ミニアンちゃん視点 娘の結婚式をこの目で見れて号泣しましまた。
続編(下の方にリンク張っています)記載の結婚式の様子を前編であるこちらにもあげました。
私はミニアンちゃんと呼ばれている。
でも、実はアンネローゼの母アンネなのだ。そう母の霊なのだ。
ブルーノに殺された時、最後の力を振り絞って、可愛い娘を守るために侍女のグレタと共に隣国オースティンに転移させたのだ。
そして、心配で神に祈っていたのだ。娘を守るためにこの世に残りたいと……
神は精霊として生き残ることを許してくれた。
私は二度と娘に直に触れることは許されない。
でも、精霊として見守れたらそれでよいと思っていたのだ。
可愛い娘は最初は私がいないことを気にして「ママ」「ママ」と私を探していたが、いつしかグレタを母として呼ぶようになっていた。
それは少しだけ悲しかったが、私が選んだ選択肢だ。それは仕方がなかった。
また、グレタは娘アンネローゼを王宮を頼ることなく平民として育てることにしたのだ。それをヤーコブと相談して決めていた。それも仕方がないことだと思っていた。私達が頼りないばかりにブルーノに反逆されたのだ。王女として亡命したら、隣国からの圧力に負けて差し出される可能性があった。現にローズマリーはブルーノに娘を売ろうとしたし……
娘はグレタを母として寒い冬も冷たい水仕事も平民として懸命にこなしていた。
手がしもやけであかぎれたのを見た時は心が凍ってしまった。
でも、それも仕方がないことなのだ。
何しろアンは平民の娘なのだから。
ブルーノの魔の手が娘に伸びなければそれで良しとするしかなかったのだ。
でも、その手さえ握れない。そのあかぎれた手を撫でてあげることもできない。抱きしめてやることもできない。私は悲しかった。
そんな私だったが、娘が王立学園に進み、なんとアンの作った人形に霊として宿る事が出来たのだ。
娘に触れられた時の感動は忘れない。娘の手は本当にかわいかった。
そして、そんな娘のアンを陰ながら、いや違う。心配のあまり思いっきり表舞台に出て守ったのだった。
まだまだ、足りない娘の代わりに、並み居る敵を弾き飛ばしてやったのだ。
無敵の使い魔、ミニアンちゃんとして!
まあ、それは良い。
それよりも今日はその娘の結婚式だ。
娘は産まれた時から、隣国の大国オースティン王国の王太子、フィリップと婚約していた。
しかし、私達両親が殺されて平民落ちしたのに、まさか、そのまま隣国の王太子と結婚するとは思ってもいなかった。
一時期そのフィリップの母のローズマリーの裏切りによって憎きブルーノに売られそうになったが、それもこれも、全て私の力で吹き飛ばしたのだ。
我ながら大人げないとは思っている。
まあ、しかし、私の力以上に娘やその仲間、そして、私の同級生たちがよくやってくれたのだ。
私達の目の前で娘が新郎のフィルと一緒にバージンロードを歩いていく。
私は感無量だった。
その新郎にスカンディーナの大司教が問いかけた。
「新郎フィリップ、あなたはアンネローゼを妻とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います」
フィルはそう言うと娘に微笑みかけた。
それに娘もほほえみ返して、
「はい、誓います」
二人の申請が済んだのだ。
そして、二人はキスを交わしてくれたのだ。
私の横ではその姿を見て私の侍女だったグレタが涙ぐんでいた。
「グレタ、ありがとう。娘が無事に大きく成れたのも全て一人で育ててくれたグレタのおかげよ」
私が言うと
「アンネ様」
グレタは涙に暮れて私に抱きついてきたのだ。
披露宴はもっと大変だった。
私の周りには、友人だったエルダの母のロヴィーサやイングリッドの母のユリア、娘の後見人だったヤーコブらが集まってわいわい騒いだのだ。
私も思わず、アルコールが入って過ごしてしまって、オースティン国王の学生の頃の嬉し恥ずかし物語を皆にバラしたり、師匠のガーブリエルの私の学生の頃の遅刻騒動などを面白おかしく話したのだ。
そして、お開きになろうとした時だ。私は与えられた部屋に戻ろうとした。
廊下を曲がったところで、私の目の前に白いウェディングドレスに身を包んだアンが現れたのだ。
「あんた、何しているの? 今日は初夜でしょ。さっさとフィルのところに行きな……」
私が言おうとした途中で、アンは私に抱きついてきたのだ。
私は固まってしまった。
「母さん、今までありがとう」
アンの口からその言葉を聞いて、私は固まってしまった。
まさかアンに知られているなんて思いもしなかった。
誰だ! ばらした奴は?
でも、今はそれどころではなかった。
涙があとからあとから流れてくるのだ。
私は何も言えずに、突然のことに動転し、恥ずかしくも号泣してしまったのだ。
まさか、あの時は慌ててアンを転移して逃がすことしかできなかった私がアンから感謝の言葉を言われるなんて思ってもいなかったのだ。それもこの手に再びアンを抱きしめられるなんて!
平民落ちさせてしまったアンには苦労しかかけていなかったと想っていたのだ。
私達がしっかりしていてもっとブルーノを警戒していたらアンにここまで苦労かけることはなかったのだ。
その私にお礼を言ってくれるなんて思いもしなかった。
私は恥ずかしいことに娘の胸の中で泣いてしまったのだ。
アンの美しいウェディングドレスは私の涙で汚れてしまったけれど、優しいアンは私が泣き止むまで、いつまでも私を抱いてくれていたのだった。
ここまで読んで頂いて有難うございました。
ここで、皆様に久々の新作のご案内を
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帝国建国からアンとフィルの結婚式まで書いています。まだの方はぜひともお読みください。
この下にリンク張っています。
最初が『転生して悲劇の王女』
でその次が『ヒロインに転生して』
読んで頂ければ嬉しいです!





