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7話 悪党共はぶっ潰す!

 南に向かう途中でサラからグリード一味の情報を聞いた。ゼロ番地の南側で幅を効かせている一味の様で、人攫いから強盗など凶悪な犯罪ばかりしている様だ。ゼロ番地の住民達も危なくて見て見ぬ振りをしているらしく。最近、図に乗って人前で堂々と犯罪行為をやっているらしい。


「かなりの屑野郎どもだな」


「うん。だからペドロ兄ちゃんも南には近づくなって言っているのにどうしてリンダは……」


「少女よ。安心しろ。アジトさえ分かれば私が乗り込んで助けてやる」


「取りあえず、お前の兄ちゃんを探す事から始めないとな」


 先頭を走るサラは頷くと南へと急ぐ。


------------------------------


「リンダを攫った事は分かっているんだ!! さっさと白状しやがれ」


 南地区に入った付近で聞き覚えのある声が響いていた。怒気を含めて恫喝する声は鬼気迫るものがある。


「知らねぇって言ってるだろがぁ」


 俺達が駆け付けると、一人の男の襟を掴み家屋の壁に押し当てているペドロの姿があった。周囲の住人達は遠巻きから様子を伺っているだけで、仲裁に入る様子はない。


「お前達がリンダを攫った所を見ていた奴がいるんだよ。しらばっくれるじゃねー!!」


 ペドロは鍛え上げた腕で男の首をジワジワと締め付ける。


「ぐぅぅ。お前俺たちに手を出してタダで済むとは思うなよ。仲間がお前達に復讐に向かうからな、今にも向かっているかもしれないぞ。いいのか? ここでのんびりしていてよぉ」


 一方責められている男は力では敵わないのを察知し恫喝を返していた。


「クソ野郎共が!!」


「ペドロ兄ちゃん!!」


 ペドロはサラの掛け声に振り返る。


「サラ!? 何故ここにいる!? 危ないから家に帰っていろ」


「私もリンダを助けたいんだ。それに今は兄ちゃんたちもいる」


「お前はさっきの……チッ、まだ居たのかよ」


「あぁ、図太く居させてもらっているぞ。悪いけど事情は聞かせて貰った。そこの小悪党のいう通り、家にも誰か居た方が安全だろう。リンダという子供は俺達が助ける。だからお前は家で子供達を守れ」


「あぁ!? 何を言ってやがる? 他人に任せられる訳がないだろうがぁぁぁ」


「確かに他人だが、家は放って置いて大丈夫なのかよ? 俺達が家に居てもいいが、他人を家に上がらせるのは嫌なんじゃないのか? それに俺達にはカレンがいる!!」


 俺は親指を立てて背後に立つカレンを指差す。


「はぅ!! 初めて名前を呼ばれた」


 カレンはそんなどうでも良い事で身もだえている。


「まさま……不死身のカレンが此処に……」


「事情は聴いた。悪党共の事は私に任せろ。今の私はすこぶる機嫌が良い。何なら目の前でこいつを半殺しにしてやってもいいぞ」


 ポキポキと指を鳴らしながら、ペドロの方へと近づいていく。そしてペドロから男を奪い返すと軽々と宙に持ち上げ、地面へと叩きつけた。


「ぐぅぅ。なんでこんな事で、化け物が出てくるんだよ……」


 男も傭兵のカレンが出て来た事に驚いている。


「まっそういう事だ。効率的に言って俺達がやる方がいい。そうだろ? 安心しろよ。リンダって子供は必ず助けてやる」


「……」


 ペドロはギリギリと歯ぎしりを立て、拳を力強く握り悔しそうな表情を浮かべたが、一度大きく息を吐きだし気持ちを落ち着かせていた。


「確かに、俺一人よりアンタ達に頼んだ方が良さそうだ。お願いだ。リンダを助けてやってくれ……」


 俺に対して高圧的な態度を取っていた者が俺に頭を下げる。途方もない屈辱だろう。けれど自分のプライドよりも家族を優先している。

 

 これで助けなければ男が廃るって言うものだ。


 俺もカレンが居なければそんなに大風呂敷を敷いてはいない。

 強力な駒がある今なら……後は俺のスキルと合わせて何とかなると俺は踏んでいた。


「あぁ、任せろ!!」


 俺は声を張り上げ宣言する。


---------------------------

 

 ペドロは自分達の家族が待つ家へと向かう。残されたのは俺とサラとカレンの3人だけだ。

 

「まずは、アジトを聞き出さないとな。それに敵の情報もだ。カレンそいつを動けない様に縛り付けてくれないか?」


「了解した」


 カレンは男の衣服をはぎ取ると、それを縄の様にねじり込み男を括りあげる。男の手は背中に回され足首はシッカリと括られているので、逃げ出す事はできない。


「それじゃ、尋問を開始しますか」


 俺がそう告げて男に近づく。男は尋問する者がカレンじゃ無い事にホッとしている様子に見えた。


「俺達じゃ無いって言ってるだろ!?」


「まぁ、そんな事はどうでもいい。今から俺が質問する事に正直に答えろよ?」


「やってないのにやったって言えるかよ」


 男は地面に唾を吐きそう言い放つ。俺はそんな事には目をくれず、男の方に手を添えて質問を始めた。


「それじゃ、最初の質問だ。お前の母親の性別は?」


「はぁ? 何を言ってんだ? 頭がおかしいのかよ? 女に決まっているだろ?」


「そうか。女か! それじゃ、次の質問だ。お前の父親の性別は?」


「お前、ふざけているのか! 男に決まっているだろ!!」


「うんうん。そうか男だな。正直に話してくれて助かるよ。それじゃ最後の質問だ。お前の性別は男か?」


 俺は笑顔を向けて質問する。男だけじゃなく、サラもカレンも俺の様子を不思議そうに眺めていた。


「あっ!? 俺が女に見えるってのかよ? 頭だけじゃなく、目もおかしいって訳か。俺は男だ。馬鹿野郎」


 その時点で男の顔には【質問に正直に答える】と書かれていた。

 これで準備は出来た。俺は誰でも解る簡単な質問を答えさせる事で、男に真実を話す中毒を与える事に成功する。


「なら、本題だ。お前達は子供を攫ったのか? それとペドロの家に住む子供も攫ったか?」


「あぁ、攫った。数えきれない程攫った。 ペドロ達の家の側で一人でいた子供は俺が攫った」


「攫った子供達はどうなる?」


「子供は好色家に高く売れる。顔立ちで檻を分けて閉じ込めた後、好色家達を集めて売り払う」


「おい、これは一体どういう事なんだ!? 普通こんなにペラペラと喋る訳がないぞ。逆に嘘を言っているとかでは?」


 カレンが驚きの余り割り込んできた。

 そりゃそうだろう、けれどスキルの事は俺だけが知っていればいい。


「カレンが居るから観念したんだろう。お前がいてくれて助かったよ」


 俺が笑顔を向けると。カレンは「はぅぅぅ」と声をあげて顔を赤面し出す。こういう仕草を見せられると可愛く見えて来るのが不思議だ。


「それじゃ質問を続けよう。子供達を捕まえている場所とグリード一味の数を教えろ」


「場所はこの場から、南に進んだ処にある。赤い壁の建物の地下に捕まえている。アジトには常時15名の仲間が逃げない様に見張っている」


「カレン。15名居るらしいがどうだ?」


「ふんっ。たったの15名か、ゴロツキ共の相手なら50名居たって余裕だ」


「あっそう。相変わらずお前怖すぎだわ」


「こーへい兄ちゃん、赤い壁の家なら見た事があるよ。南に少し進んだ処にある筈だ」


「ようし、なら早速子供達を助けようか!」


「戦闘はカレンに任せる事になるけど大丈夫だな?」


 勝手に話を進めておいて、俺は戦わない。そんな状況に少気持ちが引ける。


「勿論だ。役に立って見せる」


 カレンはやる気が在るみたいだが、俺はせめてもの償いで、カレンに近づき、耳元で小さく呟く。


「もし、子供達を助けられたら、好きなだけケツを叩いてやる」


 その瞬間、カレンが身震いを始める。瞳は獣の様な鋭さを灯す。


「約束だぞ!!」


「あぁ、約束だ」


「うぉぉお。不思議だやる気が溢れてくるぞ。今なら一人で100人の傭兵とだって戦える気がしてきた」


 カレンも気合が入り。俺達は子供達が攫われているアジトを目指す。


「待っていろよ。外道は大っ嫌いだ。今からぶっ潰してやる!!」 

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