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チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜  作者: キズミ ズミ
2章 星を忘れた日
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二章 1話 『武具はお高い』



「ゼェッ、ゼェッ、やぁっど、づいたーーー・・・」


カンカン日照りの草原を約7キロ、真っ直ぐ歩いてきたオレは息も絶え絶えといった風貌で、木の木陰に腰を下ろした。


「ふぅ、ちょっと疲れたねぇ。さぁ、ミキオ、街に入ろうかぁ」


そう言ってオレを上から見おろす黒瞳の少年。


体力にある程度の自信があるオレと同じ距離を歩いてきて、コイツだけ疲労があまり無いのには、理由がある。


「スマンミツキ、もう少しココにいさせてくれ。なんかもう、金貨が重過ぎて、大分疲れた」


ポシェットいっぱいに詰まった金貨は、多分オレが『トラ』を倒したことによるミッション達成報酬だ。


金貨合計枚数、しめて251枚。


純金は鉄よりもずっと重い。


だからもう最後の方はポシェットを引きずりながらココまで歩いてきた。


「ーーーーーていうか第一、ミツキ、もうちょっと金貨持ってくれても良かっただろォ!」


何度も言うが、コレマジで重かったんだぞ。


肩の筋肉がえぐれるかと思ったわ!


「ボクも一応持ってたよぉ?」


ミツキはポケットから金貨5〜6枚取り出してオレに見せる。


「少ないわぁぁ!!」


お使いのお釣りか!!


憤慨を込めた怒号は図らずも大きくなってしまった。


「いや、ゴメンねぇ。じゃぁお詫びに、ココで少しの間休んで行ってよぉ」


「ミキオがココで休んでいる間に、ボクはちょっとこの街の偵察に行ってくるけど、いいかなぁ」


相変わらずの間延びした口調には反省の色が見えないが、ただ、こと情報収集に於いてはミツキの方がオレよりもずっと効率がいいだろう。


「ーーーーーーおおー。そんじゃ、お言葉に甘えて、ちょいここで寝とるわ」


木陰の中にいい風が吹いてくる。


オレは重くなるまぶたをこすって、アクビをしてそう答えた。


「うんー。30分くらいしたら戻ってくるから、それまで出来れば動かないでいてねぇ」


「ういうーい」


オレは街へ入っていくミツキに手を振って見送った。


「さて、と」


オレはポシェットの中からA4サイズの黄色い紙を取り出すと、印字された文字を再び確認した。



『武具を一式揃えよ。制限時間 20日』



オレは心の中で仮面の男が言っていた、このミッションの概要について、反芻した。


『ミッションは個人の意思で拒んでいい。今まで死んだことの無いものにはペナルティは無い』


『つまり、ミッション中に死に、生き返った経験のあるもののみペナルティは適応される』


・・・今回、『武具を一式揃えよ』というミッションを遂行させなければ、ミツキは何らかのペナルティを受けることになる。


「絶対にミッションを達成しなきゃな。ペナルティが何なのか知らんが、きっとロクなもんじゃない」


オレは一人、樹木にもたれかかりながら、深く、深く決心した。


ーーーーーーそして、30分後。


「はい、コレが街の入門手形だよぉ」



悠々と帰ってきたミツキはオレの前にドッカリと座って一枚の札を手渡した。


「おー、サンキュ」


それを受け取り、オレはミツキに何か目ぼしい情報でも手に入ったか?と、尋ねた。


「少ししかいなかったからねぇ、適当にブラブラしてたら終わってたよぉ」


「ほーん、まぁそりゃそうだわな」


「あ、そうそう。コレも渡しとくねぇ」


ポケットから出したのは、木製の鍵だった。


「なんだコレ?」


「宿屋の部屋鍵だよぉ。取り敢えず3連泊くらいするだろうと思ってねぇ」


さも当たり前の様にそう言うミツキだが、オレはミツキの手際の良さに少し驚いていた。


「お、おお。なんだ、もう宿とってくれたのか。それはその、どうもありがとう」


「あとねぇ」


まだなんかあるのか!?


「2人分の日用品も一式買ってきたんだ。若干、日本の物と勝手が違うものもあるけど使い方は覚えてきたよぉ」


そう言って色々な物が入った皮袋をオレに差し出した。


「あぁ、あとコレ、大浴場のフリーパスだけどぉ、近くに二軒あったからどっちも買ってきたんだ。後から払い戻しは可能らしいから、入り比べてみようかぁ」


と言って、粗製の紙を2枚、オレに進呈した。


「それからこの街の大まかな情報なんだけど、どうやらこの街、武具のメッカって呼ばれてるらしいよぉ」


「とは言えそう呼ばれる様になったのもこの街の領主さんが一代でどうにかしたって言われててねぇ」


「元々寂れた街だったココを見かねた現領主さんのお爺さんの弟が沢山の武具職人を集めてねぇ、でもそれを気に入らなかった現領主さんのお爺さんの叔父さんがコッソリ現領主さんのお爺さんの弟を暗殺しようと企てたんだぁ。でもその目論見に気づいてた現領主さんのお爺さんの弟がーーーーーー」


「なげぇぇよ!!てかミツキ仕事早すぎだろォ!!」


マジで、手際がいいとかそんな問題じゃない。


もうアレだアレ。


コイツが真の黒幕じゃないかと疑うレベル。


「それと、ミキオ。コレを見て欲しいんだぁ」


呈してきたそのカタログは表紙に甲冑が描かれていた。


「なんだコレ?武器のカタログか?」


何の気なしに、ペラペラめくっていると次第にオレは違和感に気づいた。


「え・・・?いや、コレおかしいぞ・・・」


「うん・・・・・・。このカタログに書いてあるのが全部なら、ミッション達成はほとんど不可能だねぇ」


間延びしているが、若干の焦燥を含んだ声に、オレは軽く絶望していた。



「甲冑1つ、金貨500枚・・・?」


再確認しておこう。


今のオレたちの全財産は、金貨251枚である事を。









どうも!キズミ ズミです!!


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