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Chapter2-2:変人

依頼を受けて丸一日が経った。

長い時間をかけてやった準備はいつもと何も変わらない。

今回はいつもと違ってお金があるくらいだ。


「剣は秘密の部屋(シークレット・ルーム)に入ってるし特に持ち物はないか」


そんなことを呟き最終確認を終えた俺は出発する事にした。

仕事場かつ家であるボロ小屋を出て俺は竜の祠へと歩み始めた。






「確か首都から南西に20kmとか言ってたよなぁ」


首都に近いならそこら辺で最終的な準備も可能なんだけど・・・。

城の誰かに見つかったら面倒くさいことが起きるかもしれないよな。

どうするべきか?首都で寄り道するかしないか。

ナターシャに会いたいってのもあるしなぁ。

まだ、嘘ついて出て行ったこと謝ってないし・・・。

まぁ、あっちが気にしてるかどうかなんし分かることではないけど。

とりあえずアルスにだけは会うわけにはいかない。


「やっと、半分ぐらいか。もう暗いしここら辺で休もうかな」


前回は敵に襲われたから急がないといけないけど今回は時間がたっぷりある。

休みながら首都の事はどうするか考えようかな。






夜が明けた。

結局、考える前に眠りについてしまった。

まぁ、眠るのって幸せな事だししょうがないか。


神速ラピッドリー


魔法を自分にかけて首都まで残り半分となった道を走る。

ぐっすり眠った分、走るスピードは快調だ。


ガサッ


突然、そんな音が聞こえた。

俺は走っていた足を止め周りを見渡した。

特に殺気や敵意みたいなものは感じないけど誰かがいるのは間違いないようだ。


「誰か居るの?」


音が聞こえた方から若い男の声が聞こえる。

どうやら相手は俺の事を警戒していないようだ。

一応、俺は警戒を解かないままでいると1人の男が現れた。


「やっぱりいたんだ。返事してくれたらいいのに」

「お前がどんな奴か分かんないし」

「それもそうだね。でも、安心して君を襲ったりはしないから」

「分かった」

「ありがとう。それで君はこんな所で何してるの?」

「ちょっと仕事があってさ。今は首都に向かってる」

「へぇ。僕も今、首都に向かってるんだ」

「そうなんだ」

「うん。ここで会ったのもさ何かの縁だし一緒に行こうよ」

「でも、何者かも分からない人と行動ってのはちょっと気が退けるけど」

「大丈夫。さっきもいったけど僕は君の敵ではないから」

「・・・・・・」


どうしたものか?移動するのに足手まといにならなければいいんだけど。


「悩んでるみたいだね」

「多少は・・・」

「う〜ん。じゃあ、とりあえず自己紹介といこうよ」

「自己紹介?」

「うん。じゃあ僕から。名前はシェイン・ループル」

「ループル?それってもしかして超がつくお金持ち貴族の?」

「なんか嫌な言い方だね。一応それであたり」


まさか、また身分の違う人間に出会うとは。

ルーブル家と言ったらアルレイン家と最も結びつきの強い貴族だったはずだ。


「へぇ、俺はルーク・レイフッド」

「よろしくね、ルーク」

「あぁ、よろしく」

「それで、ルークはどうして首都に向かってたの?」

「さっきも言ったけど。近くで仕事があるからその前に寄るだけ」

「そういえば言ってたね。僕が何しに行くか聞きたい?」

「別に聞きたいとは思わないけど」


どうせ、アルレイン城に行くだけだろ。

分かりきってる事をわざわざ聞きたくないけど・・・。


「いいよ、話すよ」

「・・・・・・・。どうぞ」

「うん。ナターシャに会いに行くんだ」

「へぇ。王女様に会いに行くんだ」

「まぁね」

「でも、わざわざ会いに行かなくたって嫌でも会う日とかあるんじゃないの?」

「それはあるけど、それだけじゃ足りないんだ」

「足りない?何が足りないんだ?」

「ナターシャに会うことだよ。本当は毎日でも一緒にいたいぐらいだし」


つまり。こいつはナターシャのことが好きなんだな。

っていうか、何でそんなことを初対面の俺に教えるんだよ。

恋愛話ってはあんまり興味がないんだけどな・・・。

一応、話をあわせておくべきか・・・。


「王女様の事が好きなの?」

「うん」


なんともまぁ、真っ直ぐな奴なんだ。

俺には真似できないな。さすがお金持ちは考える事が違う。


「へぇ。結婚できるといいな」

「結婚は決まってるよ」


え?2人ともまだやっと成人したぐらいだろ?

もう結婚するのかよ・・・。やっぱり金持ちは違うんだな。


「早いな。それならさっさと結婚して一緒に暮らせばいいのに」

「するのはまだ先だよ。許婚だから決まってるだけのことだから」

「許婚ねぇ。それって本当にあったんだな」

「一応ね。王家や貴族の間でしかないと思うけど」

「へぇ。でも、許婚の相手を好きになれるって凄いな」

「え、何で?」

「俺のイメージでは許婚って嫌々結婚する方が多い感じがするから」

「どうなんだろうね?でも、確かにナターシャはあまり僕との結婚は乗り気じゃなさそうだな」

「・・・・・・。何て言っていいか分からないけど頑張れ」

「うん。ルークはいい人だね」


俺がいい人なのかは分からないからほっといて気になってた質問をしようかな。


「それで、どうして初対面の俺にそんな事を話したんだ?」

「え?なんとなく話したかっただけだよ」

「そっか」


シェインは意外と変人のようだ。





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