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異世界転生して余命宣告されました

純粋に初めて異世界モノを書くもので、いろいろと「ん?」と言うところもあるかもしれませんが、生暖かい目で見守ってください(笑)

 


──スキル獲得しました。



 不思議な声が聞こえる。人の声でもないような……。



(ん?何……?)



 私は声を出したが、出ていないようだ。会話もできない。上を見ているような下を向いているような不思議な感覚。



──転送を開始します



***



「おお!!これが噂の異世界転生かー!!」



 私、カンナは見渡す限りの大海原のど真ん中に立っていた。異世界転生は最近のアニメではあたり前のように放映されている。だからと言って、自分が転生するとは思わなかった。

いや生まれた訳では無いから、飛ばされてきただけか?

 自分を一言で表すとしたら楽観的。だからだろう、この現状もすぐに受け入れることができた。



「ん?と言うことは、私死んだのか?」



 とは言ったものの、昨日のことはよく覚えている。家に帰り夕飯を食べて携帯で動画を見て楽しんでいたはずだ。持病もなく死ぬ要素なんてないはずだ。

 鏡がないのでわからないが、特に外傷もないようだ。



「……のー。……あのー!!」

「んのぁ!?」



 さっきまで誰もいなかったはずだ。しかし振り向くと黒いマントを纏った男が立っていた。



「あ、あの……こんにちは」

「あ、こんにちは」



 その男は丁寧に頭を下げ挨拶をしてくれたので、私も釣られて挨拶を返す。

 黒髪にきちっとした正装をしているその男は、同い年くらいだろうが、肌が白くきめ細かいのでもう少し若く見える。1つ気になる事と言えば、漆黒のマントを羽織っているくらいか。



「だ、だれ?」

「あ、死神です」

「「……」」



 あっけらかんと何を言い出すかと思えば。2人の間に沈黙が流れ、私は「そうですか」と言い捨て、とりあえず街に繋がりそうな道に出るために歩きだす。

 さて、これからどうしようか。まずは食料の確保か寝床の確保か。街に行けばなんらかの仕事にありつけるかもしれないが、まずはその街に行かなければいけない。



「あの……あの、話を聞いてもらえませんか?」

  


 後についてくる死神が後ろから小走りで追いかけてくる。「うわっ」死神君は小さな小石に足を取られ、頭から地面に突っ込んでいる。今この歳でそんなダイナミックに転ぶ大人は見たことがない。



「大丈夫?」

「あ、はい。ありがとうございます」



 私はポケットに入っていたハンカチを死神君に手渡した。死神君は顔についた泥を落とし立ち上がった。



「あの、話を……」

「わかった、わかった……じゃあ、聞くから街に案内してよ」

「わかりました」



 私と死神君は太陽に向かって歩き出した。夏も初めのようで歩いていると汗が滲み出てくる。死神君は体力がないのかすでにハァハァと息を切らしている。



「死神って飛べるんじゃないの?」

「カンナさんの世界では死神は飛べるのですか?」



 いや、知らんけど……。マントがあるからかろうじて?死神に見えるが、マントを外せば普通の青年にしか見えない。

 それにしても、マントが見ているだけで暑そうだ。黒いマントだから熱を吸収して特に暑いだろう。



「マントとれば?」

「マント取ったら、死神に見えなくないですか?」

「マントあっても見えないけどね」



 まるで「がーん」という言葉でも聞こえてきそうな顔をして膝から崩れ落ちる。

 死神君も暑さの限界だったのか、素直にマントを取ると気持ちよさそうに腕を広げた。マントは肩から下げたバックに詰め込み、また街に向かって歩きだす。



「んで?話って?」

「ん?」

「話があるんじゃないの?」



 大丈夫かこいつ……。死神君は何を話そうとしたのか忘れたのか、歩きながら顎に手を当て考え込む。

 私は特に聞きたい話もないので、異世界を満喫するようにあたりを見渡しながら歩く。と言っても、やはり見渡す限り丘と草しか見えないので、ピクニックとして楽しむ。



「あっ!!思い出した」



 死神君は立ち止まり私も足を止めた。



「なに?」

「カンナさんの命は、あと30日になります」

「は??」

「あ、正確に言うと、大体ですが29日と18時間になります」



 ──正確なのか、大体なのかどっちなんだよ……。と、どうでも良いことにツッコミを入れるのは異世界という世界に浮かれているからなのだろうか。



***



 2時間ほど歩き続けやっと街についた。私の命は後29日と16時間ぐらいになったのだろう。いや、意味がわからない。信じる信じないではない。意味がわからない。



「なんで30日後に死ぬのに異世界なんて飛ばされるのよ!!もしかして現実世界で病院で面会謝絶とかになってたりするの?これは夢なの!?」

「現実世界?とは僕にはわかりませんが、少し落ち着いてください」



 机をバンッと叩き立ち上がる私に、死神君はまあまあとジェスチャーをし椅子に座らせた。

 街に着くと「グー」お腹が鳴り、座って話しましょうと言うことで街の定食屋に入って食事を待っているところだった。昼前で開店したばかりだが、それでも何組か食事をしていた。



 周りの客はびっくりしたように私ちのテーブルに注目する。

 ちょうどテーブルに食事も運ばれてきたので、落ち着いて食事をとることにした。運ばれてきた料理は死神君が選んだ。料理がテーブルに並べられ薄味だがそれなりに美味しかった。



「それで……さっきの事だけど。なんで、私はこの世界に飛ばされて、余命宣告をされないといけないの?」

「僕は……死神の仕事をしているのですが──」

「──ちょ、ちょっと待って。死神って仕事なの?」

「あ、はい。死神はれっきとした仕事です。だから僕は普通の人間ですよ」



 死神が職業なんて聞いたことがない。私の死神の認識はお化けとか神の化身とかそんなスピリチュアルなものだと思っていた。この世界では仕事として成立しているものなのか。

 


「だから、私の目の前にいきなり現れたの?」

「いきなり現れたのはカンナさんですよ。びっくりしました。違う世界から来るって報告を受けていたので」

「でも、見渡した時いなかったじゃない」

「座ってたので……」

「……ああ」



 そんなことあるか!?なんで普通の人間に私の寿命を決められないといけないんだ。

 死神君は目の前の料理を美味しそうに口に頬張る。確かに死神が食事をするのも聞いたことがない。しかしこいつは自分を死神という。テーブルに並んだ皿が空になると死神君が話し始めた。



 この世界では死神という職業があるという。死神は30日前までにその人のところに行き余命宣告をする。ただ寿命の場合は別らしい。ということは私は事故か事件で死ぬということになる。

 死神は後の30日、人生を楽しむよう伝える役目を果たしているらしい。



 なので死神から余命宣告を受けると大概のことは許される。飲食や居住は死神協会から給付金が出て好きなものを食べ、好きなところに泊まったりできるらしい。 

 余命宣告されて多いのは飲食らしい。最後に好きなものをたらふく食べたいと言う欲望が強い。あとは意外と旅に出る人が多いという。なので泊まるとこともタダになれば助かる。



 ダメな事といえば盗みや人殺しといった犯罪に関することだ。それは死神協会でも庇い切れないらしい。他にもできないことはあるが、それは30日間、大体死神が一緒に同行するので、その都度聞いてほしいということだ。



「それで、この世界って魔法とか使えるの?」

「魔法!?カンナさんの世界では魔法が使えるのですか?」



 さっきと同じような会話だ。この世界でも魔法は使えないようだ。魔法は歴史の産物で今では廃れ使えるものは誰もいないらしい。今では魔法は私たちと同じようにフィクションの世界の話と聞いた。

 私が魔法を使えないことに、死神君の方ががっかりしている。



「私の方ががっかりだわ。ザッ異世界に飛ばされて魔法使えないとか。さらに余命宣告されるとか……」

「すいません……」

「いや、死神君は下っ端で言うこと聞いてるだけでしょ……別に死神君は責めないよ」

「ありがとうございます。……あと、僕の名前はフレイル・ガイズ・アルドナードと申します」

「……わかった、フレイね」



 フレイは「はい!!」と元気な返事をして席を立ち、マントを着ると外に出た。

 本当にお金払わなくていいみたいだ。フレイはこのマントが死神のトレードマークなので、このマントを着ていれば大概のところは出入り自由と説明してくれた。



 ──にしても、マントじゃなくてバッチとかにすれば良いのに……。とか言ったら怒られるだろうか。なぜかマント気に入っているみたいだし。

 マント脱いでくれないかなーとか思いながら、フレイに続き店を後にした。


数ある小説の中から開いて、読んでくださりありがとうございます。

プロローグはやはり自分的にありきたりになってしまいますね……。独創的な書き方をされてる方が羨ましいです。



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