Chapter2-9:計画
「王様、私に何か御用ですか?」
そう言ったのは、ついさっきここにやってきたセリュースという人だった。
おそらく30代前半に間違いない。俺の予想ではアルレイン四聖の1人だ。
「今すぐに、部下を連れて竜の祠に向かってくれ」
「竜の祠にですか?」
「そうだ。ヴィシュラートの人間が動いている」
「そうですか。しかし、あそこには守り神として竜、それと結界が張ってあるのだから大丈夫なのでは?」
竜の祠には結界もあるのか。
おそらく、相当な実力じゃない限り破る事はできないだろう。
これで俺が魔法石を取れる可能性は万が一もなくなったな。
「確かにそうだが、念を入れておくに越した事はない。あれが相手の手に渡るのは避けなければならない」
「分かりました。すぐに向かいます」
そう言うとセリュースは部屋を出て行った。
セリュースが部屋を出て行くのを見届けてから王様が俺の方を向いた。
「小僧、お前はこれからどうするつもりだ?」
「特に何もしません。戻って依頼の失敗を告げるぐらいです」
「そうか。お前に1つ頼みがあるのだが」
「何でしょうか?」
普段なら反発するところだが状況が状況だ。
「依頼の失敗を告げるのは3日後にしてほしい」
「どうしてですか?」
「おそらく、次は自分達で乗り込んでくるに違いない。お前を送ったのはあくまで竜以外の邪魔するものがあるかどうかを調べる為にすぎないだろう」
なるほど・・・。
だから俺を送り込んだのか・・・。
「その3日の間に竜の祠の警備を強化する」
「強化ですか?それに3日もかかるのですか?」
「そうだ。お前は竜の祠が魔法石を守る上で一番大切なのは何だと思っている?」
「え・・・。竜じゃないんですか?」
「違う。一番、重要なのは結界だ。竜は時間稼ぎにか過ぎない」
「時間稼ぎですか」
「そうだ。竜といっても上級魔法が使えるものならば苦戦しても倒せない事は無い。しかし、結界は破ろうとしても、すぐにここに情報が入る。そういう魔法をかけてあるからな。つまり、竜は魔法使いが送られるまでの時間稼ぎにしかすぎないということだ」
そうだったのか。
てっきり、竜が魔法使いを簡単に追い払うもんだと思っていた。
「でも、一体何の準備をするんですか?」
「さっきも言ったようにおそらく、次はヴィシュラートの人間が直接やってくるだろう。そこを狙ってあらかじめ結界内にアルレイン四聖を始めとして魔法使いを大勢送り込んでおく。そこで、ヴィシュラートの奴らを捕まえる」
なるほど・・・。
以外に単純な作戦だけど上手く行くかもしれない。
相手は結界内に人がいるのは予想外な出来事だろう。
「分かりました。依頼人への報告は3日後にします」
「たまには、話が分かるではないか糞野朗」
そう言うと、王様は馬鹿にしたように笑い出した。
う〜ん。なんていうか切り替えが早いな。
良く言えば冷静って事なのかもしれないけど。
とりあえず嫌な奴・・・。