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星と月と太陽  作者: 水無月
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プロローグ

 生まれた時から一緒だった。


 いや、それより前に出会っていた。


 産婦人科で知り合った二人の母。年齢が同じ、お互い初産で、予定日も近い。


 気があった二人は、マタニティー教室などにも一緒に通っていたから、二人はお腹の中にいた時からその存在を知っていた。


 生まれた日も一緒。あたしは星が降る様な真夜中、彼は朝日が昇る頃に生まれた。


 新生児室で隣同士に並んだ写真が、あたしたちの初めての写真。


 それからずっと一緒だった。


 幼稚園に入るまでは互いの家を毎日のように行き来していた。やがて彼はあたしの家の道場に通うようになり、幼いあたしたちは共に稽古に励んだ。


 幼稚園は一緒、小学校も一緒。中学校では違う学校になったけれど、彼は毎日のように道場に顔をだしていたから、会わない日の方が少なかった。



 あたしに一番近い人が彼で、彼に一番近い人があたしだった。


 彼があたしを一番理解していて、あたしが彼を一番理解していた。


 それが当たり前で、変わる事なんて想像もしていなかった。




 だけど――。



 あたしの頭を何のためらいもなく優しく撫でる手が、いつの間にか大きく男らしくなったその手が、一人の女の子に触れようとして、でも躊躇いがちにひっこめたのを見て、気付いてしまった。


 その横顔に浮かぶ、秘められた情熱を知ってしまった。



 

 彼が他の子に恋をしていると悟った時、あたしは初めて自分の気持ちを理解した。



 兄妹だと思っていた。



 親友だと思っていた。



 でも、それは違うと今ならわかる。




 ーーあたしは、彼に恋をしていた。


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