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探偵・志木仙水  作者: キチ右衛門
鮮血の病棟
8/10

硝煙の匂い

息を荒らげながら、警察本部に着いた宵越は乱れた髪を払ってデータベースに接続した。


「........これだ!」


俺が確認したかった事は、”今回起きた事件”と”ある事件”の内容に一致する点があるということ...。

ある事件の名前を忘れてしまっていたが、事件が起きた年は知っていたから調べたら直ぐにヒットした。


今から約28年前に起こった日嶋町20人連続怪死事件、別名”能面事件”、被害者は10代から70代まで幅広く、被害者は全員”どこかしらの指紋が削ぎ落されていた”。


犯人と思われる人物は未だに見つかっておらず、”平成最大のタブー”と言われた迷宮入りしてしまった事件だ、しかも時効が成立してしまっており、例え犯人が見つかったとしても逮捕することはできない...。


取り合えずこの情報は法寺さんと.....志木さんに伝えないと。


宵越がパソコンから離れようとした時、誰かが背中をたたいた。

「何をしているんだ?」と声をかけてきた人物は、この警察本部の署長、警視正だった。


「今回自分が担当している事件が”能面事件”に共通する点が多くて、それについて調べていただけです。」


阿和警視正は小さなため息と返事を混ぜた「ぁ....ほどほどにしておけよ。」という返事をした。

宵越はお辞儀をして、警察本部を去っていった。


宵越が去ったあと、阿和警視正は自身の手のひらをおもむろに触り、「タブーに触れるか....。」と言葉を残し、暗闇の中に消えていった。


宵越から連絡がきたのは喫煙所での会話の3時間ほど後だった。


私の中で引っかかっていたのは何なのかがわかったのだ、宵越の調査によって、”私の父が挑んだ最後の事件”に共通する点が今回の事件にあるということだ。


なぜ能面事件と呼ばれるようになったというのか、その理由は犯人らしき人物が”能面”を被っていた映像があるからだ、単純だろう?


その映像だけでは能面の足取りはつかめなかったのだがね。

法寺さんにも連絡が行っているだろう、一度合流して情報を確かめよう、私も丁度わかったことがあるからな。


志木は法寺と宵越に連絡を入れ、喫煙所に集合するように伝えた。


宵越は、たまたま煙草を吸っておりその場で待つことにした。

「この事件の犯人は、能面事件の信者か..それか.....。」


そんな考え事をしている時、足音が近づいてきていた。

誰か来たのか?と喫煙所から顔を出し確認すると、宵越は戦慄した。


能面を被り、黒装束に身を包んだ性別不明の人が近づいてきていたのだ。

宵越は急いで扉を閉め、拳銃の安全装置を外した。


「来るなら来いよ....。」


手の震えが止まらない、膝が笑ってる、恐怖に包まれて頭が真っ白になっていた。

能面は懐から、トンカチを取り出し、思いっきり喫煙所のガラスに向かって投げつけた。


喫煙所のガラスは内側に破片が飛び、宵越の利き手を深く傷つけた。

右手の鮮血が止まらない、力が入らず拳銃を握れない、能面は今にでも喫煙所の中に入り込もうとしていた。


その時、宵越は能面の不可解な動作に気が付いた、能面は何故か左の手袋の親指と人差し指だけ覆われていなかったのだ。


トンカチは左手で投げられたものだ、俺がここで死ななければ証拠を掴める可能性が高まる、けど、後ろには逃げ場はない、扉から出るにしてはもう遅すぎる。


能面はナイフを取り出し、こちらへ走ってきた。


その時、一発の威嚇射撃と共に、すぐさま2発目が放たれ、能面の脇腹を貫いた。

能面は少しうろたえはしたが直ぐに体制を整え、暗闇の中へ消えていった。


宵越の肩の力が一気に抜け、「待ってましたよ。」と法寺に向けて言う。


駆け付けた法寺はすぐさま外に待機している警察たちに連絡をした。

「大丈夫か?、脇腹を撃たれたんだ、これで捕まってくれることを願うしかないな。」と息を漏らした。



しかし、能面がこの日捕まることはなかった。

ほそぼそ続けれるのか?

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