レポート16ーボス!ボス!BOSS!ー
「ここのボスは木のゴーレムで、正直今の装備だと前衛のオレたちからすれば硬くて仕方ない」
ボスフロアに入る扉の前、4人は作戦会議をしていた。ベータテスト時代の記憶を頼りに知っている情報をユウは話す。
「だけど腹の中心と首についてはそれなりに柔らかい。なんでかは知らん。だからオレと大将はそこを狙う。2人は援護を頼む」
「相手の攻撃は?」
「基本的に前衛で一番攻撃してくるやつを狙ってくるな。だが連続攻撃は少ないし一撃一撃がでかいからかわしやすい……かわりに食らうとやばい」
「当たらなければ問題ないってやつか……俺、苦手だぞ」
「まあやるだけやるぞ!」
ユウが扉を開き全員その中に入った。
***
「あ、そういえば大将」
「ん?」
「メニューにスキルあるから技を念じれば使えるぞ。ていうか技名叫ぶのが一番手っ取り早い」
「だからそういうのは先に言え!」
後ろで音を立てながら扉が閉まると4人の前の地面が盛り上がり巨大な何かが出てくる。
「お出ましだ」
「ウッドゴーレム……うえっ、体力多いな」
ユミは嫌そうに呟く。ウッドゴーレムの名前の横にはHPゲージは3本存在した。
「よぉし! まずはオレが初撃だ! 『アッパーカット』!」
ユウはそう叫びながらウッドゴーレムに近接し片手持ちの剣で斬り上げる。
片手剣のスキルの1つアッパーカットだ。
「とりあえず使ってみるかな! てか名前もう少しひねれよ……『突進』!」
ユミも槍のスキルを使う。が、一直線のその攻撃が腕に防がれた。
「たしかにこれは固いわ」
「『ウォーター・ジャベリン』!」
「てやっ!」
後ろからは水の槍と矢が飛んでくる。
「矢はともかく魔法は効くみたいですね」
「うぅ、私活躍できなさそうなのです」
何度も水の槍がゴーレムに命中していきHPゲージの1本がなくなる。すると、
『ゴオオオオオオ!!』
ウッドゴーレムは叫びだし、後衛の2人の周りの地面から蔓が生え出てくる。
「新動作ですか」
「びっくりしましたぁ!」
驚きながらも蔓から距離をとる。
「よぉし、こっからはオレたちで本体やるぞ大将!」
「早めに終わらせないとな!」
ユミが大げさにウッドゴーレムに攻撃をして注意を惹く。そして攻撃をしたあとの隙にユウが腹下にはいり柔らかい部分を攻撃する。これをしばらく続けていく。
後ろではナルがダガー片手に蔓と応戦していた。
「おらぁ! 『アッパーカット』! 2ゲージめぇ!!」
ユウが叫んだ通りにHPゲージが残り1つになる。そしてゴーレムの動きは素早くなった。
「バーサークきたぞぉ!」
「おう!」
2人が武器を構えると後ろから水の槍が大量に飛び、ゴーレムに命中する。
後方を確認すると蔓がなくなっていた。だがナルのHPがかなり減っている。
「ナルさんのお陰でなんとかなりました」
「これじゃあシューターじゃなくてレンジャーなのです」
ゴーレムはユミに狙いを定めて動き出す。まずは右腕を横薙ぎする。
「もう慣れた!」
ユミはそれを難なく交わし続く左腕の攻撃もかわす。今まではこの2撃で終了だった。
「よし、カウンター……って、え?」
ゴーレムはそのまま両手をくんで上から叩き潰すように腕を振り下ろす。
そして横のユウから、
「それ、新動作」
「ちくしょう!」
ユミは槍で受け止めようとするが体ごと押しつぶされる。
「ユミが死んだっ!」
「かってに殺すな!」
腕が持ち上げられるとユミは地面の中からはい出てくる。
潰された時にそのまま穴ができたようだ。
「HPゲージギリギリじゃねえか」
「ボスもな、決着つけるんだよ!」
「おう!」
4人は残ったゴーレムのHPゲージを集中攻撃でなくし、見事ボスに勝利した。
ゴーレムが倒れるとボスフロアの奥にあった木が動き道ができる。
「ちょっと休もうぜ」
「お前な……」