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Chapter1-7:提案

「変態野朗を泊めるだと。ナターシャ、何を考えてるんだ?さてはあいつに弱みを握られたか?」


王様が怒り狂ったようなそう言っている。

そんなに俺のことが嫌いなのか?

まぁ、嫌いだからこんな風になってるんだけど。


「違うわ。ルークは昨日から一睡もしてないのよ。このまま帰したら酷よ」

「関係ない。生きてるだけましってもんだ。とにかく許さん」

「嫌よ。もう、決めたの」

「・・・・。ナターシャ、もしかしてお前、あいつにほれ、グハッ」


王様が何か言ってる途中にナターシャの拳が王様の腹に突き刺さった。

なかなかに痛そうだ。ご愁傷様。


「変なこと言ってないで、ちゃんと仕事しなさい」


それだけ言い残すとナターシャは部屋を出て行った。

う〜ん。俺も一緒に連れて行って欲しいのだが・・・。

だって今、この部屋には俺と俺を軽蔑してる人しかいないし・・・。

なんか皆の視線が痛い・・・。


「おい、糞野朗。本当に泊まっていくつもりではないだろうな?」


とうとう排泄物扱いになってしまったか。

同じ身分であったならいろいろ言い返したいが残念ながらそうではない。


「いや〜、どうしましょうかね?」

「どうしようだと?そこは普通だったら帰りますだろ?」

「そうなんですか?」


これが俺の出来るせめてもの抵抗だ。とにかく惚けまくろう。

ダサいけど相手は仮にも王様だからな。


「面白い小僧だ。天国へ行きたいのか?いや、地獄の間違いか」

「まだ死ぬつもりはありませんよ」

「小僧。人生というものはな、いつ何が起こるか分からないのだよ」

「はぁ」


いきなり悟ったようなこと言ってるよ・・・。

とうとう頭逝っちまったか?


「お前に向かってここで魔法を放ってもいいんだぞ」


この野朗、目が本気だ。

ここは抵抗したら死ぬ。素直に謝ろう。


「すいません。悪ふざけが過ぎました」

「分かればいいんだ。で、帰るのか?帰らないのか?」


帰りたいに決まってんだろ。

でも、どんな形であれ嘘はつきたくないしな・・・。


「一応、今日だけは泊まらせていただこうかと」

「・・・・・・」

「実はまる1日眠ってないんですよ」

「・・・・・・」


無言やめてほしいな。恐いから。


「それに3日も何も口にしてないんですよ。このまま帰ったら途中で倒れちゃいますし」

「城に泊まってもお前にやるものなど何もないぞ」


ナターシャから何か貰うからいいんだよ。


「ナターシャに期待しても無駄だ。お前は私が直々に見張ってやる」


俺ってそんなに悪い事したっけ?

そりゃあ着替えは覗いたけどさ・・・。

そんな最悪の在任扱いしなくてもいいでしょ・・・。

もう、帰ろうかな・・・。


「王様」


突然、今まで黙って見守っていた観衆の1人がそう言った。

声の方向に顔を向けると20半ばぐらいに見える男性が立っていた。

なんか、強そうだな。


「彼に試験を与えてみてはどうでしょう?」

「試験だと?それはどんなものだ?」

「私と戦って勝てばこの城に泊まる権利を与えましょう」

「ほぅ。それはいい考えだ」


どうやら俺の意見は通りそうにないな。

絶対に戦う事になるな・・・。

お腹すいた・・・。


「では決まりでよろしいでしょうか?」

「勿論だ。すぐに始めても大丈夫か?」

「勿論です」

「よし、では始めよう」


俺には聞かないのかよ。


「おい、糞野朗。訓練場に移動するぞ」

「どこですか、そこ?」

「黙ってついて来い。嫌なら帰ってもいいんだぞ、腰抜け」

「はぁ、どうしようかな・・・」

「逃げないで下さいよ。私はあなたと戦ってみたい」

「はぁ・・・」


めんどくさい・・・。すぐ負けて帰ることにするか。

ナターシャには悪いけど王様に嫌われすぎたみたいだし。






訓練場。そう呼ばれる部屋もやはり広かった。

この部屋で一度300人ぐらいが一斉に修行できそうだ。

本当に必要な広さなのか疑問になる。


「では、始めよう。審判は私が直々に担当しよう」

「恐れ入ります、王様」


そう言ってまだ名も知らぬ男性は王様に向かって頭を下げた。

一応、俺も下げておく。なんて屈辱感だ・・・。


「では、これからアルス・レイブンと糞野朗の試合を始める」


へぇ、アルスっていう名前なんだ。

まあ、知ったところで何の意味も持たないけどね。

っていうか、俺はこんな時まで排泄物扱いかよ・・・。


「始め」


王様の野朗の言葉を合図にアルスは動き始めた。

俺は空腹を感じながらも重い足をなんとか動かした。

勝てる気どころか、戦える気すらしない・・・。

どうなるかな、俺・・・。




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