凛子先生の異能
1時間後…
「うぅ…」
「これが異能…」
ちらほらと起き出す生徒達…その姿は疲労以上に新たな力を手に入れた全能感から皆一様に明るい顔をしている。
(みんな起きてきてるし、そろそろ起きてもいいよな…?)
澪は薄目を開けこっそりと周囲を窺い起き上がる
しばらくして…
「よし!全員起き上がったな!新しく手に入れた力がどんなものか何となく理解できただろう。それが発芽だ!諸君らの異能は言わば生まれたばかりのひよこも同然だ。」
「シードは成長する!そして、シーダーとなった君たちは異能を使わなくても異獣の纏うエネルギーと同じように、身体能力が大きく上昇しているはずだ。力の使い方を誤らない事を心に刻み付けろ。」
「東能学園では国防軍で採用されている5人1組の小隊としてこれから多くの活動を共にしていくことになる!
つまり仲間達の異能や特徴を知っておく事はかなり重要だ。
そこで毎年、担任である私と模擬戦を行うのが恒例の行事となっている」
「教師との模擬戦は貴重な機会だ!
そして、東能学園には通称:闘技場がある。
闘技場では過剰な肉体的ダメージは全て精神ダメージに変換されるから心配しなくていい。
せいぜい数日気絶するくらいだ」
そう言い放つと美人な顔をニヤリと歪める。
凛子先生の言葉と顔に多くの生徒が顔を引き攣らせる
そして澪も
(うわぁ…あの人とは絶対に戦いたくない…かと言って残りの3人も…はぁ…)と内心でため息をつく。
「ではさっそく、我こそはと言うものはいるか!」
「はいっす!」
「ふふっ、君は空松颯太だったな。先生は君みたいな威勢のいい生徒は大好きだぞ。」
そう言うと凛子先生は颯太と共に闘技場へと上がり2人が向かい合う。
「今回は全員の異能をお互い把握する為に、お互い自分の異能を名乗ってから行う事にする。
そして…私の異能は|施錠だ!
「せ、施錠…?」
異能を聞いてもピンとこない颯太
「私の施錠は触れたものを一定時間鍵をかけ固定できる。普通に鍵の代わりにも使えるし例えばそうだな…こんなこともできる」
凛子先生は颯太に近づくとその手を掴み握手をする。そして、「施錠」と唱える。
カチャリ
「どうだ?」
「は、離れないっす!!」
「これが私の異能だ。解除アンロック」
「あ、離れた!」
「一見戦闘には向かない異能でもようは使い方次第だ。
では、颯太の異能を聞こうか」
「ふふ〜ん!俺っちの異能は風力操作っす!」
「ほほぅ。風力操作か。攻守そして索敵とバランスの良い異能を手に入れたな。成長次第では国防軍でも重宝されるぞ」
「では早速始めようかブザーがなったら開始だ。まだ発芽したてでコントロールも難しいだろう。先ほども説明した通り怪我の心配は無いから全力で来い!無論、怪我をさせれればの話だけれどね」
「うぉ〜やってやるっす!!」
言葉と裏腹に颯太の額には薄らと汗が滲む