領都の女の子の独り言 殺されたと覚悟した時、ダサい格好の正義の小人が助けてくれました
私はマーリン8さいの女の子だ。
お父さんは1年前に病で亡くなった。今この地ではやっている病気の元になった病じゃないかと言われているけれど、くわしくはわからない。
お母さんは、お父さんが死んでから夜遅くまで働いている。時たまお母さんが酒くさいにおいをして帰って来るので何か悲しい。でも、お母さんはいっしょうけいんめいに働いて私がひもじい思いをしないように働いてくれているんだ。私は何も言えなかった。
つい先日、はやり病に私もお母さんもかかったけれど、なんと聖女様が来て治してくれた。
お父さんの時も聖女様がいてくれたら良かったのに、と思わないでもなかったけれど。りょうしゅ様がお願いして、さいきん、聖女様がこの町に来てくれたそうだ。
今夜もお母さんの帰りをずうーっと待っていたら、ずいぶん外がうるさくなった。
だれかよっぱらいがさわいでいるんだろうか? それにしてはうるさいな、と思った時だ。
がちゃんと音がしていきなり、外が明るくなった。
よく見るとむかいのイクセルの家のとなりがもえていたのだ。
私があわてて外に出ると、イクセルがこちらにかけてきてくれた。
「だいじょうぶか? マーリン」
イクセルがきいてくれた。
「ど、どうしたの?」
「わからない。どこかの誰かが火をつけたんだ。」
「ギャーーーー」
遠くで誰かのさけび声がした。
それとそれをおもしろがっているような声も。
そこにはマスクをした兵隊さんたちがいた。それもきっちりとした服そうをしている。
でも、かれらのけんは血まみれだった。
「お、お前ら何しているんだ」
イクセルが私を守って前に出て言ってくれたけど、これはやばいやつでは無いのか?
私の頭の中でベルがなりひびいていた。
「おい、ここにも子供がいたぞ」
「よし、殺せ。ブルーノ様は疫病を元から断つために全ての子供もふくめて皆殺しにしろとのご命令だ」
兵隊さん達はニヤニヤ笑いながらこちらに向かって歩いてきた。
「マーリン、逃げろ!」
「でも、イクセルも」
「早くするんだ」
そう言ってイクセルは私をかばってくれた。でも、その背に兵士が剣をきりつけるのがはっきり見えた。
「イクセル!」
私が大声で叫んだ。
イクセルは横にころがって剣をさけた。
でも、このままではころされる。
私はイクセルの手を引いて、にげようとして、石につまずいてこけてしまったのだ。
「マリーン」
上からイクセルがおおいかぶさってくれた。
兵士が剣をふり上げる。
もうおわりだ。
「神様、助けて」
私がいのった時だ。
剣がふり降ろされた。
私は目をつむった。
ガキーーーーン
大きな音がした
死んだ・・・・私は思わず思った。
でも、いつまでたってもいたくもなんともない。
私はおそるおそるめを開けると、そこには赤いマフラーをなびかせた小人さんが私達と兵士の間に立って剣を受け止めてくれていたのだ。
「貴様。我らが国軍の兵士に逆らうのか」
「何が国の兵士よ。国の兵士が聞いて呆れるわ。あんたら、街のならず者でも女子供には手を中々出さないのよ。平気で手をだすお前らはならず者以下よ。そんな悪魔の手先にはこの正義の騎士、鉄仮面様が成敗してくれるわ」
「ふん、そんな小さな体で何が出来るっていうんだ」
横にいた大きな兵がその小人にきりつけてきた。
今度こそ、ダメだと私は思った。
ガキン
しかし、その小人は剣を手で受け止めてしまったのだ。
「ふんっ、このようなヘナチョコ剣で私は切れぬ」
「くっそう」
男はそう言うと思いっきり小人さんをなぐってきた。今度こそ小人さんはやられたと私は思った。
「ギャーーーー」
しかし、叫んだのはなぐろうとした兵士だった。なぐった手をつかんでもだえているんだけど、なぐったほうがいたかったのだろうか?
「ふんっ、愚かな奴ね。正義の騎士、鉄仮面様に逆らうなんて、次は私から行くわよ」
そう言うと小人さんは飛び上がったのだ。
「ライダーキック」
何かさけんで足をつき出すんだけど、何かとても遅い。そんなので勝てるわけ無いと思ったんだけど。
「ギゃッ」
そのキックを止めようとして手をさし出した兵士が小人さんの足にふれた時にふっ飛んでいってもえている家につっこんで行ったのには私はおどろいた。
手をつかんでさけんでいる兵士は小人さんのキックをモロにうけていた。
その兵士は空を飛んでいった。
「す、すごいね。小人さん」
「本当だ。助けてくれてありがとう」
私たちは小人にお礼を言った。
チッチッチッ
小人さんはひとさしゆびをふって言った。
「子供たちよ。私は小人さんではない。おもちゃの国からやってきた正義の騎士、鉄仮面だ」
「ええええ、でも、何でそんな変なおめんをつけているの」
「変なお面・・・・」
小人さんが固まった。
「そうだよ。なんかかっこうもダサいし」
イクセルは無敵だ。私でさえ、そう思っても口に出さなかったに。
「ダサい?」
小人さんは更に固まってしまった。
「このやろう」
それを見て残っていた兵士がきりかかってきたけれど、ダサい小人さんは一瞬で男をけりたおしていた。
「これだからガキは嫌なのよね」
いやそうに、小人さんが言うんだけど・・・・。
「ダサいなんて、次言ったらもう助けてやらないからね」
そう言いながらダサくないと思おうとした小人さんは手から水をチョロチョロ出している。
「なんか、その水の量も少なくない? そんなので・・・・・」
イクセルがバカにしようとした時だ。
そのチョロチョロの水があっという間にとなりの家の火を消し止めてしまったのだ。
私たちはびっくりしてそれを見ていた。
「人は見た目じゃないのよ。よく覚えておきなさい」
そう小人さんは言うと
シュワッチュ
私たちを助けてくれたダサい小人さんはおたけびを上げて空に向かってとんで行ったのだ。
私たちは二度と小人さんに会うことはなかったけれど、そのダサいかっこうで私たちを助けてくれた小人さんのことは死ぬまでわすれなかった。
ちょっと色んな面で残念なミニアンちゃんですが、その力は無敵です。
ブックマークまだの方はブックマークを
広告の下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると嬉しいです!





