0015 賢者の息子の娘
「初めまして。ヒラノと申します」
[ヒラノ 13才 帝国大学1年]
イイノさんやコオリさんの現場復帰に伴い、新しく俺の補佐…監視役となったヒラノさん。
「よろしくお願いします。ヒラノさん」
「花太郎さん、私はただの学生であなたより年下です。なので、敬語で話さなくても結構です」
ただのではないと思うけどな。彼女は帝国大学の学生で、卒業したら官僚の道が開かれている。いわゆるエリートである。それに…。
「おじいちゃんのことも私には関係ありませんので。お気になさらず」
イイザカの息子の娘ということらしい。息子の娘なら、孫とか孫娘でいいのではないかと思うが、本人がそう言うのだ。なにか思うところがあるのだろう。
「よろしく、ヒラノちゃん」
「ヒラノちゃん…!? まあ、いいでしょう」
イイザカの孫というのも複雑だなあ。あの爺さんに無理やり召喚された者としては…。
「花太郎さんにはこれから国中の怪我人や病人を治してもらいます」
国中を回って患者の治療を行う。俺の力については特に緘口令をしくつもりはないようだ。はたして何日くらいかかるのやら。
「花太郎さんの護衛と、患者の取次は私にお任せください」
13才の少女に護衛されるというのもどうかとは思うが、彼女はかなりの魔法の使い手らしい。
患者の取次についても、俺が町の住人に治療をさせてくれと言ったところで、門前払いされるのは目に見えている。なので、彼女の存在はありがたい。なにせ、賢者の…息子の娘なのだから。
「馬車を用意しましたので乗ってください」
そういえば、この前は馬車に乗り損ねたな。馬車には乗ったことがなかったから、乗ってみたいと思っていたのだ。
「今日の予定です」
収納魔法から紙の束を出し、こちらに見せる。怪我人や病人、亡くなった方の名前と住所が書かれていた。
「魔力が切れそうになったら教えてください。回復アイテムか段取りの変更を行いますので」
「わかりました」
「敬語禁止です」
なかなかクセは抜けない。
「わかった」
ぎこちない会話。馬車は動き出す。
当初の予定としてはイイノやコオリを護衛に国中の患者を治す予定でしたが、二人はまず古代帝国秘技をマスターするのが先だと思いました。二人とも現場に復帰せずに花太郎の護衛に就くのはなんか違うなあと感じましたので、賢者の息子の娘のヒラノを出しました。敬語ではない花太郎がどんな風に人と話すのか、少しずつ書いていけたらいいなあと思っています。




