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一年間の異世界転移  作者: 茜霞殿 姫太郎
第五章 復活の黙示録
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現れたくまさん

 回復魔法を使える生徒を探しているとエレミアと合流した。


 彼女が使えるらしいので治療は任せることにした。


 ここは保健室(この世界での呼び方は知らない)。

 ピンクルがベッドに横たわって寝ており、その隣のベッドに座り込んだアイレットが回復魔法を受けていた。


「アイレットさんの傷は深いですね……。私の魔法じゃ完治は無理かもです」

「わかる……? 心の傷がもう二十年以上癒えないんだ」


 余裕そうだな。


 二人のやりとりを見て少し安心した。


 アキトとかいう男とやり合うのに俺一人じゃ無理だからな。


 スキルが強化されてる状態なら多分余裕だけど、近くに魔物なんていないし……。

 この結界のなか色々敵が現れるけど獣しかいないし……。

 体内に魔力ない奴らばっかだし……。

 ブラッドウルフとかようはただの狼だし


「あれっ」


 最後に出てきたケルベロスは魔物だった可能性ないだろうか。

 明らかに他のやつらと格が違う感じだったが。


「なんだい?」


 俺の呟きにアイレットが問いかけてきた。


「ケルベロスって魔物?」

「魔物だね」

「ああああああああああ!!!!」


 クソ!! 


「な、なんだい」

「いやだって! ケルベロスの四肢もいでだるま状態にして背負っとけばお手軽ドーピングできたのに!!!」

「あ」


 アイレットもそれに気づいたらしい。

 可愛らしく口を半開きにした。


 ちなみにアイレットは俺のスキルの事を知っている。

 というか親父と同じらしくて説明の手間が省けた。

 まあ、アイレットなら教えても大丈夫だろうしね。


「何言ってるんですか。ケルベロスなんてこの場に出たら皆殺されますよ?」


 エレミアの言葉。


 そうだったな。こいつケルベロス出たの知らなかったな。

 説明もめんどくさいので「そうだな」と返しておいた。


「それで、これからどうするよ?」


 アイレットへ視線を向ける。


「下に何か感じるんだよねぇ。そこに行ってみようよ」


 アイレットが何か感じているらしい。

 

 そういえばピンクルもそんな事を言っていた。 

 流石だな。


 俺何も感じないし。


「おっけ、そうしようぜ。多分そこにアキトがいんだろ。ぶっ殺しておしまいだな」

「――」


 肩をびくんと震わせたエレミアへ首を傾げながら聞く。


「ん? どったん?」

「アキト君の事知ってるんですか?」

「言ってなかったっけ。この傷はアキトって奴にやられたんだ。この騒動もあいつが原因らしいし? サクッと殺して事態解明! ってしたいわけ」

「……」


 あー。

 しくった。


 彼女の表情を見て悟る。

 いや、アキト君って言ってた段階で気付くべきだった。


 この娘アキトの知り合いだ。

 それもかなり親しい。


 遠巻きで見てるピンクルみたいな奴らとは違う関係性。


 それが何となく理解できた。


 どうしよう。


 もし邪魔するようなら殺す――のはあれだな。

 アイレットもいるしちょっと避けたい。


 気絶させて行動不能に――


「私も連れて行ってください!」


 なんて俺の思考を遮ってエレミアが叫んだ。

 うるさい。


「別にいいけど……。俺達はそのアキト君を殺しにいくんだぜ?」


 人を傷付ける事にうるさいアイレットでも、今回ばかりは殺人を否定してこない。

 これだけの事態を起こしているんだ。

 俺の殺人は正義なのである。

 まあ正義の味方になるつもりはないからそこはどうでもいい。


 けど大義はある。

 邪魔をされない理由がある。


 だからアイレットも何も言ってこないわけだ。


「……わかってます」

「……」


 わかってない顔してんな。

 

 これ絶対殺すの邪魔してくる顔だよ。


 本人に今現在邪魔するつもりはないかもだけど、確実に邪魔されるなこれ。


 面倒くさいから置いていきたいが、勝手に動かれるのも面倒くさいな。

 気絶させて簀巻にしとくか?


「いーや下に行っちゃ駄目だよ。エレミアもそこの男の子も、アイレットもね」

「あん?」


 酒焼けしたようなハスキーな声が聞こえた。

 アイレットの物でもないしエレミアの物でもないしもちろんピンクルの物でもない。

 ピンクルの声はもっと媚び媚びで甘ったるい。


 ……誰もいねえ。


 確かに声がした方を見たが人影が見えなかった。


「やっ。アイレット」


 下? 

 下を見た。


 足元にくまさんがいた。


 ぷりぷりな目をした二等身の可愛らしいくまさん。

 この見た目からあのハスキーボイスがでるのはちょっと考えられない。


 そのくまさんはアイレットに手を振っていた。


 どうやら知り合いらしい。

 類友かな。

 

「……誰?」


 しかしアイレットは不思議そうな顔をしていた。

 

「え、嘘。わからない?」

「……あっ、もしかして……」

「うんうん!」

「ユウイチロウ……?」

「違う」


 なぜこのくまが親父に見えたのだろうか。

 末期かな? 


 いやまあわかるよ?

 俺もたまに街歩いてる女の人がルリーに見えたりするし。

 もしかして……!? とか思うけどさ。

 けどくまはねえんだわ。


「私、私だよ。ランガリーだよん、あんたの友達の」

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