返金減人……通販
「散らかりすぎだ。棄てろ。澄香」む。大分片付けたんだけどな。
新のプラレールは棄てたら動かなくなると思う。アイツ。
あれは酷いことをした。
新が妙に温厚で優しくなるのが更に増して本当に本当に酷いことをした。
エロ本のときなら軽い喧嘩で済んだのに。
「……」
私の足元をふよふよと掃除するロボット掃除機。
「とりあえず、プラレールはさておき、一室丸ごとセットは不要だから取りに来てもらうか? 」
絶対、アイツ余計なことする。間違いない。
「先日はお楽しみで」好きでやったワケではない。というかアンタの前で。本気で落ち込んだんだから。
一番傷ついたのは、あなたが傷つかないことだけど。
「傷だらけなのだが」そういう意味じゃない。いいわよ。もう。
この部屋は封印かな。仕方ないけど。
「そうしたいならそうしろ」カギカギ。カギは何処だったかな。
そういえばアイツ、部屋にカギかけたこと無かったな。
部屋のドアに『KEEP OUT! 』のテープを張ってため息。
頭をかいて。ついでにかゆいので「股間も掻くな。みっともない」誰も見ていない。
あとはこの部屋か。
運動器具だの、まだ着ていない服だの、美容器具だの。
「無駄に部屋数が多いな」二人暮らしだったしね。当時はほとんどモノが無かったけど。
ついついアイツがいなくなったら、何でもかんでも買うように。
「そうか」可笑しいでしょ。掃除とか片付けとか得意だったんだけど。
クレジットカードで買ってると歯止め利きにくいよねぇ。
よし。一気に棄てるか。未練と一緒に。
この部屋も小さくて安いアパートにしようかな。
お家賃だって馬鹿にならないし。
あ。水虫治療器みっけ。
「……十年以上前から紫外線治療器という名目で売っているが。
皮膚癌になっても知らぬ。普通に皮膚科に行け。そもそも診療もせずに水虫と決め付けるなと言いたいが」
あはは。新がこれ買ったらスッゴク複雑な顔してたな。
「移したのはお前だからな」ははは。……はは。
ねぇ。私、今珈琲飲んでいないんだけど。
……だんまりか。いいけどね。
私の名前は紺野澄香。
落ち込んでいるときは珈琲も飲んでいないのに何か励ましてくれる。
お節介な掃除機の言葉がわかる女。
「さて。片付けようか」
片付けるのは私だ。今から珈琲を入れるから黙っていなさい。




