レポート1 ー誕生日には早過ぎるだろ!ー
もう一度この物語始めます。
初めましての方はすべての初めからなのでよろしくおねがいします。
「ファンタジー・オンライン・ワールド?」
『そうそう、真弓も一緒にやらないかって思ってさ』
夏にはいり、学生たちの多くは夏休みにはいった頃のことだ。
家の自室で電話をしている少女のような見た目の少年、真弓は親友の夕二と話していた。
「なんか新しいゲーム機の新作だっけ?」
『結構いい感じらしい、MMORPGがVRでとうとうプレイできるって感じで』
「ゲーム機の特性上しかたないとはいえオンラインゲームだろ、俺が馴染めるかどうか」
『かなり自由度高いらしいし、パソコンのそれと違ってやっぱり自分で体感してるような感じだから別物と考えてやろうぜ!』
真弓は少し考えてから答えた。
「正直、ゲーム機が手に入れるあてがないからできるとしてもかなり後になるぞ」
『そこはぬかりなく、準備済みだ、明日うちに来い』
「は?」
『それじゃあ、オレはやることがあるからこれでな!』
そう言い夕二は電話をきった。
突然きれた電話を片手に真弓は夕二がいったことがなんなのか考えている。
次の日、真弓は夕二の家へ向かった。
「きたか、真弓よ」
チャイムを押してまゆみが玄関を開けると、仁王立ちで佇む夕二がいる。
「なんでどこぞの魔王みたいなこと言ってんだよ……」
真弓は家へ上げてもらい、夕二の自室へと案内された。
部屋にはゲーム機が多くおいてあり棚にはソフトが隙間なしに並んでいる。
夕二がベットに飛び込んでこっちにこいと真弓に手招きをする。
真弓も呆れたようにベットに腰掛けた。
「それで? 俺をよんだのはなんでだ……ていうか昨日いきなり電話をきったのはなんでだ!」
「この前さ、抽選で当てる確率上げるために名前貸してくれって言ったじゃん」
「あったな……それがどうかしたのか?」
それを聞くと、夕二はベットの下に手を入れて探りだす。
「いろんな抽選を回ってお前の名義で1つ当てることに成功した! お前がやらないといったらどうしようと思ったがやるときいたから渡すぞ!」
そういってベットの下からひとつの箱をとりだしそれを真弓に渡す。
真弓が受け取った箱はVRSというVRシステムのゲーム機とソフトダウンロードコードの書いてあるカードが入っていた。
「どうゆうことだ、これ」
「大丈夫だ、発売日の明後日にならないとゲーム自体は起動できないようになって――」
「そうゆうことじゃねえよ!」
真弓がどういうことか聞くよりも先に夕二は説明しだす。
「オレはβテスト参加しててその時の関係もありソフトはすでに届いているからな、もちろん機体もだ」
「お前が持ってるのはわかったけど、こんな高いものおいそれともらえるわけないだろ」
「いや、抽選で名前借りてたわけだけどお前の名義であたったし実質的に当てたのはお前という扱いだから問題ない! むしろオレからの早めの誕生日プレゼントだ」
真弓は自分の誕生日はさき過ぎるというツッコミを入れる気も薄れ、諦めたように答える。
「わかったよ、それじゃあありがたくいただくよ、だが俺は正式版からの参加だからすぐには追いつけねえぞ」
「あぁ、それについては心配ない。βテストに参加したからといってデータ引き継ぎはできないからな、序盤の情報が分かる程度だ」
その後も少し話を聞いた後、まだ登録していない真弓のデータを登録する流れになった。
「とりあえずVRSつけて、耳元にあるボタンで起動。そしたら音声案内に従って脳波登録とかいろいろだな、垢の細かいのとかは作っておいてやる」
「了解」
そう言われて、短時間で終わると聞き、真弓はベットに寝転がらされてゲーム機を起動された。
登録等は30分弱で終了したが、ゲーム機を外して横を向くと真弓の目の前に夕二の寝顔があった。
「起きろアホ! 近いわ!」
「いてっ」
頭を叩かれた夕二は目をこすりながら起き上がり体を伸ばす。
「なっ、簡単だっただろ」
「簡単で短時間で終わるのわかってて人の隣で寝るな!」
「それはごめんって」
この日は夏休みの宿題をやって二人は解散となった。
「そんじゃ、またメールするわ」
「あいよ」