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おじいちゃん

 畑と一緒で家の方も馬鹿でかい。田舎のおじいちゃんの家より大きいかもしれない。



「どうしたんですか?」



 ララべルがさっきの勢いはどこは行ったのかドアの前で固まっている。



「ちょっとここのおじいちゃん気難しくて……」

「気難しい?」

「あまり周りの人達と関わり合いがなくて」



 気難しいのは私も苦手だが、そんな事を言っている場合ではない。よもぎの葉がここにしか無いのであれば、おじいちゃんにお願いして貰うしかない。葉っぱをもらうだけじゃダメだ。それをもぐさにする作業が残っている。急がないと──

 私は、ララデルの隣に立ち、ドアを軽く叩き「すいませーん」声をあげる。



 いないのだろうか……。物音一つしない。「すいませーーん!!」今度はどわをグーパンでガンガンと殴るようにノックをする。手の側面が痛くなるほど。



「おじいちゃーんー。おじいじゃん、いませんかーーー!!」

「カンナさん。もう……手が真っ赤」



 ララベルがドアを叩いている……いや殴っている手を止めてくれた。少し青あざもできている。



「うるせぇなぁ。小娘が!!」



 バンッと扉が開きドアの前にいた私はよろめき尻餅をついた。ドアからは神経質そうな老人が出てきた。確かに気難しそうだ。ララベルが私の肩を抱きながら「こんにちは」と声をかけるが、老人は冷たい視線を向け私に視線をもどした。

 老人は80歳くらいだろう。目つきがきつく怒りジワのせいもあり、深い皺が刻まれ余計に気難しそうに見える。ただ整った顔をしており昔はモテてただろうと想像できる。



「蓬の乾燥した葉っぱを持っていると聞きました!!分けてもらえませんか?」

「よもぎぃ?」

「はい!!お願いします!!」

「いやだね」

「なんで!?」

「俺のだからに決まってるだろうが」



 このジジイ!!若い娘だからってバカにしやがって!!手に拳を作り今でも飛び込んで殴ってやりたくなるが、ララベルの手が添えられ、それをさせてくれない。老人はドアノブに手お掛け、いえの中に入ろうとする。



「おじいちゃん!!ララベルさん逆子なの!!だから蓬が必要なの!!」

「お前のおじいちゃんじゃねぇ!!ゼクターと言う名前があるわい!!」



 老人は閉めよとしたドアをバンッと開け、すごい剣幕で怒鳴ってきた。怒るとこそこか?!



「まぁ、お気の毒だな。蓬をくれたところでどうにかなるとは思わないが、俺には関係ない事だ」



 もう我慢ができなかった。このままでは死んでも死にきれない。一発ぶん殴ってやる!!自分の感情が抑えきれなかった。私のように有限の命ではない。生きて行ける人が死んでしまう。私はララベルの手を振り払いゼクターに飛び込んだ。

 ──ふわっと体が浮き上がる。一瞬何が起きているのかわからなかったが、振り返るとフレイが腰に腕を回し抱き上げられていた。



 お姫様抱っこではなかったが、フレイの顔が息が掛かるほど近くにある。「離して」と暴れるがなかなか外れない。顔が熱い。ゼクターへの怒りなのか、クイナに抱き上げられたのか。胸がぎゅーっと苦しくなる。

 フレイは私を抱き抱えたまま老人に近づき頭を下げる。



「おじいちゃん。僕からもお願いします」



 さっき、私が「おじいちゃん」と言って怒られたのを見てなかったのか?また「お前のおじいちゃんじゃねぇ」と怒られる。近くで怒鳴られると思ってギュッと目を瞑る。

 ──ん?さっきみたいに怒鳴ってこない。

 


「──フレイ……なのか……」



 ん?知り合い?フレイは頭を下げていて、その表情はわからないがゼクターは目を見開き驚きの表情でフレイを見ている。ゼクターが足を引きずりながらフレイに近づく。足が悪いのだろうか。

 フレイは頭をあげ老人をまっすぐ見据えた。



「お久しぶりです。おじいちゃん」

「今まで、どこに……」



 ゼクターは今にも泣きそうにっている。フレイはというと、なんの感情もないという感じで私を抱えたまま突っ立っている。と言う感じだ。

 ゼクターが肩の紋章に目をやる。



「お前、その紋章は……。あんなに……死神を恨んでたんじゃないのか!!」

「あなたには関係ありません」

「母親のことは──」

「聞きたくありません」



 おじいちゃんが可哀想になってきた。話を聞いてあげたいが、それよりも蓬の葉が必要だ。



「おじいちゃん!!蓬の葉っぱください!!」



 老人はフレイしか目に入っていない。私の声も届いてなさそうだ。どうしたらいいものか。おじいちゃんとフレイの関係性も気になるが、今は

一刻を争う。 

 私じゃ全然話を聞いてくれそうにないので、フレイに目をやると気づいてくれた。



「おじいちゃん、艾をいただけないでしょうか?お題はお支払いいたします」

「わかった。わかった。お代なんかいらんから持っていけ」



 老人はそう言って納屋を指差した。

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