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8話 救出作戦

 アジトは3階建ての赤い壁の建物。情報によれば2階の窓から見張りが入り口を見張っているらしい。

 捕まえた男に掛けたスキルはまだ解除していない。聞き出せる事は残りカスまで吐かせるつもりだ。


 内部の構造や人員の配置なども聞き出した俺達は救出作戦を練る。


「地下から地上にでるには一階に上がらないと出れない構造で、その為に人員は一階から2階に集中して配置されている。そこでまずはカレンが姿を隠して建物の中に侵入し、一階の敵を排除。後は上から降りてくる奴らばかりになるから敵が地下に降りてこない様に1階で死守する。その間に俺が地下に移動し、子供達を檻から救い出す」


「ふむ、私としては特に異論は無い」


「じゃあ兄ちゃん、私は何をすればいいのさ?」


「サラは危険だから、この周りで敵が来ないか警戒をしていてくれ。外に出ている者が帰ってきそうなら、邪魔をするか、自分の身が危なそうなら1階にいるカレンと合流するのがいい」


「あーあ、私はお留守番かぁ」


「そうでも無いぞ。いくらカレンだと言っても挟み撃ちに合えば危険が増す。それを防ぐのはお前の力に掛かっている。それに子供達を連れて逃げる時に退路を確保していれば安心して逃げる事ができるだろう?」


「うん。そうだね分かった。私頑張るよ」


 簡単な作戦でカレンにばかり負担を掛ける事になるが今回は仕方がない。さっき見せつけられた化け物的な強さを見ていなければ、俺だってこんな安直な作戦はたてない。けれどカレンの強さが在れば例え一人でも子供達を助け出す事が出来ると思えた。


「よし。それじゃ作戦開始だ!」


-----------------------------


 カレンはフード付きのマントを付けて顔を隠して建物の入り口へと近づく。ドアをノックすると中から男の声が聞こえてきた。


「誰だ?」


「トーマスの使いの者だ。新しいガキを捕まえたから運ぶのを手伝えと言っている」


「トーマスの使いだと!? そんな話は聞いてないぞ。お前は何者だ!!」


「私は伝令を伝える様に頼まれただけだ。もし何か言われたらこれを見せろと預かっている」


 カレンが見せたのは、焼印でマークを付けた電車の定期程度の大きさの木の板。これはこの様に自身が動けない時の為に一味全員が持っているらしい。


「確かに焼印も持っているな。ちょっと待っていろ。それでガキは何人いるんだ?」


「4人捕まえたらしいぞ」


 それから暫くすると、ドアがゆっくりと開いて行く。ドアの前に立つカレンはジッとドアが開くのを待っていた。


 ドアの前には3人の男が大きな袋を抱えていた。この袋に子供達を入れて運ぶつもりなのだろう。


「おう、それじゃあ。トーマスの所へ案内して貰おうか?」


「残念だったな、気が変わった。今からお前達を倒す事にする」


「何だと、貴様何者だ!?」


「ふん、貴様の様な輩に名乗る名は持ち合わせていない。私はただの傭兵だ!!」


 カレンは両腕を勢い良く上部へ振り上げると纏ったマントを宙に浮かせる。そしてその瞬間腰を落とし、帯剣している剣を抜き去ると同時に横切りで正面の男を斬り裂いた。


「がぁぁぁ」


「おい!! 大丈夫か!?」


「他の者の心配をしている間は無いぞ。お前たちも同じだ!!」


 カレンの動きは流れ作業の様に次の男へと移行し一撃で切り伏せると、最後の男が反撃する間の与えず倒し切っていた。3人を一瞬で倒したカレンは一度剣を大きく振り払い剣に付いた返り血を拭う。


「あー嫌だ。嫌だ。この異世界に来てから、人が死ぬのは何度も見たけど。本当に平然と殺せるものだな」


 少し離れていた所で隠れていた俺が姿を見せ、死体と化した男を見て手で口を塞ぐ。


 初めてこの異世界に飛ばされて、間近で人が死ぬのを見た時は吐いていたが、今は割り切る事が出来る位に慣れてしまっている。それが正常なのか異常なのかは解らないが、俺はこの先もこんな狂った異世界で生きて行く事になる。


 だからこそハーレムを造り、自分だけの世界で平穏無事に毎日をノンビリと過ごして生きたいと願う。


「さぁもう後には引けない。カレン作戦通りに頼むぞ!」


「あぁ、任せてくれ。旦那様の役に立つ所を此処で見せつけてやる」


 カレンは俺の前を歩きスタスタと建物の中へと侵入していった。俺は少し時間を空けてから慎重に中へと入る。


「誰かー!!。侵入者だ」


「おい待て。こいつ【不死身のカレン】だぞ。何でこんな化物が襲って来るんだ。全員で一斉に掛かれー!」


「ぐはぁ……」


「クソー。化物め……」

 

 建物の奥からは怒号と錯乱した叫び声が響いてくる。危険が無い様に少し覗いて見ると悪鬼と化したカレンが暴れまくっていた。

 ゴロツキ程度ではカレンを停める事すら出来ずにバッタバタと倒され続けている。

 戦闘狂とは彼女の事を言うんじゃないだろうか?


「この様子じゃ作戦なんて必要無かったかも知れないな」


 俺は作戦通り、白状させた情報を元に迷う事無く地下室へと向う。

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