表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/174

なくなった教科書はビリビリに引き裂かれて出てきました

「あれっ、無いわ!」

お昼休みが終わって、帰ってきて鞄の中を見て私は慌てた。

昨日は寝る前に、確かに歴史の教科書はカバンの中に入れたのだ。

私が机の中とか一生懸命探していると


「どうしたの?」

エルダが声をかけてきてくれた。


「歴史の教科書がないの」

「えっ、入れるの忘れたの?」

「うーん、入れたはずなんだけど」

私は戸惑った。たしかに私の性格上忘れる可能性は無きにしもあらずなのだが、前の晩にノートで確認するようになってからはそれはないはずなのだ。


「どこかに紛れ込んでいるとか?」

「机の中は?」

アルフとかフィル様とか周りのみんなが心配して一緒に見てくれた。

しかし、無い。



そこへ歴史の先生が入ってきたのだ。メガネを掛けた年配の先生だ。


「では皆さん。教科書の20ページを開いて」

先生の言葉に皆は開く。


私は仕方がないので、教科書なしで挑もうとした。


「先生。シャーリーさんの教科書がないみたいなので、私が見せてもいいですか」

フィル様が言ってくれた。

いや、でも、そんなの無理。フィル様と一緒の教科書を見て勉強なんて出来ない。


「えっ、シャーリー君は、いつも外ばかり見ているから忘れ物をするんじゃないのか?」

先生は厳しいことを言ってくれたが、フィル様に対しては頷かれた。


ウッソーーーー。無理無理無理!


私は焦った。


でも、私は学校にあんまり行かなかったから経験がなかったが、好きな子と机が隣り合わせになって、一緒の教科書を見る事が出来る日が来るなんて、夢にも思ってもいなかった。



「もう少し机を近づけて」

フィル様が強引に私の机を自分の方に引かれる。


私は畏れ多くて、近づけないんだけど。


フィル様が真ん中に教科書を開いてくれる。


やっぱり、そんなの無理、と思った時だ。

私はフィル様の教科書がなにか変なのに気づいた。

な、なんとフィル様の教科書には始祖の顔にひげが書かれていたのだ。


うそっ!

これって不敬では?


私はフィル様の横顔を思わずまじまじと見てしまった。


よく見るとフィル様の教科書にはいろんな落書きがしてあった。ゲームでは判らなかったけれど、現実のフィル様は結構絵もうまい。


フィル様は私の視線に気づいたのか、ページを捲ってくれた。

そこにはこの前のベッティル様の口の中にイングリッドが辛子まみれのブロッコリー突っ込んでいる

様子が書かれていたのだ。そんなの見せるものだから、思わず私は少し笑ってしまった。


「シャーリーさん。なにかおかしいですか」

不機嫌そうな歴史の先生の声が聞こえた。

「いえ、すいません」

私は謝った。


その後でフィル様を睨みつけた。もう、変な絵を見せないでほしい。



結局、フィル様の隣で気になったのもあるけれど、フィル様の楽しい絵とかで、全然授業が頭に入らなかった。


でも、教科書はどこに行ったのだろう?


その後エルダとイングリッドらにも手伝ってもらって探したのだけど、見つからなかった。部屋に帰ってもなかったのだ。


「うーん、どこいったんだろう?」

大して広くもない私の部屋の探索なんて3人でやれば一瞬で終わってしまった。


「まあ、アンはクラスの女の子らに妬まれているから、誰かに隠されたんじゃない?」

イングリッドが言ってくれたけど、


「誰のせいでそうなったと思っているのよ」

私はイングリッドに文句を言っていた。でも、地雷原のイングリッドはそんな嫌味が効くわけもなく、


「それは最初の食事の時に、皆、フィルの隣は遠慮して避けているのに、そこに図々しくも座ったアンのせいじゃない?」

と黒歴史をわざわざ出してきてくれたのだ。


「いや、だからフィル様は見えなかったんだって」

私が必死に言い訳したが、

「ふーん、授業の時も隣りに座っているアンが?」

イングリッドには通用しなかったんだけど。

でも、そのときは本当に周りが見えていなかったんだって!


私は女の妬みがいかに恐ろしいかまだ知らなかったのだ。



でも翌日、必死に探しても無かった、失くなった教科書は出てきたのだ。

私の机の上に、無惨にもビリビリに引き裂かれた状態で!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この続きの物語

はこちら

『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした! 勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

https://ncode.syosetu.com/n3105hy/

ついにブルーノとの決戦です。

私の

新作始めました!


『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』

https://ncode.syosetu.com/n2856ii/
前世気弱で流され体質で言われるまま仕事していたら過労死してしまったアラサーのヒロインが、中学の頃いじめから助けてもらった悪役令嬢の下で侍女をする学園恋愛物語のはず……

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
おいおい、悪役令嬢のお約束を実行したらより親密になっちゃうじゃ無いかw
[一言] しかし、やる方も勇気あるなぁ アンは王子と公爵令嬢二人のお気に入りなのに 建前上、学園内は平等でも 実家に降りかかるリスク考えたら出来んと思うけどなぁ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ