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トイレ掃除で悪役たちと仲良くなりました

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

授業が終わって私達は中庭に集まった。

クラス委員と体育委員、エルダとバートとルーカスだ。


「どうだ。上手く、人形出来たか」

アルフが聞いてくる。


「私のはやっぱりとても小さかった」

私が言うと、


「俺は俺くらいの大きさだけど、火だからな」

「まあ、でも、いいわ。見せてよ」

アルフの言葉にイングリッドが聞く。


「出でよ、人形」

アルフのは人並みの大きさの火の人形だった。


「これで走れるの?」

「こんな感じかな」

アルフが走らせる。普通に走れている。やっぱり私のは厳しそう。


「あとは、火だから燃えるのがネックだよな」

「床は耐火だけど、ボールがな」

「手袋かなんか嵌めたら良いんじゃないかな」

ルーカスが言う。


「でも、水は厳しいだろう」

「氷にしても溶けると思うのよね」

「じゃあ、風でやってみるか」

横からフィル様が言う。


「風で出来るの?」

「障壁みたいな感じだろう」

「じゃあやってみてよ」

イングリッドの言葉にフィル様が詠唱を唱える。


「出でよ、手袋」

人形の手になんかかぶった感じだ。


「じゃあこれでも受けてみてよ」

イングリッドが小石を投げる。が上手く受けられない。


「うーん、すぐには無理じゃないか」

「まあね練習してみよう」

アルフの言葉にフィル様が答えた。


「アンの人形はどんな感じなの」

皆一通り出した後で、イングリッドが聞いてきた。

一応皆ある程度の大きさの人形だ。さすがに風魔術の二人は人形には出来なかったみたいだけど。



「とても小さいわよ」

私はことわってから構えた。


「出でよ、人形」

私が詠唱すると小さな人形が出てきた。


「すごい、この人形アンさんみたいだね」

フィル様が褒めてくれるけど、それは嬉しいのだけど・・・・。


「でもなんかとても小さいよね」

イングリッドか正直に言ってくれた。


「まあ、アンだから」

「食らえ」

アルフがいきなり踏みつけてきた。


ええええ!


私は人形に手を挙げさせて受け止める。


「ひ、酷い!」

エルダが文句を言う。


「いやでも踏みつぶせていないけど」

アルフが慌てて言っているけど、ミニアンちゃんになんてことしてくれるのだ。


「最低!」

私は人形の手で弾き飛ばした。


アルフの人形はそのまま弧を描いて後ろの木に激突したのだ。


ドシンっという音がする。


木に火が燃え移った。


「えっ」

「大変よ」

エルダとイングリッドで燃え始めた木の上から水をぶっかけた。


木は少し焦げた程度だ。良かった。これならバレないだろう。

私はホッとした。


「でも、アンさんの人形は凄いね」

フィル様に褒められて私は少し赤くなった。


人形も胸を張っている。


「大きさは最小なのに、力はすげえな」

「まあね。胸は本人に似て無いけど」

アルフが余計な一言を言う。


「アルフ、何か言った?」

「いえ、何も言っていません」

慌ててアルフが誤魔化した。


「アルフは掃除当番決定」

「ええええ! そんな」

イングリッドの言葉にアルフが叫ぶ。


「さあ、行くわよ。やるのは人形でだからね。人形でガンバってやってみよう」

イングリッドはそう言うと皆を連れて歩き出したのだ。




そして、向かった、女子トイレではドーソンさんらが掃除していた。


「えっ、何しに来たの? 私たちはちゃんとやっているわよ」

ムッとしてドーソンが言った。


「そんなの当たり前でしょう。今日は実験しに来たのよ」

「実験?」

ドーソンさんが聞いてきた。


「そうよ、皆で作った人形で掃除できるかどうかよ」

「人形で?」

「そうよ。丁度ここに女子10人いてトイレの個室も10個あるから一斉にやるわよ」

イングリッドが言う。


「さあ、皆、良い。一番早く出来た人は掃除当番を免除するわ」

「本当でしょうね」

イングリッドの言葉にドーソンが一番にやる気になっていた。


「私は嘘をつかないわ」

「判りました。私もやります」

「私も」

ヨセフィーナ、キャロリーナ、ディオーナ達も俄然やる気になった。


私は割り箸にスポンジ切ったものをつけて、トイレブラシ代わりにする。

「行くわよ。よーいドン」


皆一斉に人形を出して便器にトイレブラシを入れてこすりだす。

私は人形に中に入ってこすらせる。

これ結構大変なんだけど、人形が小さいから制御は簡単だ。


でも、皆まだ制御になれないみたいで大変みたいだ。


「あっ、やった。トイレの壁ぶち壊した」

男子トイレからルーカスの声が聴こえてくる。


「えっ?」


「ギャーーートイレの床が熱で溶けた」

これはアルフの声だ。


「ちょっとあんた達何やっているのよ」

そこにエレオノーラ・ルンド女史の怒り声が響いたのだった。


結局私たちは、ルンド先生に捕まって、延々怒られた。その上、罰として1ヶ月トイレ掃除を課せられることになってしまったのだった。


「あんた達何しているのよ」

ドーソンさんの呆れた声に対して私は何も言えなかった。


でも、これで少しはドーソンさんらと近くなったような気がするのは気のせいだろうか?


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この続きの物語

はこちら

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私の

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頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[一言] トイレだけに臭い仲に…(笑)
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