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三月三十参加賞
掬えない水は気づいたら凍ってしまっていたよ。
こんな夜だしさ、君は滑り台の上で歌った。
忘れられた滑車と風見鶏
遠い昔に地球は滅んじゃったんだって
君は、風船をふくらませる。痛いほどに。
甘いだけのキャンディを舐める。
一緒にゲーセンに行こうよ。
ブラジルだったら私達、恋人になれてたかもしれないのにね。
君はkissという煙草が好きだった。
水平線を見たことがなかった僕らは、
午後5時、朱に染まった壁が何かを隠している気がして、
どこか遠くに行きたかった。
スマホの画面でしか渋谷交差点を見たことがなかった。
拝啓、どこかの誰かさん。
あなたにお願いがあります。
スイーツのお城を作ってください。ぼくらの代わりに。




