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蓮舫の事情
蓮舫は街の酒店で昼食をとっていた。
そこに李が現れた。
李は茶と饅頭を注文し蓮舫に声をかけた。
「よろしければ、奪命のいきさつを教えて頂けないですか?」
蓮舫は箸を置き、口を開いて語り始めた。
「奪命は私の兄です。幼い頃から武術の才があったのですが、肺を痛めて、仇に追われてます」
茶を飲んで蓮舫は続けた。
「兄を倒せば名が売れる、という輩が挑みましたが兄はいつも勝っていました。そして奪命と呼ばれる様になったのです」
「フム。そうでしたか」
「ただし病には勝てません。実家に連れて帰り、病に伏せた母親に会わせるため私は兄を探しているのです」
「分かりました。私に出来る事なら力になりましょう」と李は言った。