レポート31ー正面衝突は男の華!ー
ボスの部屋に入って一番最初に目に入ってきたのは巨体だ。3mほどの大きさはあるだろうそしてその体は筋肉質な人の体だ。だが顔は牛であった。
第10ダンジョンのボス【ミノタウロス】である。
「A・Bグループが先陣を! C・Dグループは待機」
シエンは指示を出しながらミノタウロスに斬りかかる。
「大将オレたちは!」
「Cグループだ! ってか話し聞いてなかったのかよ!」
「HPゲージ5つですか……多いですね」
「そうね。それなりに長期戦になるかもしれないわね」
「俺にかかれば10分もかからん!」
***
戦い始めてすでに30分が経過した。
ミノタウロスはかなりタフでその巨体に見合わぬスピードを持ち合わせていた。
「くそ、のこりゲージ1つ半が削りきれない!」
現在はBグループとユミたちのCグループが戦っている。
「『デュアル・ゲート』――はっはっは!」
ガリウスの後ろに魔法陣のゲートは2つ現れる。そこからは武器の柄が見える。ガリウスはその柄を掴むとミノタウロスへと向かって投げつける。
「予想以上に時間を食ったがこれでおわ……」
「ま・さ・か」
「在庫切れのようだ……」
「やっぱりかぁ!」
「こんとしてねえで斬りかかれアホ!」
「すまんすまん。『エリアル・スラッシュ』!」
両手剣のスキル技でユウは斬撃を飛ばす。
合計10人での攻撃でHPが減り残り1つになった所でミノタウロスが怒り始めた。
牛の突進のように足で地面を蹴り――ユミたちの方向へと突進してくる。
「『チャージアタック』!」
ユミもそれに合わせるように足に力を入れて突っ込むスキル技で正面からぶつかった。
力負けして体は宙を舞う。
「やっぱりダメか~」
「大将! ナイスだ! いいことわかった」
「なんだなんだ」
「怒り状態になって防御力が落ちてる! 攻撃力と速度上がってるが」
先ほどまでよりもHPの減りが早いようだ。
「それじゃあ動きを止めるからとどめはお願いね。『召喚・雷の鳥』」
ユリナが魔法を使うと雷でできた鳥が出てくる。そしてミノタウロスへ突っ込みながらその進路に雷を落としていった。
「とどめって……大将! 上からいけ!」
「ん~? ……了解だぁ!」
雷を食らったミノタウロスが麻痺の状態異常を起こしてその場で硬直していた。
「『エリアル・スラッシュ』!!」
ユウが腹したから攻撃をする。その他にもBグループの前衛がユウと一緒に攻撃を加えていた。
そして上に吹き飛んでいたユミの落下地点とミノタウロスの位置が丁度合致していた。
「『三日月斬り』!」
ユミは槍で突くのではなく三日月の形に薙ぐよりに斬りつけた。
一斉攻撃を受けたミノタウロスは最後に断末魔の叫びを上げながら倒れる。
「っしゃぁ! クリア!」
「ぞ、造作も無い」
「そのいいわけは難しいと思うわよ」
「みんなお疲れ様。ユリナさんナイス!」
「ユリナでいいわ。そっちこそいい飛びっぷりだったわ」
「それを言わんでくれ」
「みなさん、お疲れ様でした」
ミノタウロスを倒し終えると【ダンジョン・コンプリート。帝都開放】と書かれたパネルが目の前に現れる。
「帝都っていうのが次の拠点でござるか」
「だな……だけど今日はもう疲れた」
「そうでござるな。お疲れ様でござった。よければフレンド登録をよろしくおねがいいたす」
「いや、こちらこそよろしく」
ユミはシエンとフレンド登録を行った。その後、今日は帝都に行くのは控えて王都に戻るとログアウトして学校の準備をして寝た。