Chapter2-7:食事
話し込んでいた俺達はエレインに呼ばれ夕食の席に向かった。
俺はアルスがいないか探るように歩いてたがどうやら心配のしすぎのようだった。
「あれ、俺のご飯がないみたいだけど」
夕食の席に着いた俺は自分の席があることには安堵したが、どう見ても食べるものが俺の席には無い事に気付いた。
辺りを見渡せば皆の席には美味しそうなご飯が並べられていた。
「お前のなど、用意されてるはずがない」
突然、突っかかるようにそう言ってきたのは王様だ。
俺は、またこいつかよとうんざりしながらも表情は崩さず言った。
「でも、席は用意されているんですけど・・・」
「本当は用意したくなかったのだが、席だけは用意してやったのだ。ありがたく思え」
「ということは、俺は席に座って皆が食べているのを眺めるだけですか?」
「そうだ。この席にいられるだけでもありがたく思った貰わないと困る」
そう言って王様は嫌な笑みを俺に向けた。
う〜ん。毎度、思うけどこいつは本当に王様なのか?
話せば話すほど、疑問は大きくなるばかりだ。
「お父様、こんなの嫌がらせだわ。エレイン、ルークのも用意してもらえる?」
「そうしたい気持ちはありますが。王様が・・・」
「大丈夫よ。お父様には私から言っておくわ。だからお願い」
ナターシャのお願いにエレインもさすがに断れなく1度、王様の方に目をチラッと向けてから頷いた。
「ナターシャ。こんな奴にあげる必要はないのだ。お前はこいつに何をされたか覚えていないのか?」
「あれはわざとじゃないわ。お父様は昔の事をいつまでも根に持つなんて器が小さすぎるわ」
「なんだと。私はお前の心配をしているというのに」
「それは分かっているわ。でも、私だっていつまでも子供じゃないもの」
「・・・・・・・。この糞野朗、お前は私が直々に殺してやろう」
全ての怒りの矛先を俺に向けてもらっても困るんだけど・・・。
まぁ、今更そんなことを言ったって意味が無いのは分かっている。
とりあえず、シカトだ。
俺がそう思って黙っていると、シェインが話に加わってきた。
「ナターシャ、ルークに何されたの?」
この質問にナターシャは顔を真っ赤にして下を向いた。
確かに自分の口からは言いにくいことかもしれないだろうけど。
「こいつは、ナターシャの着替えを除いたんだ。そして、その罪を隠そうとナターシャを上手く丸め込んだのだ。私は、まだその方法をつかめてはいないが、恐らくナターシャの弱みを握っているのだ」
「えぇぇ。ルーク、そんなことしたの?」
「したとも。王である私が言うのだから間違いない。シェイン、お前からもこの糞野朗に言ってやれ。さっさと田舎に帰れとな」
内容のほとんどがでっち上げだ。
除いた部分は当たってはいるけど、まるで俺がわざとやったみたいだ。
「ルーク、最低だよ。僕は君を友達だと思ったのに」
「いや、ほとんどは王様の作り話だ。悔しい事に最初は当たっているけど、あれはわざとじゃない」
「本当?」
「シェイン、そんな奴のいう事を信じるな。こんな変態顔した奴の言葉など信じる価値はないぞ」
「ルーク、君がわざとナターシャの着替えを覗いたというなら僕は君を許すわけにはいかないよ」
「だから、ナターシャの着替えを覗いたのはわざとじゃない。それは断言する。間違いない」
「いや、お前はわざとナターシャの着替えを覗いたのだ。お前の顔を見ればそれは分かる」
う〜ん。このままじゃ、この話し合い終わりそうに無い・・・。
俺がそう思った瞬間、突然ナターシャの怒りの声が聞こえた。
「もう、やめなさい」
俺たち3人はビクッとしてナターシャの方を見た。
ナターシャの顔を怒っていて、同時に赤くも染まっていた。
考えてみればやたら会話の中に「ナターシャの着替え」って言葉が多かった気がする。
恥ずかしくなる気持ちも分からないでもない。
「とにかく、お父様はルークを苛めるのをやめなさい。分かった?」
「はい」
王様が素直だ。
これじゃ、どっちが偉いのか分からないな。
「それならいいわ。それじゃ、食べましょう」
気付いたら俺の前にも皆と同じ美味しそうな食事があった。
これで、どうやら飯にありつける。
相変わらず睨んでくる王様をシカトしながら俺は食事を食べ始めた。