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0005 図書館にて

「こちらが帝国語…この国の公用語で書かれた本です。そして、こちらが王国語…近隣の王国の文字で書かれた物になります。」


 帝国の図書館に俺とイイノさんはいた。翻訳ならできるかもしれないと伝えたところ、いろいろな言語の本がある図書館に案内されたのだ。


「勇者は雷と共に竜の首を切り落とした」

「帝国語は問題ないようです」


「迷った時は進め」

「王国語も問題ありません」


 帝国語と王国語は、この世界の二大言語なのだそうだ。話せればどこの国でも日常会話に困ることはまずないらしい。

 残念なことだが、俺は文字が読めても書くことはできなかった。翻訳するなら俺が読んで誰かに書いてもらうか、文字を勉強するしかない。


「イイノさん、王国語を少しでいいので話していただけますか?」


 大丈夫だと思うが、王国語を聞いたらどうなるかも試しておこう。


「はい。雨は川になり海になる」


 意味はわかるけど、全部、日本語に聞こえる。帝国語と王国語の区別がつかない。帝国語以外の時は字幕を表示してくれたらなあ。


「〔海は雲となり、また、雨に戻る〕」


 王国語の王国文字が字幕で現れる。すごいな。これで、区別が容易につく。


 そのあと、十数冊の本を読んだが、どれも問題なく読むことができた。


「私は帝国語と王国語以外はわからないのですが、おそらく大丈夫だと思います」

「翻訳家になれそうですか?」

「訳だけなら問題はありません。ただ、物語は帝国に馴染むように訳す必要があるので」


 訳のセンスが求められるってことか。確かに翻訳家によって本の面白さは変わるしなあ。


 本の片付けに入る。一冊だけまだ訳してなかった本があることに気付く。


「イイノさん、この本まだですね」

「この本は古代帝国文字で書かれているらしいのですが、見ての通り白紙なんです。他の本に紛れて持ってきてしまいました」


 本を開いて中身を見せてくれる。


「ああ…」

「どうかされましたか?」

「なんか、文字が見えて訳もできそうなんですけど…」

「ええっ!」


 読めたら不味い本だったようだ。


続けることを努力として、努力の成果が出たら嬉しいなあと思います。

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