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僕は今日も、存在価値を探す。

作者: 雅

「なんの為に生きてるんだろう。」「死にたいな。」

 そう思う人がこの世界にはどれだけいるんだろうか。

 それは僕も例外ではなかった。

 毎日生きる理由を求め、いつ訪れるかも分からない幸せに縋る。

 "生きる"そんな単純なことが僕には凄く難しく感じた。

 実際そういう考えを持った人は少なくないと思う。

 現に今も世界では、毎日誰かが自ら命を絶っている。

 そういう考えを持っていない人は、そういう考えを持っている人を否定する。「死ぬな。」なんて口で言うのは簡単だし、「生きていればいいことは絶対ある。」なんて言葉は、僕からしたら単なる綺麗事でしか無かった。

 僕はひねくれているのだろうか。今まで生きてきてこの価値観を誰かに理解されることなんて一度もなかったし、そもそも理解されたいとも思わなかった。

 僕の中の価値観は僕だけがわかっていればいい。口先だけの甘い言葉で僕の価値観に土足で踏み入ろうなんてふざけた話だ。

 この世は綺麗事で溢れている。

 インターネットの中、道端の選挙ポスター、日常に飛び交っているただの会話でさえ、建前や綺麗事だらけだ。

 僕は別にそれを否定したい訳ではない。綺麗事に救われる命も少なからずあるし、建前に守られている世界に今生きているのも事実だ。

 もしかすると「死にたい。」という言葉さえ、「助けて。」という本音を口にできない僕の弱い部分が生み出した建前なのかもしれない。


 いつからか、日常で聞こえる会話全てを本音と建前のどちらなのか判断してしまうようになった。僕は汚れているんだ。

 そうして過ごしていくうちに分かったことは、なぜだか人は負の言葉の方が本音なことが多いということ。そう考えるとやはり人間は生きづらい生物だなと思ってしまう。自分の思う生活を自分の思うように送っていても、周りはその生活を建前で肯定し、本音で否定する。汚れているのは僕だけじゃない。

 かつての僕は幸せだったんだろうか。

 そもそも幸せの定義とは何なのか。

 今日も生きている、新鮮な空気を吸っている、腐った世界に暮らしている、平凡に存在することが幸せなんだろうか。

 いつの日か感じたはずの幸せの感覚も僕の中から気づいたら消えていた。

 そもそも僕は幸せになりたいのだろうか。生きる理由すら探さないといけない僕が、幸せに縋る資格なんてあるのだろうか。

 別に答えが欲しい訳では無い。いや、本当は誰かに「生きていいんだよ。」なんて淡く儚く、在り来りな言葉を貰いたいのかもしれない。価値観に土足で踏み込むなと言いながらふざけてるのはどっちなんだろうか。矛盾ばかりの人間だ。


 僕にはお気に入りの場所があった。

 特に何も無い、ただの河川敷。何も無いのに存在し続けるその姿を自分に重ねて、その場所を愛していた。

 いつか誰かにとって、僕にとってのこの河川敷のように存在価値を見出せる相手が見つかるんだろうか。そんなことを考えながら、ただただ川を眺める。時間の流れを瞳で感じながら、今日もまた、何気ない一日が終わりを告げる。

 あと何回、この時間を繰り返すことができるだろう。

 生きることは難しい。だけど僕には今日を生きるしか道はない。

 いつ死ぬかもわからないこの世界で、今日も生きてたと笑えるならば、きっとこれ以上の幸せはどこにもないんだろう。

 僕は今日も存在価値を探し、何もないこの空っぽの時間すらも愛しながら生きていくんだ。

本当はもっと長い作品にするつもりでした。でも主人公以外の人物を登場させるつもりはなかったし、これくらいの長さで抽象的に書いた方が、読み手の想像も価値観も広がるかなという勝手な妄想の結果この長さになりました。僕はいま幸せだと毎日感じています。でも特別何かがあるわけではなくて、この何気ない時間が愛おしく感じる瞬間があるんです。僕のこの価値観は誰かに伝わるかわかりませんが、きっと、あなたがこの世に存在することには意味があります。僕もこの数年ずっと探してきました。生きる理由を、生きている価値を。それを見つけられたのはこうして小説を書くようになったからなのもきっとあります。これからもずっとずっと書き続けていきたいと思います。どうかゆったりと。

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