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盲目の剣士、陳
目をつぶり砂塵吹く荒野を歩く一人の剣士がいた。
剣士は立ち止まり、横たわった木の幹に腰掛けるとタバコを吸った。
滴る汗を拭う。
馬の足音が聞こえてきた。
「余裕だな陳」
馬上の髭男が言う。
男達が馬から降り、陳を取り囲む。
陳は不動だ。
「死ね」という髭の合図で男達は陳に襲い掛かった。
陳は剣を抜き、男達を叩き切手いく。
最後に髭が残った。
「ううむ」と言いながら髭は馬から降りて、剣を抜き構えた。
盲目の剣士はうつ向いたままだ。
髭は振りかぶって盲目の剣士に切り掛かった。
「ふんっ」と言いながら、盲目の剣士は髭の胴体を差した。
プシューと血が吹き出し、髭は倒れた。
盲目の剣士は立ち上がり、馬に乗って去って行った。