表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵・志木仙水  作者: キチ右衛門
鮮血の病棟
6/10

想定外

騒ぎ声が聞こえだしたのは、法寺さんとの会話に区切りがつきかけていたころだった。


「なにか、嫌な予感がしますね.....。」


法寺は騒ぎ声がする方に顔を向け


「2人目なんて出した日には、警察の信用は消え去るぞ。」


と焦り気味の声を出しながら隣に置いておいた上着を着ながら、急いで現場に向かっていった。

しかし、志木は松葉杖をつきながらであるため


「すぐに追います。」


と法寺に伝えると、急ぎつつも法寺はうなづいた。


そうして、時間をかけながらも、声のもとへと志木がたどり着いたとき、既に大人数の野次馬が集まっていた。

そこに埋もれつつも、何とか抜け出し、現場へ辿り着いた。


凄惨、その一言に尽きる現場だった。

昨日の奇妙な死体、不可解な傷口、そんなものは今回の現場にはなかった。


足の指をすべて切り落とされ、喉を一文字に切り裂いた跡、その傷によって噴き出したとみられる鮮血。

まだ死後から時間は経っておらず、血が蛍光灯の光が赤黒く反射していた。

ベットに倒れこんでいて、腕がぶらんとベットの下に垂れている。


志木が現場に着いたのを確認した法寺が


「被害者は”波木法政”という、21歳の大学生だ、盲腸で入院していたらしい、前回の被害者との共通点は今のところ見つかっていない。」


と伝えると、志木は首を傾げて


「一貫性がないな、別の人間が起こしたのか?それか混乱を招くためか?......ん?」


私、志木仙水は不思議とぶらんと垂れた腕に注目がいった。

確証は持てない、だから近くで見るか、そう考え、法寺に腕の写真を撮ってもらうように頼んだ。


二の腕から下へと順々に送られてきた写真を眺める。

違和感を覚えたのは、手の写真を見た時だった。

人差し指の指紋が消えているのだ。

いや、正確に言うと、”削ぎ落されている”のだ。

それを確認すると同時に、法寺に


「氷川さんの遺体はどこですか?」


「検視だが、なにかあるのか?」


「早急に手の写真を撮ってきてください!、早く!」


私の予想があっているのなら、まだこの事件は終わらないぞ......。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ