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殺された騎士の息子視点4 大魔術師に魔術の使い方を習いました

俺はそれから変わった。こんなのでは全然ダメだ。今のままでは全然アンネローゼ様の力になれない。せめてブルーノに一太刀浴びせられるまでにならないと。


俺は朝昼夜と必死に稽古をした。魔術も強化するために魔術の教師に頼み込んでもみた。


「先生、お願いします。強くなるために私でも使える魔術を教えて下さい」

俺は風魔術の先生に土下座をせんばかりに頭を下げていた。


それを何か忌々しそうなものでも見るように王太子は見ていた。

何もそんな目で見ることは無いだろうと俺は思うのだが。


「うーん、そうは言ってもなメルケル。お前の魔力ではなかなか教えられる魔術が無いんだが」

風魔術の先生が困惑した顔をしてくれる。まあ、ダメで元々なんだけど、今のままの俺では駄目だ。


「そこの小僧。それだけ強くなりたいのか」

俺は声のした方向を見ると、そこにはこの前アンネローゼ様を徹底的に鬼のようにしごいていた、この国の大魔術師のガーブリエル様がいたのだ。


「ガーブリエル様!」

先生も大魔術師の登場に驚いていた。


「はいっ。今のままでは私は無力すぎます。少しでも我が主のためになればと、何卒お教え下さい」

俺はガーブリエル様の前に土下座していた。


「まあ、その心意気や良しだ。そばにいる尻の穴の小さい王太子とは違うの」

ガーブリエル様が言われる。


「何を言われるのですか。ガーブリエル様。私は教えるなとは一言も申しておりません」

王太子が文句を言うが、

「ふんっ、そう言いつつ、アンの騎士が強くなるのは気に入らんか」

「そんな訳ないでしょう。アンは今でも危険です。その騎士が強ければそれに越したことはありません」

ブスッとして王太子が言うのだが。



「ふんっ、まあ、良かろう。そこの騎士。貴様はアンの騎士と聞く。アンの役に立つこともあろう」

ガーブリエル様は俺を見てくれた。


「風魔術を使ってみよ」

「はい」

俺は習いたての風魔術を剣に纏って剣を強化する魔術を発動した。


「うーむ、もう少し大きくは出来ないか」

「これでいかがですか」

俺は必死に魔術を纏った。しかし、そんなに増えていない。元々魔力は少ないのだ。


「それで、限界か」

ガーブリエル様に聞かれて

「もう少し」

しかし、それ以上はいくらやっても出来ずに、俺は魔力切れで思わず倒れそうになって地面に座り込んだ。


「見た感じ、お主には魔力があまりなさそうじゃな」

倒れ込んた俺を見てガーブリエル様が言われた。俺は慌てた。このままではガーブリエル様にまで見捨てられる。なんとしても防がねば。


「魔力のない分は努力でなんとかします。なんとしてでもアンネローゼ様のお役に立ちたいんです」

俺は必死に言い募った。


「ふんっ、努力でなんとかなるほどの魔力もなさそうじゃが」

ガーブリエル様は俺を上から下まで見てくれた。


「まあ、アンの盾くらいは務まるか」

ガーブリエル様は一人で納得すると俺を手招きしてくれた。


「貴様の心臓の前に障壁を張ってみよ」

「障壁でごすか」

俺は障壁を出そうとして失敗した。そう、障壁はなかなか難しいのだ。


「自分で壁をイメージして出すのじゃ」

「壁をイメージですか」

俺は透明の壁をイメージして見る。しかし、全然出来ない。


「貴様の魔力ではそんな大きいのはなかなか厳しかろう。まず、これくらいの大きさで作ってみるのだ」

ガーブリエル様は親指と人差指を合わせて10円玉大の円を作られた。


「えっ、そんな小さいのですか」

「貴様が魔力がなくて、できんからその大きさなのであろうが」

そう言ってガーブリエル様は俺の頭を叩いてくれた。


「はい。すいません」

俺は言われた大きさで、障壁を張った。その大きさならば出来た。

でも、こんなので役に立つんだろうか?


「貴様の魔力ではそれが精一杯だろうて」

ガーブリエル様が言われる。


「それを何十回、何百回何万回と出すのだ」

「はい」

俺は言われたように、作っては消してまた作るのを繰り返した。


「それを完全に体に染み込ませるのじゃ」

「体にですか」

俺はガーブリエル様の言葉を復唱した。


「そうじゃ。そして、今度はそれを動かすのじゃ」

「動かすのですか」

俺は驚いてガーブリエル様を見た。


「そうじゃ。儂が見本を見せてみよう。その方、思いっきり儂に打ちかかってこい」

「宜しいのですか?」

「構わん。貴様の大きさの障壁で防いでくれよう」

ガーブリエル様が小さな障壁を前に出された。


俺は思いっきり模擬剣で斬りかかった。

それをガーブリエル様は小さな障壁で防がれる。


俺は次に横から斬りつけた。


しかし、ガーブリエル様はその小さな障壁を横に動かさて防がれた。


俺は何回も打ち掛かるがガーブリエル様は全て小さな障壁を動かされて防がれたのだ。


「な、なるほど」

「納得するな。ここまでなるのには貴様では10年くらいかかるかもしれんぞ」

「いえ、必ず物にしてみせます」

俺は言い切った。そうだ。アンネローゼ様の盾になるために、必死に頑張らねば。


「まあ、そうじゃな。それが少しでもうまくいくようになれば、ブルーノの初撃くらいは防げるようになろうて」

そう言うとガーブリエル様は大声で笑われると転移で消えられた。


「ありがとうございました」

俺は消えられた方にいつまでも頭を下げていたのだ。


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この続きの物語

はこちら

『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした! 勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

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ついにブルーノとの決戦です。

私の

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「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
金貨や銀貨だと書いてあったように思ったけれど、此の世界10円玉とかが通じるの? ガーブリエル様が身に着けさせようとする小さな障壁、 GS美神の横島忠夫がやっていたサイキックソーサーになりそう。 身を…
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