隠せぬ尻尾
人は小さなほころびを見落とすことで、大事な事も同時に見落としてしまうことがある。
人間誰にでもミスがある、失敗があると励ましの言葉を使うときがあると思うが、私が今置かれている状況下で”そのような甘い考えを持っていてはならない。”
いつもそのように頭の片隅に”信条”のようにおいているのだが、今回ばかりは焦っている。
前回の事件の遺体を初めて見たときに”気付くべきだった”点を見落としていたのだ。
___遺体発見から20分後
被害者の病室に捜査網が張り出され、一般の人や”私のような”半端ものは追い出されてしまった。
しかし、この警察が到着するまでに遺体の気になるところは写真で撮っておいたのだ。
その撮った写真を確認しようとした時、法寺さんから写真が送られてきた。
氷川さんの全身、頭、喉、手、足、隅々まで、私が確認したい部位の写真をスクロールして探していった。
おっ、これだ。と声を出してしまったが周りには誰もいない、私が確認したかったのは、被害者の手のひらである。
「.......やはりか。」
氷川さんの”左手の”親指の皮が丸ごと”削がれていた”。
なるほどね、私の予想なら少なくともあと”3回”多くて”8回”起こってしまうかもな.....。
私は探偵、しかも事件を未然に防ぐような素晴らしい探偵だったんだ........こんな怪我を負うまではね.......。
今回ばかりは、”未然に防ぐのではない”、被害者を如何に”少なくできるか”のスピード勝負だ。
正直、全部警察に丸投げしたいが、もう関わってしまったから放って置けない。
______翌日の夕暮れ
今日一日は特に何も起こらなった、私の推理も全くはかどらなくて、最悪の気分だ。
何はともあれ昨日言っていた通りに喫煙所に行って、あの73に誠意を見せてもらおうかな。
______喫煙所
私がついたときには既に73は煙草をふかして待っていた。
そして、喫煙所に私が入ったと同時に、灰皿に煙草を押し付け、申し訳なさそうな顔で昨日の無礼な態度と言葉遣いを謝罪し、私が今現在持っている情報を教えてほしいと言ってきた。
「教えてもいいが、法寺さんに全て話したつもりなんだが、聞かなかったのか?」
「あの人は、謝罪してこいの一手張りで....、事件になると直ぐに結果を先走ってしまう癖がありまして、熱くなってたんです、ホントにすいませんでした。」
まぁしゃべってみた感じ悪い奴ではなさそうだな....。
「いいよ、まぁ、その厄介な癖を直さなくっちゃあな、じゃあ........
全てを話し終えた後、73は何かに気が付いた様子で突然立ち上がった。
「.....すいません!、ちょっと確認したいことができたんで失礼します!」
「おい、君の名前を聞いてなかったな、教えてくれないか?」
「宵越、”ヨイゴシ”です!」
私は走り去る”宵越”に会釈をして、煙草をふかし始めた。
「宵越は、何に気付いたんだ....?」
ほそぼーーーーーそと続けたいものですね