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かふぇ&るんばっ♪  作者: 鴉野 兄貴
温かな掃除機さんのおもてなし
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口臭嫌曲……口臭はキスの味?【前話補記1】

参考資料 ウィキペディア日本語版など


 舌、歯ブラシで洗えば良いんだったっけ。

私は舌の上を丁寧に歯ブラシで軽く擦っている。

そうだっ いい事を考えた。

私は手元のペットボトルを口に含んでうがいを……。


????!!!!!!!!!


 ぶっぱ~~~~~?????!

口の中にひろがる強烈な痛みと酸っぱさに悶絶する私に彼の声が聞こえた。

「明礬水を原液のまま口に含むな。まぁほとんどの人間が通る道だそうだが」

意図して黙っていただろッ?!


「どんな臭いにもほぼ効くからといって粘膜に使うのはお勧めできないな」おいぃぃ?!


 不味さに唾を吐き続ける私の側を尻尾センサーをフリフリしながら通り過ぎる彼。

珈琲メーカーから素敵な香りのする午後三時。ロボット掃除機は今日もマイペースである。



 口内炎や舌の臭さではないなら臭い玉を疑うか、耳鼻咽喉科だったっけ。

「臭い玉というが、臭い玉は俗称だ。正確には『膿栓のうせん』。

扁桃栓子へんとうせんし、また特に石灰化し硬くなったものは扁桃結石へんとうけっせきとも呼ばれるな」ふうん。


つんつん。

「歯ブラシでつつくな。その歯ブラシはまだ新しい。私への掃除は不要だ」たまにはいいかもしれないよ。


「のどの奥の口蓋扁桃(扁桃腺)をはじめとした咽喉内の扁桃へんとう周辺では侵入してくる細菌やウィルスを殺す働きがある。

扁桃の表面にある腺窩と呼ばれる小さな穴に、剥脱上皮、リンパ球や白血球、細菌塊、炎症性崩壊産物、脂肪酸、コレステリン、燐酸石灰、食物残渣などが溜まることにより形成される」いつもいつも思うけど、本当に詳しいネェ。


 うりうり。

「脚のつま先でつつくな」

丸い身体をくるくる回して抗議する彼に笑みがこぼれる。


「見た目は歯垢しこうの丸い塊でな。

指でつぶすと強烈な悪臭を放つ。大きさ、量は個人差がある。

耳鼻咽喉科で取ってもらえるが、一番の対策は帰宅時のこまめなうがいだ」はーい!


「特に冬は空気が乾燥し、細菌の付着した塵やほこりが舞い上がりやすくなるため、膿栓の量が多くなる、または大きめの膿栓が形成される傾向にある」気をつけまーす!


「歯の病気、臭い玉に関わらず、腹がすいた時や寝起きの場合口臭があることは珍しくないな。

特に胃の調子が良くない時は口臭がキツいことが多いそうだ」

……スイマセン! 出勤寸前まで朝ごはんなしで寝てましたッ?! 胃も弱いですっ! 二日酔い残ってましたッ?!


「実に残念な娘だな……一応言っておくが、昨今の企業は二日酔いでも免職になるぞ」げげ。

一心に歯を磨く私の側で彼は尻尾センサーを動かしてくるくる掃除。

穏やかな時間が過ぎている。「服を着ろ。冬場にパンツとタンクトップだけで過ごすな」むぅ。


……。

 ……。


 歯やお口、綺麗になったでしょ~!

「歯槽膿漏の兆候が見られるな」げげ。

「口臭の大きな原因は口内細菌その他だ」はいはい。


「こら。澄香」なぁに?

「這うな。お前はモップか。それとも猫か」いいでしょ? ほれほれホールドオンだっ!

「こら、悪戯するな」ふふふ。キスしてあげる。感謝しろ。


「無意味だ。それより唇の荒れはどうにかしろ。保湿はしているのか」ふふ。ちゅー!


 お~い! 逃げるな! こっちこっち。

「逃げるなと言われても私は掃除をしているだけだ」むう。

部屋の中をくるくる回りながら掃除を続ける彼に膨れてみせる。


 私の名前は昆野こんの澄香すみか

傷ついたり笑ったりする自分をマイペースに見守る掃除機の言葉が珈琲を飲むとわかる女。

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