奥さんが村長宅に怒鳴り込んで来て、聖女にされてしまいました
「あ、アンネ様!」
男はミニアンちゃんを見て呆然と突っ立ったのだ。その顔は唖然としていた。
「さっさとアンの縄をほどきなさい」
「ひっ、ひぇーーーー」
男は腰を抜かしていた。
「あ、アンネ様のお化けが出た」
男は後手で後退りするや、大慌てて、地下から飛び出して行ったのだ。
「あいつ、アンを縛ったまま、放り出して行くなんて」
そう文句を言うとミニアンちゃんは、後ろに回って私の縄をほどこうとしてくれた。
ええええ!
何か人形が勝手に動いているんだけど、そういうものなの?
そうか、私が心の底でそう思っているんだろうか?
私にはよくわからなくなってきた。
「しかし、この縄きつく縛ってあるわね。いっそ燃やしてしまおうかしら」
「ちょっとやめてよ。あなたが魔力使ったら下手したらこの家、燃やしちゃうじゃない!」
ミニアンちゃんのとんでもない一言に私は慌てた。
「ええええ! そんなことないわよ」
「いや、絶対にそうなるから止めて!」
何で自分で自分の人形を説得しなければ行けないのだろう? 私は嫌になったが、
「本当に面倒臭いわね」
ぶつぶつ文句を言いながら何とかミニアンちゃんは私の縄をほどいてくれた。
「やっとほどけたわ」
「有り難う!ミニアンちゃん!」
私は手で縛られたあとをさすりながらお礼を言った。
「ちょっと、アン、あなたのきれいな手に傷がついているじゃない!やっぱりこの村を消すわ」
「ミニアンちゃん! そんなことしないで! こんなのたいした事ないから」
私が必死にミニアンちゃんを抑えている時だ。
「何をしている?」
そこに怒った村長が入ってきた。
「この小人はなんなのだ! 誰が中に入れた?」
「だから村長! アンネ様の幽霊ですって」
後ろから怯えたハッリが言う。
「そんなわけあるか? アンネ様は15年前に亡くなったのだ」
「あなたがこの村の村長なの?」
ミニアンちゃんが振り返って村長を睨み付けたのだ。
「あ、アンネ様」
持っていた棒切れを村長は落としていた。その顔は驚愕に彩られていた。
「だから言ったでしょうが」
ハッリがどや顔で言った。
「お許しください。俺たちはなにもしていません」
ミニアンちゃんに村長らは平伏しているんだけど、そんなに母に似ているのか?私には良く判らなかった。
「何言っているのよ! この子を捕まえて牢にいれているじゃない」
ミニアンちゃんはきっとして私を指差して言い募った。
「それはその子が、疫病を持って来たと思ったからで」
「何言っているの!この子は私のむす・・・・」
「わああああ」
私は慌ててミニアンちゃんの口をふさいだ。
余計なことは言わなくて良いのだ。
ドコン!
しかし今度は上で大きな音がして、一団が入って来るのが聞こえた。
「お待ちください」
侍女らしき者のの声に、
「うるさいわね! アンはどこにいるの」
「それは」
「さっさと場所をお言い」
「でも、しかし、」
「うるさいわね!もう良いわ。とっととそこをおどき」
この大声はヒルッカさんだ。ということは元気になったんだろうか?
「お前は」
後ろを振り返って叫ぶハッリを蹴飛ばしてヒルッカさんが入ってきたのだ。
後ろには頬を真っ赤に腫らしたヘイモさんを連れていた。思いっきりヒルッカさんに張り倒されたみたいだ。
ヒルッカさんは私が牢の中にいるのを見ると前にいた村長を一瞬で弾き飛ばして私の前に来るとな、なんと平伏したのだ。
「聖女様。あなた様のお陰で病が癒えました。本当にありがとうございました」
「ヒルッカさん止めてください。私は単なる平民のアンで」
「何を仰るのです。ヒールで私の病を治して頂けたと聞きました。ヒールを使えるものなど、聖女様以外いらっしゃいません」
「この女がお前の病を治したのか」
「このボケ村長! 聖女様を何で牢に閉じ込めている」
村長もヒルッカさんに張り倒されていた。
この村で一番強いのはヒルッカさんかもしれない。後で聞くと、ヒルッカさんはこの村のガキ大将だったらしい。
慌てた村長らに牢の外に出してもらったのだが、今度は聖女として崇め奉られることになってしまったのだった・・・・
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