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ケイパグの男

「言葉が通じるんですか?」

「何に驚いてるのか知らんが通じてるよな? 魔物でなければ通じるはずだ」


 ついさっきまで魔物だと思っていたシャルマは驚いたように口にする。


「……魔物じゃなかったんですね」


 急に襲われたことに文句を言うように文句を漏らすクレイララ。


「……失礼なブランドの嬢ちゃんだな」


 そういいながら空から降りてくる。


「失礼なのはあなたです。私はブランドじゃなくてセイラムです。間違えないで下さいお兄さん? あ、もうその見分けもつかないくらいですから、おじいさんですかね」

「……失礼なセイラムの嬢ちゃんだな」


 言葉が止まらないクレイララに閉口する男。


「こらクレイララ、やめろって。僕はブランドのシャルマ、こっちがセイラムのクレイララです。あなたは……?」


 クレイララの制止をかけつつ紹介を済ましてしまうシャルマ。

 クレイララとの態度の違いに気分を良くしたのか、笑いながら答える。


「おうわりぃわりぃ、俺はコル。ケイパグのコルだ。よろしくな」


 そう言ってコルとシャルマは握手をする。


「あ、私シャルマと握手してないのに」

「これは男の友情だ、セイラムのババアは黙っとけ」

「はぁ?」

「あ?」


 すぐに喧嘩を始める二人。シャルマは辟易した様子でため息を漏らす。


「おう、わりぃわりぃ。折角ここまで来たんだ、ケイパグの巣でも見てくか?」

「そういうことならぜひ」


 コルの提案を二つ返事で受けるシャルマ。


「え、こんな奴の巣を見てくなんてちょっと……」

「あ、じゃあ下で待ってて」


 行きたくない様子を見せるクレイララに下で待ってるように言い、自分だけ上に登ろうとするシャルマ。


「あ、待ってよ」

 慌ててシャルマの後を追うクレイララ。


「つっても、俺が連れてけるのは一度に一人だけだぞ?」

 困った顔をするコルだが、そんなコルに対してシャルマの懐に隠れていたエイルが出てくる。


「あいつは魔法使えるから平気よ」

「……やけに森が騒がしかったのはお前のせいか」


 困った顔が、エイルを見て苦虫をかみつぶしたような顔に歪むコル。


「別に魔物なら心配しなくていいわよ。これだけ視界が良ければあいつが全部片づける」

「シャルマはそんなことできるのか……?」


 今度は驚きの表情に染まるコル。表情が豊かなようだ。……実際に驚愕の事が続いているだけだが。


「まぁ、できると思うけど」

 シャルマが肯定すると安心した様にコルが漏らす。


「そういうことなら俺はクレイララのババアでも連れていくか」

「はぁ? ゴメンなんですけど」

「あ、じゃあ下で待ってろ」

「……それもゴメンなんですけど」

「わがままな奴だな」


 コルとクレイララが言い合う間に、シャルマはすでに樹を登り始めていた。


「なっ、あいつ速いな」

「シャルマは凄いんだから」


 なぜか胸を張るクレイララ。


「おいてかれるぞ、急げ」


 しかしそんなクレイララを無視して、足でつかみ急いでシャルマを追うコル。


「えっ、きゃぁぁぁああ!!」


 急に足が地に着かなくなったことに悲鳴を上げるクレイララ。

 樹の上にあるケイパグの巣にたどり着く頃にはクレイララの表情は無になっていたという。

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