担当医師
私が次に足を運んだのは、被害者の担当医師、生方陽菜の所だ。
何故、被害者の担当医師の所を訪ねたかは、被害者の死に方が非常に不可解だったからである、何かに持病?らしきものがあったのかも知れない、血液が外気に触れるとノータイムで凝固してしまう病気に罹っているかもしれない。
何か、おかしな事を言ってると思うかもしれないが、この世にはあり得ないことなんてないのだ、決め付ける事で人は進化が止まってしまう、とか何とかの学者の友人が言っていた………はず。
まぁ、人が樹木化してしまう奇病がこの世にはあるから、色んな視点から見ることが大切なんだ。
……………って思ってたんだが……。
「そんな病気や症例は聞いたことも見たことも無いですね。」
「あっ……そうなんですね。」
「探偵さん、氷川さんは持病を持っていませんでした、骨折の治療の為に入院していただけです。」
どうやら、原因不明の奇病ではない、じゃあ、どうやってあのミイラ状態を作ったっていうんだ……?
「いつから氷川さんは入院をしていたんですか?」
「3ヶ月ほど前からですよ、それがどうしたんですか?」
………一様、覚えておこう。
“入院は3ヶ月前。”
私は生方へと質問を終え、部屋を退出しようとしたその時、少し気になった事があったのだ。
それは、生方陽菜の左手の人差し指の第3関節の少し下の部分が火傷の痕があった事だ。
火傷の痕から見ると、薬品焼けのようだ、しかし病院では色々な薬品を扱うため、私は余り気にしないことにした。
部屋から退出したと同時くらいに、スマートフォンに着信があった。
誰だ?と思い見てみると、「あ。」と声が漏れてしまっていた。
私は18の頃から探偵を生業としている、その最初期の方はthe・一匹狼って感じで誰の手も借りずに単身、事件に首を突っ込んでいたりしていたのだが、20代半ばにアキレス腱を断裂してしまい、これからは一人で行動は無茶だと感じ、助手を雇う事にした。
まぁ、ホームズとワトソンみたいな関係の助手がいるのだが、私が自動車に撥ねられ入院している事を一切伝えていなかった。
「心配しましたよ、心配し過ぎて病院の前まで来ちゃいましたよ。」
「行動が早いな、いや、俺が悪い、スマンね連絡入れてなくて、事務所で寝泊まりしてたのか?」
「はい、待ってたましたよ、何ヶ月も、事務所も今までにないほど生活感が溢れてますよ、失踪したかと。」
「いやホントにごめん。」
「実は先生の後ろにいますよ。」
こういうところがある、ミステリアスな女性なんだが、………ホントに後ろに居るのが、彼女だ。
先程からやけに声が近いし、スマホが反響しまくっていたので、いるんだろうなと思ったが………。
「怪我人をビックリさせないでくれよ……。」
「病室まで担ぎますよ。」
うん、クールで美人なんだよ、普通に高スペックなんだよ、けど怖いよ、行動が、力も強いし、単純に強いし、担ぐって言って、お姫様抱っこするって、考えもしないよ。
いい歳こいたおっさんが、若い女性にお姫様抱っこされたくなかったな。
「おろしてくれ、外に行きたい、確認したいことがある。」
「ついていきます。」
「………う、うん。」
超・細々と続けます。