0007 超強化と大自爆
俺は紙にひたすら古代帝国文字を書いていた。というのもイイザカが本の内容だけでなく、書かれている文字も見たいと言い出したためだ。1冊の本を読むだけならばまだしも、本に書かれている文字すべてを紙に書き写すのは大変だ。
1~2時間ごとに貴賓室に来るイイザカに区切りのいいところまで写した文字を読みあげる。その度に何やら感動しているようだが、正直暑苦しい。これがかわいい少女なら少しはやる気もでるのだが…。
3日かけ、本のすべてを訳すことができた。翻訳した分の金はもらえるのだろうか? 貴賓室の使用料と食事代で相殺されたりするのかな。さすがにそれは勘弁してほしいが…。
古代帝国文字で書かれた本にはたくさんの強烈な秘技が記されていた。だが、それらのほとんどは習得に最短でも十数年かかるものばかり。すぐに会得できそうなものは二つだけである。
自分の寿命を削り能力を強化する「超強化」
命を力に変え敵ごと自爆する「大自爆」
どれも使えば五体満足にすまない秘技だが、魔物に対抗するにはこれに頼るしかないのが現状だ。秘技を使わずに戦えば戦果も得られず無駄に死ぬだけなのだから。
図書館にはとてつもない数の本がある。他に古代帝国文字で書かれた本がないか、魔法使団が探索し始めたらしい。騎士団はまあ、あれだ、いわゆる脳筋揃いなので本の探索には向いていない。
また別の本が見つかったら俺が読むことになるだろう。それが済むまでは追い出されることはなさそうだ。
皇帝、宰相、イイザカ、騎士団長や魔法使団長らの帝国軍団長数名が秘技の運用について会議を開いているらしい。秘技を使えば魔物も帝国軍によって倒されるだろう。帝国に平和が訪れる。
あれ、よく考えてみたら秘技って別に魔物相手に限定する必要ないんじゃないか? 秘技を使えば魔物以上の力を出すことができる。その力を他国の兵に使ったら世界征服も簡単にできるのではないか?
魔物だけに効果がある秘技ではないし。皇帝がまともな人ならいいけど、この世界ってどうなんだろう。弱肉強食、侵略される方が悪いみたいな感じだったりするのかな。戦争とか勘弁してほしいが。俺のせいで戦争が起きて死ななくてもいい人が死んだりするのはさすがにきつい。
今回、会話がなかったことに気付きました。読み辛かったらすみません。