアンで、姓はシャーリーです」

「えっ、アンさん。名簿にはANNになっていますが」

先生がつっこんでくれた。


いや、そこ突っ込まなくていいですから。いつもの癖で言っただけだから。


「そこは気分です」

「気分と言われても、最後がeだとアンネになるんじゃないからしら」

先生の真面目な返答に私は緊張と恥ずかしさから固まってしまった。


「アン」

斜め前からエルダが声をかけてくれる。そうだ。なんか話さないと。


「す、すいません。雲の上の存在の殿下の隣で頭が真っ白になってしまって・・・・」

私は何を話しているんだろう。


「えええ! 公爵令嬢の私の事は全く気にせずに呼び捨てなのに?」

ちょっ、ちょっとエルダ余計なこと言わないでよ。


「はい。アンさん、落ち着いて、って言っても無理ね。判ったわ。座って良いですよ。皆に名前は売れたみたいですから」

更にパニックになる私に先生が助け舟を出してくれた。でも、最後の言葉は気になるんですけれど。


「いきなり、殿下の隣では緊張もするわよね。でも、徐々に慣れていってね」

「はい」

私は素直に頷いたのだ。やはり私はまだまだなのだ。このクラスでは平民の私は静かにしていようと決心したのに。


「僕はバート・スンドグレーンです。この学園では色んな人と友だちになれたら良いと思います」

私の次も少し緊張していたけれど、スラスラ話していた。


あれ、次から次に話していくんだけど、話聞く限り、親の爵位が出てこないんだけど、皆、平民なの?


「末尾がeのアンさんの斜め前のエルダ・オールソンです」

とエルダに遊ばれて、私は頭を抱えていた。


「私、この学園に来るまではとても憂鬱でした。でも、昨日、生まれて初めて、お互いを呼び捨てに出来る友だちが出来たんです」

そう言うとエルダは私を見た。いや、もう止めてほしい。胃が痛い。先生の顔が少し怖いのは気のせいだろうか?


「それで、今はとても楽しいんです。殿下が最初におっしゃられてたように、この学園に身分の差はありません。出来たらもっとたくさんの友達を作ってこの学園生活を楽しめたらと思います」

そう言うとエルダは座った。


次は殿下だ。どんなふうな挨拶されるんだろう。私はフィリップ殿下を見上げた。下から見ても麗しい。そう思った私は次の瞬間頭を抱えていた。余計なことを言わねばよかったと本当に後悔した。


「後ろにeがつくアンさんの隣で、彼女を緊張させた張本人のフィリップです」

と、殿下にまで言われてしまって、私はもう真っ赤だった。


「エルダさんの言われるように、私のこともフィリップと呼び捨てにしてもらえば有り難いです。無理なら、フィルで」

そう言うと何故か殿下の視線が私に向いた気がするんだけど、何でだ。もう、絶対に同じミスはしない。そんなの真面目に聞いてその通りに呼んだら、それこそ貴族ご令嬢たちから殺される。

私でもそれくらい判るんだから!


それからも次々に挨拶していく。あまりにも次々で殆ど覚えられなかった。後でエルダに誰が貴族か聞いておこうと私は思った。


「皆さん。ありがとうございました。友だちの名前は少しは覚えられましたか。早く皆の顔と名前を覚えて仲良くなってください。

ただし、皆さん。親しき中にも礼儀ありですからね」

最後に先生が言われた。これは釘を刺したんだ。程々にしろって。それも目は私を睨んでいたように思う。


そうだ。皆平等は絶対に建前なんだから!


私は気をつけようと心に決めたのだ。でも、皆がそれを許してくれなかった。特にエルダが・・・・。


エルダの馬鹿・・・・


ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

続きは明朝、平民アンの学園生活はどうなる?

気になる方はぜひともブックマーク等願います。


次の舞台はおそらく学食です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この続きの物語

はこちら

『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした! 勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

https://ncode.syosetu.com/n3105hy/

ついにブルーノとの決戦です。

私の

新作始めました!


『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』

https://ncode.syosetu.com/n2856ii/
前世気弱で流され体質で言われるまま仕事していたら過労死してしまったアラサーのヒロインが、中学の頃いじめから助けてもらった悪役令嬢の下で侍女をする学園恋愛物語のはず……

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
面白れ~女とクラスで一気に有名になったね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ